人気ランキング
コラム一覧
「わたしは3度プレミアリーグを制している。ほかの19人の監督は、合わせて二度だ」
トッテナムに0-3の大敗を喫した直後、マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督はこう吠えた。
間違ってはいない。モウリーニョはチェルシーを3回の優勝に導いている。そのほか19人でプレミアリーグの頂に立った経験を持つ監督は、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラと、彼の前任であるマヌエル・ペレグリーニ(現ウェストハム)だけだ。
しかし、過去に目を向けてなんの意味があるのだろうか。いま、モウリーニョが取り組むべき最大の課題は、2018-19シーズンをどのように戦うか、である。偉大な実績を盾に理論武装しても周囲の反感を買うだけだ。まして就任3シーズン目。チームの骨格が明確になってしかるべき時間が過ぎているにもかかわらず、戦略・戦術ともにシティ、リヴァプール、トッテナムに大きな後れを取っている。新体制が発足したチェルシーとアーセナルですら、監督のスタイルが早くもピッチ上で実践されようとしている。この事実に気づかなくてはならない。
もちろん、補強を怠った上層部、とくにエドワード・ウッドワードCEOにも責任はある。トッテナム戦でも懸案のセンターバックは脆さを露呈した。フィル・ジョーンズは簡単なプルアウェイでハリー・ケインにあっさりかわされ、クリス・スモーリングは待つべきシーンでタックルを仕掛け、ルーカス・モウラにゴールを許した。また、ヴィクトル・リンデレフはノールックのバックパスでスリリングなシーンを演出したり、追う足を止めたりもしている。リヴァプールの名DFとして名を馳せ、現在は情報番組の論客として知られるジェイミー・キャラガー曰く、「リンデレフはあまりにも不十分だ」
この夏、ユナイテッドへの移籍が確実視されたトビー・アルデルヴァイレルトが完璧な守りを披露しただけに、ユナイテッドCB陣の弱体はさらに浮き彫りにされた感が強い。
それにしても……。
なぜジョーンズとスモーリングを先発に起用したのだろうか。エリック・バイリーは前節のブライトン戦で致命的なミスを犯したとはいえ、開幕節のレスター戦は獅子奮迅の大活躍だった。ところが、ベンチにも入っていない。。
トッテナムの機動力を踏まえると、CBのファーストチョイスは運動能力の高いバイリーだ。懲罰と捉えられても不思議ではなく、モチベーションの低下につながりかねない。モウリーニョの狭量を示す人選だ。
トッテナム戦の敗北により、タブロイド紙の《モウリーニョ退陣キャンペーン》は一気に過熱するだろう。上層部が「現体制支持」を公言したものの、前言が撤回されるケースは世の常だ。続くバーンリー戦、ワトフォード戦でもつまずくようなら、早期解任も考えられる。
いまは、ただひたすら耐えるだけだ。そしてチーム全体が、ルーク・ショーのようにハードワークすることだ。22歳の若者は、真摯な姿勢でフットボールに打ち込んでいる。この情熱こそが、ユナイテッドを復調に導く原動力かもしれない。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
【限定】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2025 プレーオフ RB大宮アルディージャU18 vs. ジュビロ磐田U-18/米子北高校 vs. アルビレックス新潟U-18
12月14日 午前10:50〜
-
【限定】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2025 プレーオフ 東山高校 vs. 尚志高校/愛媛FC U-18 vs. ベガルタ仙台ユース
12月14日 午前10:50〜
-
サッカーニュース Foot! 超高校サッカー通信 Presents 高円宮杯U-18プレミアリーグ 土屋雅史の深掘りレポート2025 #21
12月11日 午後10:45〜
-
高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 WEST 第21節-2 ヴィッセル神戸U-18 vs. サガン鳥栖U-18
12月7日 午後12:50〜
-
高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第21節-1 鹿島アントラーズユース vs. 青森山田高校
12月6日 午前10:50〜
-
【限定】ロングハイライト・高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 WEST 第22節-3 神村学園高等部 vs. ファジアーノ岡山U-18
12月16日 午後8:00〜
J SPORTSで
サッカー&フットサルを応援しよう!

