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サッカー フットサル コラム 2018年3月25日

リンガードの代表初ゴールでオランダを撃破。ロシアに向け、さらなる点取り屋台頭が求められるイングランド

元川悦子コラム by 元川 悦子
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3月23日に各地で国際Aマッチが行われ、日本代表はベルギー・リエージュでマリと対戦。仮想・セネガルと位置付けられる相手を確実に攻略して、3か月後に迫った2018年ロシアワールドカップ本大会に弾みをつけたかったが、序盤の相次ぐ決定機を逃したことで苦境に陥り、この日代表デビューした30歳の宇賀神友弥(浦和)がPKを献上。アフリカ予選敗退国に黒星寸前まで追い込まれた。

その窮地を救ったのが、宇賀神同様A代表デビューを飾った中島翔哉(ポルティモネンセ)。2018年リオデジャネイロ五輪に挑んだ手倉森誠監督(現代表コーチ)率いるチームで通算19ゴールを挙げている小柄なゴールハンターの一撃で、日本は赤っ恥だけは回避できた。中島がインパクトを残したことは収穫だったが、チームとしての完成度は依然として低いまま。暗雲立ち込める状況なのは間違いないだろう。

そんな日本とは対照的に、強豪国は順調なチーム作りを進めている。2014年ブラジル大会王者のドイツはスペインと1-1のドローとなったが、トーマス・ミュラー(バイエルン)がゴールを奪うなど、過去のワールドカップ経験者たちが調子を上げつつあるようだ。2016年欧州選手権(フランス)王者・ポルトガルも現時点でイングランド・プレミアリーグ得点ランキングトップを走るモハメド・サラー(リバプール)擁するエジプトを2-1で撃破。本番に向けて自信を深めたはずだ。フランスは日本と同組のコロンビアに2-3の逆転負けを食らったが、百戦錬磨のディディエ・デシャン監督の手腕があれば、修正できるだろう。

そしてイングランドはロシア切符を逃したオランダとアムステルダムで激突。今回はエースFWでキャプテンのハリー・ケイン(トッテナム)が負傷で選外になったことから、誰が点を取って勝つかという点が最大の注目点だった。ガレス・サウスゲート監督は3-1-4-2の布陣を採用し、2トップに最近好調のマーカス・ラッシュフォード(マンチェスターU)とラヒム・スターリング(マンチェスターC)を配置。2列目の中央にジェシー・リンガード(マンチェスターU)とアレックス・オックスレイド・チェンバレン(リバプール)を入れるという形でスタートした。

彼らは開始10分、最終ラインの一角を占めていたジョー・ゴメス(リバプール)が負傷し、ハリー・マグワイア(レスター)との交代を余儀なくされた。堅守はイングランド最大の武器であり、チームのベースであるため、DF陣のアクシデントの影響が懸念されたが、大きな問題は出なかった。さすがは最近5試合無失点が続いているチーム。誰が出ても守りの硬さは揺るがない。そこはサウスゲート監督も絶対的自信を持っている点だろう。

その後もイングランドが押し気味に試合を進めたが、勝負を決める1ゴールを叩き出したのが、リンガード。相手DFがクリアしたこぼれ球をペナルティエリアやや外側で拾った彼は思い切って右足を一閃。待望のイングランド代表初ゴールをゲットする。今季プレミアリーグでは8得点とまずまずの働きを見せている彼らしく、ここ一番のフィニッシュ鋭さは目を引くものがあった。

しかしながら、ゴールはこの1点のみ。サウスゲート監督は先発組のラッシュフォードとスターリングに加え、後半途中からジェイミー・ヴァーディー(レスター)にウェルベック(アーセナル)、デレ・アリ(トッテナム)といったアタッカー陣を次々と投入。彼らの一挙手一投足を見守ったが、最後まで追加点は生まれなかった。そこは多少の失望感も漂ったかもしれない。

2016年欧州選手権や2014年ブラジルワールドカップを見ても分かる通り、イングランドは決定力不足が最大の引き金となって上位躍進が叶わなかった。これまではウェイン・ルーニー(エバートン)という怪物FWの傑出したセンスの依存してきた傾向が高かったが、そのルーニーが去った今、他のFW陣が確実に結果を残さなければならない。もちろんプレミア2年連続得点王のケインは計算できる存在だが、彼もロシアでフル稼働できるという保証はない。それ以外の得点源がなければ勝ち上がるのは難しいのだ。

そんな中でも今回、リンガードが代表初ゴールを奪ったのは収穫だ。彼の一撃で代表戦7戦無敗という安定した戦いぶりを見せているのも前向きな要素と言っていい。ここからイングランドがもう1つ上の段階に飛躍するためには、リンガードのような新たなゴールハンターが出てくることが必要不可欠だ。それが果たして誰なのか。そこに注目しながら、27日の次戦・イタリア戦、そして3月末から再開されるプレミアリーグ終盤戦を見てみたい。

代替画像

元川 悦子

もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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