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サッカー フットサル コラム 2018年6月15日

直前合宿を終えカザンへ移動。日本は1週間でどこまでコロンビア対策を徹底できるか?

元川悦子コラム by 元川 悦子
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12日のパラグアイ戦(インスブルック)を4-2で勝利し、ようやく浮上のきっかけをつかんだ日本代表。西野朗監督は8日のスイス戦(ルガーノ)から酒井高徳(HSV)を除く10人を入れ替えるというリスクを冒したが、少なからず批判もあったその大胆采配が奏功する。攻撃陣ではケガで出遅れていた乾貴士(エイバル)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)が躍動。長谷部誠(フランクフルト)に代わってキャプテンマークを巻いた山口蛍(C大阪)が中盤を引き締め、彼とコンビを組んだ柴崎岳(ヘタフェ)も持ち前の攻撃センスと展開力を遺憾なく発揮。過去の日本代表戦の中でベストと言えるパフォーマンスを見せた。

守備陣も吉田麻也(サウサンプトン)、槙野智章(浦和)といった昨秋から最終ラインをコントロールしてきたDF陣を外したが、昌子源と植田直通(ともに鹿島)が息の合った連携を披露した。彼ら最終ラインと最前線がコンパクトな状態を保ち、前に行く時と行かない時のメリハリをうまくつけていたのも大きな収穫だ。「前が2度追い、3度追いして、切り替えを早くしてくれると、後ろも狙いやすい部分がある。それを前の選手がよくやっていた。勝てたことも大きかったし、チームとしてロシアに行く前にすごくいい雰囲気になった」と長谷部も力強く語っていて、ようやく本大会で戦えそうな前向きなムードが生まれてきたと言っていいだろう。

1つの成果を手に、彼らは13日にベースキャンプ地・カザンへ移動。14日から最終調整に乗り出した。現地は日中でも18度くらいで、日が陰っている時は体感温度15を切るほどの肌寒さ。週明けになり、19日の2018年ワールドカップ初戦・コロンビア戦(サランスク)の頃になると暑い日が続くという予報もあるため、コンディション調整は難しい。ゼーフェルトでは時折、雷雨に見舞われたものの、天候に恵まれた日が多かっただけに、ここへきて体調を崩す選手が出るようだと、ここまでの努力が水泡に帰す可能性もある。「体調だけは崩さないようにしたい」と乾も語っていたが、そこはしっかり徹底してほしいものだ。

代表が滞在している拠点はるロシアの強豪、ルビン・カザンの練習場、カザン北部にあって、環境的には非常に恵まれている。セキュリティもワールドカップ仕様で強化されていて、報道陣と言えども簡単に中に入れない。それだけ選手たちは集中してトレーニングに励めるということ。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督に比べて、そこまで情報を隠さない西野監督といえども、これからはコロンビアを想定して秘策を練ることもあるはず。ベースキャンプ地の利点を最大限生かし、初戦にチームをトップの状態に引き上げていくことが肝要だ。

ここまで「我々は初戦のコロンビア戦に焦点を当てている」と繰り返し言い続けてきた西野監督だが、コロンビアを想定した具体的な対策はまだそこまで着手していない。パラグアイ戦では相手のレベルがやや低く、体力的にも後半途中からダウンしたため、日本が一方的に攻め込むことができたが、ボールコントロール力に勝るコロンビア戦で同じような展開になるとは考えにくい。

「4年前とは全く比較するつもりないし、データを手に入れるつもりもない。シチュエーションもメンバー違うし、全く別物だと見ている」と2014年ブラジルワールドカップで1-4の惨敗を喫した時の生き証人である香川はキッパリ語ったが、その一方で「うまくいかない時間帯があるのは当たり前。簡単にプレスがはまることもないですし、攻撃でもバイタルに侵入できるスペースがあるかどうかも分からない」と格上であるコロンビア戦では一方的な守勢に回る展開も視野に入れている様子だった。

本田圭佑(パチューカ)も「8年前の2010年南アフリカワールドカップでやった超守備的な戦い方はワーストケース。あれなら自分たちにはできる」と話していて、本当に自陣に人数をかけて守らざるを得なくなることも考えなければいけない。

西野体制発足後の5月30日のガーナ戦(日産)、6月8日のスイス戦(ルガーノ)とパラグアイ戦の3試合を通して、そこまで一方的に支配される状況はなかっただけに、今の彼らはその想定が足りない。そういう劣勢も考えながら、残り4日間の準備期間を有効活用していくことが肝要だ。

14日のワールドカップ開幕戦では同じアジアのサウジアラビアがホスト国・ロシアに0-5で大敗を喫するという驚くべき出来事があった。日本はそのサウジアラビアに最終予選で敗れている。厳しい現実をしっかりと踏まえたうえで、守りを固めるシナリオも用意し、リスタートから1点を取れるパターンも準備すること。それを今こそ強く求めたい。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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