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年末年始恒例の過密スケジュールを控えたイングランドを除いて、ヨーロッパ各国のリーグ戦もウィンターブレークに突入。日本でも、今年は変則日程ですでに天皇杯も終了。鹿島アントラーズのクラブ・ワールドカップ挑戦も終わってシーズンオフを迎えている。
まあ、ヨーロッパ大陸各国のクラブにとっては、リーグ戦の後半に向けての大事な準備期間であり、また、日本のサッカー界は1月に入って早々に開幕するアジアカップというビッグイベントが控えているのだが……。
そんな年末にメディアを賑わせるのが「十大ニュース」という企画だ。そこで、僕も2018年のニュースを振り返ってみた。ただし、「十大」ではなく〈日本の部〉と〈世界の部〉に分けて各「五大ニュース」という形で選んでみた。
まず、〈日本の部〉から。
〈日本の部〉
1位:日本代表、ロシアW杯で強豪ベルギーと激闘
2位:日本サッカー協会、ハリルホジッチ監督を解任
3位:鹿島アントラーズ、ACLで優勝 日本勢が連覇
4位:川崎フロンターレ、J1連覇
5位:ヴィッセル神戸がイニエスタを獲得!
やはり、2018年最大のイベントは、ロシア・ワールドカップ。悲観論が渦巻く中で日本サッカー協会が大会のわずか3か月前になってヴァイッド・ハリルホジッチ監督を解任して世間をびっくりさせた。もともと、2年以上前から「解任すべし」という意見だった僕としては、もちろん「解任」は当然のことと思ったが、しかし、それにしても「いくらなんでも遅すぎるだろう」と思ったものだった。
だが、新たに就任した西野朗監督は選手の気持ちを生かしながら、新しいやり方を短期間で浸透させてベスト16進出を果たした。
「遅すぎる」という懸念は、実は当たっていなかったようだ。
「監督解任」という劇薬には、選手の気持ちをフレッシュにさせる効果がある。クラブレベルでも、監督が交代した刺激によって一時的にチームが劇的に好転することがある(たとえば、昨年の浦和レッズ)。しかし、その有効期限は短期間に過ぎない。時間の経過ともに、新監督への不満も生じてくるのが常である。
つまり、大会直前の監督交代という賭けは、今回に限っては大成功だったようだ。
そのワールドカップでも白眉だったのが、ラウンド16でのベルギーとの大激戦だった。
ベルギーは、相手のストロングポイントを抑えにかかるようなことをしないチームだったから、ベルギーの試合はどの試合も見ていてとても面白かった。ブラジル戦、フランス戦など、本当にワクワクするような試合だった。
日本も、反則をしてでも相手を止めるようなことをしない(できない)チームだ(それができていれば、あの3失点目は防げたはず)。そんな両チームらしく、3対2という点の取り合いの激しいゲームだったにも関わらず、反則も少ないクリーンな内容のゲームでもあった。
ロシア大会で日本のサッカー界は「自信」を取り戻し、その結果、男女各年代別代表がそれぞれの大会で結果を出し、鹿島アントラーズもACLを制して終わった2018年。昨年の今頃は東アジア選手権(E-1)で韓国に惨敗を喫して暗澹たる気持ちだったことを考えると、素晴らしい年末を迎えられた。
さて、「五大ニュース」の〈世界の部〉は……。
〈世界の部〉
1位:フランス、堅実なサッカーでW杯制覇
2位:モドリッチ、最優秀選手に選出
3位:迷走のレアル、それでもタイトルを死守
4位:C・ロナウド、ユベントスへ移籍
5位:リベルタドーレス決勝でのドタバタ劇
こちらも、やはりワールドカップ・イヤー。フランスの2回目の戴冠をはずすわけにはいかない。だが、いわゆる「シャンパン・サッカー」ではなく、1998年の初優勝の時と同じく守備をベースにした堅実なサッカーでの勝利だった。
1998年にフランスが優勝した時、フローラン・ダバディ氏は「初めての優勝はどんな形の優勝でもうれしい。だけど、2回目はフランスらしい攻撃サッカーで勝ってほしい」と言っていたが、ディディエ・デシャン監督はやはり「勝つためのサッカー」を選択した。キリアン・ムバッペなどの若手が成長する4年後は、ぜひ攻撃的なフランスを見てみたい。
そして、そのワールドカップで大健闘をしたのがクロアチア。中でも延長戦の連続で疲労がたまりながらも、最後まで足を止めずにゲームを作ったルカ・モドリッチの活躍が光り、モドリッチは「FIFA年間最優秀選手賞」を受賞。リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドによる独占をついに破った意義ある受賞だった。
その、クリスティアーノ・ロナウドは、レアル・マドリードを離れてイタリアのユベントスに移籍。新天地でも着実にゴールを積み重ねている。プレミアリーグ、リーガセスパニョーラに続いて、セリエAでも得点王を受賞することができるのか……。
僕は2003年に18歳になったばかりのロナウドにロング・インタビューをしたことがある。まだ、スポルティングに所属していた頃だが、もうポルトガル代表デビューも果たしていた。実に陽気な青年で、その年の夏にトゥーロン国際を取材していたら、ロナウドの方から僕に声をかけてきたこともあった。それから15年、当時は想像もできないような大出世である。
さて、来年はどんなニュースにびっくりさせられるのか。楽しみにしたい。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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