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サッカー フットサル コラム 2018年3月25日

イブラヒモビッチがついにマンチェスターUに別れ。新天地・アメリカでロシア行きは叶うのか?

元川悦子コラム by 元川 悦子
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2017年4月20日のUEFAヨーロッパリーグ準々決勝・アンデルレヒト戦で右ひざ前十字じん帯損傷の重傷を負って全治8カ月と診断され、いったんはマンチェスター・ユナイテッドと契約満了になりながら、8月に再契約して11月18日のプレミアリーグ・ニューカッスル戦で復帰したズラタン・イブラヒモビッチ。ジョゼ・モウリーニョ監督もチームメートも怪物FWの復活を喜び、チームの新たな得点源になってくれると大きな期待を寄せていた。12月20日のリーグカップ5回戦・ブリストルシティ戦では待望の復帰後初得点をマークし、本格的なゴールラッシュが始まりそうな予感も漂った。

ところが、直後にひざの負傷が再発。モウリーニョ監督は「信じられないような問題を抱えていたのと同じひざだ。ちょっとした再発が起こり1ヶ月離脱することになる」と12月30日のサウサンプトン戦後にコメント。落胆を露わにした。その後、イブラヒモビッチの出番は失われ、大きなインパクトを残せないまま、時間ばかりが空しく過ぎて行った。

2018年ロシアワールドカップも刻一刻と迫る中、彼の去就は大いに注目されていたが、3月22日、マンチェスターUは彼との契約を打ち切ることで合意したと発表。怪物FWは前々から噂されていた通り、アメリカ・メジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシーに新天地を求めることになった。決断の原動力となったのが、自身3度目となるワールドカップ出場への意欲だろう。

イブラヒモビッチがスウェーデン代表デビューを果たしたのは、弱冠20歳だった2001年1月のフェロー諸島戦。2002年日韓ワールドカップもメンバー入りしたが、ピッチに立ったのは1次ラウンド・アルゼンチン戦とラウンド16・セネガル戦の合計30分のみ。まだこの時は日本のファンも怪物FWの存在を知らなかった。彼がエースの座に躍り出たのは、2004年欧州選手権(ポルトガル)。そこから絶対的点取り屋に君臨し、2006年ドイツワールドカップ欧州予選では8試合8得点という目覚ましい働きを見せる。

しかし、ドイツでは精彩を欠き、不完全燃焼感ばかりが残る結果となった。その後、スウェーデンは2010年南アフリカ、2014年ブラジルと2度のワールドカップ出場権を逃し、イブラヒモビッチ自体も何度か代表引退と復帰を繰り返しながら2016年欧州選手権(フランス)を最後にスウェーデン代表から離れる格好になっていた。代表116試合出場62ゴールという傑出した実績を残しながら、ワールドカップだけは華々しい活躍からかけ離れている。それが本人にとっては納得いかないところなのかもしれない。

そんな今、スウェーデン代表は3大会ぶりのワールドカップ出場権を手にした。しかも昨年11月の欧州予選プレーオフで伝統国・イタリアを下すという快挙を成し遂げたのだから、かつてのエースの心が動かないはずがない。イブラヒモビッチの中では代表復帰とロシア行きが頭をかすめるに違いない。今月に入ってメディアから「ヤン・アンディション監督から電話がかかってきたらどうするか」と聞かれた彼は「代表復帰へのドアを閉ざすものは何もない」と回答したという。長年過ごした代表への愛着は染みついて離れない。「必要とされれば行きたい」というのが、偽らざる本音なのかもしれない。

それを現実にするためにも、コンスタントにプレーする場が必要だ。マンチェスターUに残っても、モウリーニョ監督の構想からは事実上外れてしまっている。シーズン終盤の活躍の場は訪れない可能性が高い。ならば、新天地・MLSへ赴いて、恒常的に試合に出てプレーした方がいいと考えたのではないか。ワールドカップを目指す選手にとって、最も重要なのが直近のコンディション。残り2か月間しっかりと試合を重ねていけば、かつての老獪さとゴール前の鋭さが戻ってくる可能性もゼロではない。そこに怪物FWは賭けたのだろう。

オランダ、イタリア、スペイン、イタリアと4つの国でタイトルをつかみ、自身5度の得点王に輝いたイブラヒモビッチも、マンチェスターUでは過ごした過去2シーズンは苦しかった。リーグ17得点をマークしたから昨季はまだよかったが、今季はわずか1点のみ。ケガで苦しみ、思うような活躍ができなかった。それでも世界トップ選手の集うプレミアリーグで得た経験値は彼にとっての大きな財産に他ならないはずだ。そのキャリアを引っ提げ、新天地に赴く36歳の点取り屋の再ブレイク、そしてロシア行きはあるのか。ピッチ内外で世界を騒がせ続けてきた男の今後が非常に興味深い。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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