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サッカー フットサル コラム 2018年4月16日

宿敵・マンチェスターUがまさかの敗戦。マンチェスターCが4季ぶりのプレミア制覇

元川悦子コラム by 元川 悦子
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4月に入ってからというもの、4日のリバプールとのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)準々決勝第1レグを0-3で落とし、7日のイングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド戦を2-3で苦杯。さらに10日のリバプールとのUCL準々決勝第2レグも1-2で黒星と、まさかの3連敗を喫していたマンチェスター・シティ。UCL制覇の夢は断たれ、王手をかけていたプレミア制覇も先延ばしになるのではないかと不安視されていた。

それでも14日のトッテナムとの上位対決を3-1で勝利。何とか悪循環を断ち切ることができた。ここ最近不発の続いたガブリエル・ジェズスが前半22分に幸先のいい先制点を挙げ、3分後にイルカイ・ギュンドアンが2点目をゲット。後半42分にはクリスティアン・エリクセンに1点を返されたものの、後半27分にラヒム・スターリングがダメ押し点を挙げ、そのまま逃げ切ったのだ。相手エースFWのハリー・ケインをしっかりと抑え、ジェズスやスターリングといった点を取るべき選手がゴールしたことで、ジョゼップ・グアルディオラ監督も安堵したことだろう。

そして翌15日、2位・マンチェスターUが最下位に沈むウエストブロミッチに0-1でまさかの不覚を取った瞬間、マンチェスターCの4シーズンぶりのタイトル獲得が決まった。1週間前のマンチェスターダービーでは意地とプライドを見せつけたジョゼ・モウリーニョ監督とマンチェスターUの面々だったが、この大一番に全集中力を注いだツケが回ってきたのかもしれない。伏兵に1点を失って万事休す。ライバルの優勝をアシストしてしまう格好となった。

シーズン終盤に来て失速感はあったものの、今季のマンチェスターCは圧倒的な強さを見せていた。ここまで33試合の戦績は28勝3敗の勝ち点87。2位のマンチェスターUとは勝ち点16もの差をつけ、4月中旬の段階で頂点に立ったのは特筆すべき点だ。総得点の93、総失点の25という数字も傑出している。目下、30ゴールを挙げ、得点ランキングトップに立つモハメド・サラーを擁するリバプールでさえ総得点は78にとどまっていて、マンチェスターCと10以上の差がある。マンチェスターU、トッテナム、アーセナルも60点台が精一杯という状況を見れば、いかにマンチェスターCの攻撃陣が破壊力抜群だったかがよく分かるだろう。

個人個人を見ても、目下21得点のセルヒオ・アグエロを筆頭に、17得点のスターリング、10点のジェズス、9点のレロイ・ザネ、8点のダビド・シルバ、7点のケヴィン・デブライネと得点ランキング上位30傑に入っている選手が6人もいる。ここまで15得点のロメル・ルカクに依存しているマンチェスターU、17得点のジェイミー・ヴァーディーに依存しているレスターのように、特定のアタッカーの決定力に頼っているチームは、彼らが封じられてしまうと別の策を講じるのが困難だ。

しかし、マンチェスターCの場合はいろんな組み合わせや構成で戦える。現にアグエロは4月に入ってからの4試合全てでスタメン落ちしていて、途中出場した2試合でも結果を残せていない。そういう時にジェズスやスターリングが確実に穴を埋めてくれる。それが今季の強さの秘訣なのだ。

総失点の25というのも、守護神のエデルソン、最終ラインを統率するヴァンサン・コンパニやニコラス・オタメンディらDF陣の能力の高さによるところが大だ。それに加えて、マンチェスターCの場合はボールキープ力が異常に高い。シルバやデブライネ、ギュンドアンのように高度な攻撃力とテクニック、ハードワークを兼ね備え、広いエリアをカバーしながらボールポゼッションできる面々がいるから、それだけ敵を圧倒できるポゼッションを見せられるのだ。ボールを長い時間支配していれば、それだけ守備の時間が短くなるということ。中途半端な技術力と組織力のチームだと、そこで相手に引っかけられてカウンターの餌食になるのがオチだが、マンチェスターCは「攻撃こそ最大の防御なり」というのをピッチ上で実践してしまう。さすがは名将・グアルディオラ監督が築き上げた最強軍団だと言っていいだろう。

残りはリーグ5試合。ここから先の興味はマンチェスターCがどこまで勝ち点を伸ばすかだ。王者のプライドに賭けても気の抜けたような終盤戦にはしないだろう。彼らのモチベーション次第では、残留争いの真っ只中にいるスウォンジーやサウサンプトンに影響が及ぶこともあり得るだけに、マンチェスターCの変化が気になるところ。最後までプレミアリーグを大いに盛り上げてほしいものだ。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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