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17-18シーズン最後のイングランド・プレミアリーグ日本人対決として注目されていた19日(日本時間20日未明)のレスター対サウサンプトン戦。4月から吉田麻也が完全復帰したことで、岡崎慎司との顔合わせが実現すると期待されていた。 けれども、岡崎の方が14日のバーンリー戦で足首を負傷。惜しくもこの一戦を欠場する羽目になった。今月9日にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任され、西野朗監督率いる新生日本代表が本格的に動き出した矢先のケガだけに、本人も焦りを感じているかもしれない。今は早く治してピッチに戻ってくることが先決だ。
吉田所属のサウサンプトンにしてみれば、前線から守備のスイッチを入れられる岡崎の欠場はプラス要素。岡崎のポジションで先発したケレチ・イヘナアチョはハードワークという意味ではどうしても背番号20より劣る。守備のプレッシャーが少なくなる分、サウサンプトンは攻めを構築しやすくなるはず。その利点を生かしたかった。
3月中旬のマーク・ヒューズ監督率いる新体制発足後は4バックと3バックを併用しているサウサンプトン。この日も守備重視の3-4-2-1で挑んだ。吉田は3バックの中央に陣取り、右のヤン・ベドナレク、左のヴェズリー・フートを統率。ジェイミー・ヴァーディーをフリーにさせないことを第一に考えながら試合に入った。 開始早々の7分にはイエアナチョとヴァーディーに立て続けに起点を作られ、リヤド・マフレズに強引なシュートを打たれるピンチに直面するも、ゴールは回避する。その後も粘り強い守りで応戦し、スキを作らないまま、前半45分間を折り返すことに成功した。
前半のシュート数はレスターの6本(枠内2本)に対し、サウサンプトンが2本(枠内0本)。ボールポゼッションは51対49%とややレスターが優勢だった。後半もその流れが続いたが、サウサンプトン守備陣は決定的な仕事をさせない。一番危険だったのは、後半25分にロングボールからヴァーディーに飛び出された場面。吉田とベドナレクの背後を巧みに突くヴァーディーらしいプレーだったが、最後尾に陣取るGKアレックス・マッカーシーが右手1本でシュートをセーブ。事なきを得る。
レスターは終盤、イヘナアチョに代わってフセニ・ジャバテらを投入し、勝負をかけたが、サウサンプトンの守備は最後まで集中力を切らさなかった。結局、試合はスコアレスドローで終了。彼らにとっては3月3日のストークシティ戦以来、5試合ぶりのプレミアリーグ完封試合。それだけ吉田が統率する最終ラインがうまく機能したということだろう。
データを見ても、シュート数はレスターの11本(枠内3本)に対し、サウサンプトンは6本(枠内2本)。ボール支配率も54%対46%でやはり相手の方が上回ったが、堅守で応戦できたことは大きな収穫と言っていい。
今季34試合終了時点で53失点というサウサンプトンにとって、守備の立て直しは早急のテーマ。そこにメドがついてきたことは、やはり前向きな点だ。しかしながら、残り4試合で勝ち点5差で16位にいるクリスタルパレス、同4差(1試合少ない)で17位にいるスヴォンジーを超えなければ、1部残留は果たせない。
そのために、何としてもゴールを奪う形を作ることが肝要だ。チーム得点ランキングを見ると、通算7ゴールのチャーリー・オースティン、4得点のデュサン・ダディッチ、同じ得点数のマノロ・ガッビアディーニがトップ3を占めているが、今回のレスター戦はオースティンが途中出場でガッビアディーニがベンチ。
新指揮官からは信頼度が低い様子だ。1トップに据えられているシェーン・ロングもいまだ2点という状況で、ゴールを奪うとしたらリスタートくらいしかない。レスター戦でも右CKの流れからいい形を作っていた。それをポジティブに捉え、リスタートからしぶとく得点を挙げる術を徹底的に模索する方が現実的かもしれない。
吉田も12月13日のレスター戦から4カ月以上もゴールから遠ざかっている。ただ、彼はリスタートから点を取れる選手。それは日本代表でも実証済みだ。その潜在能力の高さを生かすべく、チームで策を講じる必要があるのではないだろうか。最後の最後まで1部残留を信じて戦い抜くことができれば、希望は見えてくる可能性も皆無ではない。5月8日のスヴォンジーとの直接対決までに少しでも差を詰めておきたいところだ。
元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。
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