解任の大本命はM・シウバなのか！？　ポチェッティーノの周辺でも…

9月26日現在、エヴァートンが首位に立った──。

といっても、イギリス『sky sports』による監督解任レースである。アレックス・イウォビ、ファビアン・デルフ、ジャン＝フィリップ・グバマン、ジブリル・シディベといった即戦力候補を獲得しながら、彼らの能力を活かしきれていないマルコ・シウバ監督に2・625倍が設定された。2勝1分3敗で迎える今節は、ホームのマンチェスター・シティ戦。試合内容によっては週明けにもクビが飛ぶかもしれない。

さて、マンチェスター・ユナイテッドのオーレ・グンナー・スールシャール監督は6倍で2位に、トッテナムを率いるマウリシオ・ポチェッティーノ監督は10倍で3位につけている。ともに2勝2分2敗。スタートダッシュをかませず、試合内容も芳しくない。とくにポチェッティーノ監督は、タブロイド紙が一斉に「解任間近」と騒ぎはじめた。憶測の域を出ない情報ではあるが、夏の人員整理も失敗に終わっているだけに、嫌な予感もする。

そしてウォルヴァーハンプトンのヌーノ・エスピリト・サント監督も、15倍で5位に入ってしまった。ヨーロッパリーグ予選の疲れがあるのか、4分2敗。プレミアリーグではまだひとつも勝っていない。5節、チェルシーに2－5で敗れた際は選手個々のミスも目立ち、運動量とスピードでも圧倒された。

昨シーズンの7位は、ヨーロッパリーグ出場権獲得は、サント監督とコーチングスタッフが考案した綿密な戦略に負うところが大きい。クラブの相談役でもあるジョルジュ・メンデス（敏腕エージェント）も、全幅の信頼を寄せている。しかし、オーナーの中国企業『万博体育』（ギャンブル、およびスポーツメディア）は、序盤戦の成績に満足できるだろうか。

この評価はあくまでもメディアの企画だ。各クラブの上層部にインタビューしたわけではない。ただ、近ごろのプレミアリーグは解任のサイクルが早く、監督にとって好ましい環境ではなくなってきた。補強費を投資の一環としかとらえられない何人かのオーナーは、情報も精査せずに結果だけで監督を叩き切る。組織の熟成には時間がかかり、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督でさえ、チャンピオンズリーグを獲るまでに4年を要したというのに……。

ボーンマスのジェフ・モスティン会長はこう言った。

「いいときもあれば悪いときもある。人生って、そんなものだよ。わたしは現場を信じている。彼らに託したのだから、あとはできるだけのサポートをするだけだ」

エディ・ハウ監督は就任8シーズン目に突入し、プレミアリーグの座を4シーズンも守っている。昨シーズンの65得点は、ビッグ6に次ぐ好記録だった。各クラブの置かれた事情は異なるが、短期間で好結果を得るのは難しい場合もある。主力の負傷、員数不足……。世界一の競争力を誇るプレミアリーグでは、ボーンマスのような忍耐も必要だ。

文：粕谷秀樹