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サッカー フットサル コラム 2018年4月16日

3カ月ぶりフル出場の吉田麻也が奮闘するもチェルシーに苦杯。降格迫るサウサンプトン

元川悦子コラム by 元川 悦子
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日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任され、西野朗新監督が就任するというショッキングな出来事が起きた今週。イングランド・プレミアリーグで戦う吉田麻也(サウサンプトン)と岡崎慎司(レスター)にも少なからず思うところはあったはずだ。

とりわけ、ハリル体制で2018年ロシアワールドカップアジア予選に全試合フル出場を果たした吉田は複雑だろう。3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)をひざの負傷で回避したこともあって、チーム状態が分からないままに新体制に移行しなければならない不安もあると見られる。

しかしながら、プレミアリーグもロシア本大会も待ってくれない。とりわけ、プレミアの方は残留争いの真っ只中。サウサンプトンは3月中旬に今季頭から指揮を執っていたマウリシオ・ペジェグリーノ監督が更迭され、かつてマンチェスター・シティやストークで指揮を執っていたマーク・ヒューズ監督が就任。立て直しに躍起になっているが、思うように結果が出てない状態だ。

吉田は4月8日のアーセナル戦の後半27分から出場。戦線復帰を果たし、リーグ終盤戦の奮闘が大いに求められている状況だ。昨夏にクラブとの契約を2020年まで延長した彼にとって、チャンピオンシップ降格はキャリアのマイナスになりかねない。今年30歳になる日本人DFを移籍金を投じて獲得してくれるクラブがそう簡単に現れるとも言い切れないだけに、何とか残留圏内の17位に踏みとどまりたいところだ。

そういう意味でも、14日のチェルシー戦は非常に重要なゲームだった。吉田は1月2日のクリスタルパレス戦以来、3カ月間ぶりのプレミアリーグ先発出場。この日は3バックの中央に陣取り、最終ラインをコントロールする重要な役割を課せられた。GKのアレックス・マッカーシー、右DFのヤン・ベドナレク、左DFのヴェズリー・フートとともに、アルバロ・モラタやエデン・アザール擁するチェルシー攻撃陣をまずは零封すること。それが最重要命題だった。

まさに崖っぷちに立たされるサウサンプトンだが、この日は前半21分に左サイドのライアン・バートランドの力強いドリブル突破にデュサン・ダディッチが飛び込んで幸先のいい先制点を挙げることに成功する。迫力ある攻めにチェルシー守備陣も瞬く間に崩されてしまった。

この1点をリードして前半を折り返したサウサンプトンは、後半15分にもジェームズ・ヴォード・プラウズのFKをヤン・ベドナレクがファーから飛び込んで合わせ、追加点をゲット。リードを2点に広げる。この展開は知将、アントニオ・コンテ監督も全く想像していなかったに違いない。

すでにUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場圏内の4位から離れているチェルシーとしても、これ以上、ポイントを落としてUEFAヨーロッパリーグ(UEL)出場権を逃すわけにはいかない。コンテ監督は直後にダビィデ・ザッパコスタとモラタを下げて、ペドロとオリヴィエ・ジルーを投入。基本布陣を3-4-2-1から4-2-3-1へスイッチし、反撃に打って出た。

この策が奏功し、昨季王者は後半25分からの8分間で3得点を叩き出す。後半25分にジルーが挙げた1点目は左サイドからのクロスに反応した形。吉田とフートの間に飛び込まれ、ヘッドを許してしまった。後半30分のアザールの2点目も左サイドからの崩し。ウィリアンのマイナス気味のクロスに、ペナルティエリア内でフリーになったアザールが右足を確実に合わせた。この場面では吉田ら守備陣が下がりすぎた結果、大きなスペースが生まれ、そこを使われたのが痛かった。

そして、逆転弾となった後半33分の3点目はFKからのセットプレーが発端。ウィリアン→アザールとつながり、左から右へ送ったボールをDFが2回クリアしたこぼれ球をジルーが左足で押し込んだ。下位に低迷しているチームはメンタル面がガタガタと崩れやすい。この日のサウサンプトンはまさに苦しい現状を露呈したと言っていい。

結局、サウサンプトンはこの日も敗戦。プレミア7戦未勝利で、18位に沈んだままだ。17位・スヴォンジーとの勝ち点差は5に広がり、一段と苦しくなってきた。残り試合はわずか5。その相手もレスターやマンチェスターCといった上位陣が多い。ただ、5月8日にスヴォンジーとの直接対決があるため、そこまでの間にひっくり返せるところまで持っていければ、残留の可能性が見えてくるかもしれない。

吉田が心身ともにいい状態でロシアワールドカップに挑むためにも、サウサンプトンを苦境から救うことが求められる。この日のようにわずか8分間で3失点という状況を続けることだけは許されない。19日の次節・レスター戦ではチームの流れを大きく変えるような大仕事を期待したい。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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