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サッカー フットサル コラム 2018年5月4日

サラーが逃げ切るか、ケインが追いつくか。今季のプレミアリーグ得点王の行方は?

元川悦子コラム by 元川 悦子
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今季イングランド・プレミアリーグも残りわずか。すでにマンチェスター・シティが優勝を決めており、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、トッテナムのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場権獲得とチェルシーのUEFAヨーロッパリーグ(UEL)出場権獲得もほぼ決まりだろう。

下位の方も、最下位・ウエストブロミッチのチャンピオンシップ降格は決定的で、19位のストークと18位のサウサンプトンはわずかに生き残りの可能性を残している。終盤戦はむしろこの残留争いの方にフォーカスした方が興味深いかもしれない。 それと同時に注目されるのが、得点王争いの行方だ。目下、トップに立っているのは、今季プレミアとUCLの両方で大ブレイクし、FIFAバロンドール候補にも名前が挙がるようになったモハメド・サラー(リバプール)。34試合出場31ゴールというのは驚異的数字としか言いようがない。

そのサラーを4点差で追走するのが、過去2シーズン連続得点王を獲得しているハリー・ケイン(トッテナム)だ。彼らの下はセルヒオ・アグエロ(マンチェスターC)が21点、ラヒム・スターリング(マンチェスターC)が18点と数字的にかなり離れているので、タイトルは上位2人に絞られたと言っていい。果たしてサラーが今季の勢いそのままに頂点に立つのか、ケインがタイトルホルダーの意地を見せるのか。そこは最後まで目が離せないところだ。

サラーに残されたゲームは6日のチェルシー戦と13日のブライトン戦の2試合。ケインの方は5日のウエストブロミッチ戦、9日のニューカッスル戦、13日のレスター戦の3試合を残している。

昨季王者であり、傑出した堅守を最大の武器とするチェルシーとの対戦を控えているのは、サラーにとってやや厳しい部分だ。しかも、2日にローマとの壮絶なUCL準決勝第2レグを敵地で演じていて、彼自身も疲労困憊に違いない。もちろん得点王という輝かしい称号は喉から手が出るほどほしいだろうが、フィジカル的についていけるかどうかは分からない。ローマ、チェルシーと連続ノーゴールで終われば、最終節のブライトン戦もいい入りができなくなる可能性は否定できない。そこはサラーの大きな不安要素と言っていい。

そんなサラーに比べると、ケインは残り3試合あって余裕を持って試合に挑める。最初のゲームが最下位・ブライトンというのも、大きな追い風だ。降格決定的な相手はすでに試合のモチベーションを失っていることも考えられるため、ケインの多彩な得点パターンを止めるだけの堅守は見せられないだろう。

この試合でケインが複数ゴールを挙げたりすれば、サラーに大きなプレッシャーがかかってくる。そこでライバルが足踏み状態に陥ってくれたら、彼にとってはまさに理想的なシナリオ。ラスト2戦の10位・ニューカッスル、9位・レスターは簡単に勝てる相手ではないものの、ゴールを奪うスキは見い出せるはず。ケインにとって4ゴール差というのはそこまで深刻なものではなさそうだ。

勝負ごとは追いかける方が有利。それは誰もが認めるところだ。今季のサラーはここまでチャレンジャー精神を前面に押し出して戦い続けてきたから、公式戦48試合43ゴールという大ブレイクを果たせたのだろう。ただ、残り2試合で得点ランキングトップを死守しなければならないという「守りの立場」は慣れていない。

逆に、過去2シーズン続けてトップの座に君臨し続けてきたケインの方が精神的余裕を持てるはず。凄まじいプレッシャーのかかるこの状況をサラーが克服し、タイトルを手にできれば、彼は世界的ストライカーの仲間入りを果たせる。バロンドールに相応しい選手にもなれる。まさにキャリアを大きく左右するハードルを超えられるか否か。そこは非常に楽しみだ。

もしもケインが劣勢を跳ね返して、3年連続得点王のタイトルを取るようなことがあれば、それはそれで素晴らしいこと。イングランド代表キャプテンとして挑む1か月後の2018年ロシアワールドカップ本大会にも勢いが出るだろう。自国開催だった1966年イングランドワールドカップでの優勝以来、40年以上も頂点の座から遠ざかっているサッカーの母国からすると、ケインの一挙手一投足は大きな意味を持つ。彼が得点王を取ってくれた方がプラスだ。そういう自国サポーターの後押しを受けるケインが残り3試合でゴールラッシュを見せてくれるのか。そこも注目しつつ、2人の最後の熱いデッドヒートを楽しみたい。

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元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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