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「その瞬間を待つだけだった」プック・ピーテルセがワンデークラシック初タイトル オフロードの女王が“丘の女王”に!【Cycle*2025 ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌ:レビュー】
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ワンデークラシック初戴冠のプック・ピーテルセ
あくまでシンプルに、深く考える必要はなかったという。昨年のツール・ド・フランス ファムでステージ1勝を挙げ、ロードシーンにもその名を売ったプック・ピーテルセ(フェニックス・ドゥクーニンク)がワンデークラシック初戴冠。オフロードでは名実ともに世界のトップを行く若きマルチライダーが、ロードでは唯一無二の“丘の女王決定戦”を制した。
「冷静さを保つのは簡単でした。大多数の選手とチームが最後の上りを待つのは分かっていましたからね。私も同じことをするだけでした。退屈になって眠くならないようにだけ心掛けて走っていましたよ(笑)」(ピーテルセ)
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ウィメンズワールドツアーの中でも伝統あるレースである、ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌ。男子レースと同様に、ハイライトとなるのは「ユイの壁」ことミュール・ド・ユイ。登坂距離1.3km、平均勾配9.6%、中腹で最大勾配26%に達する激坂に、今年もトップライダーが集結。2度のユイの壁登坂が待ち受けるが、頂上にフィニッシュラインが敷かれる2回目の上りにすべてが集約される。
過去7回このレースを制し、監督業を経て4年ぶりにユイへ戻ってくる予定だったアンナ・ファンデルブレッヘン(チーム SDワークス・プロタイム)が、数日前から続く風邪が影響し出走を取りやめ。上位進出する力を持つニーヴ・ブラッドバリー(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)もスタートラインにはつかず、いささか波乱含みの幕開けとなった。
140.7kmのレースの大部分で雨が降り、気温も10度前後のタフなコンディション。それでも、強い風を味方につけたプロトンは速いペースで進行する。フィニッシュまで100kmを前に散発的に飛び出した選手たちはほどなくして集団に吸収され、ひとまとまりのままユイを基点とする周回コースへと入っていった。
丘越えのたびに集団からこぼれ落ちる選手が現れ、徐々に消耗戦の様相に。そんな流れの中、セドリーヌ・ケルバオル(EFエデュケーション・オートリー)が飛び出す。先にアタックしていたアンネ・クナイネンブルグ(フォルカーヴェッセルズ・ウィメンズプロサイクリング チーム)と数キロ併走したのち独走に移ると、集団に対して30秒ほどのリードを築いた。
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【ショートハイライト】ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌ|Cycle*2025
単独先頭のケルバオルが1回目のユイの壁へ
残り38kmで迎えた1回目のユイの壁登坂では、メイン集団内いたるところで中切れが発生。多くのチームがアシストライダーを置き去りにするのを嫌い、集団復帰を待つ選択。前を行くケルバオルがすぐ目の前に見えていたが、再び逃がしつつ状勢を整理する。人数がそろったFDJ・スエズやUAEチーム・ADQが最終周回の主導権をとった。
それもありケルバオルに1分近いリードを許した集団だったが、コート・デレッフ(登坂距離2.1km、平均勾配5%)で一気に15秒差まで縮めると、コート・ド・シュラーヴ(1.3km、8.1%)に入った残り7kmでついに吸収。2年ぶりにコース採用されたシュラーヴはメンバーの絞り込みにも大きな意味を持つポイントとなり、ユイの街に戻ってくる段階で最前線には35人ほどしか残らなかった。
ラブースの強力な牽きによって導き出された優勝争いの有資格者
残り2kmでSDワークスが、最後の1kmではFDJが集団を牽引し、いよいよ最後の砦・ユイの壁へ。ジュリエット・ラブース(FDJ・スエズ)の強力な牽きによって導き出された優勝争いの有資格者は、ピーテルセ、デミ・フォレリング(FDJ・スエズ)、エリーザ・ロンゴボルギーニ(UAEチーム・ADQ)、そして前回女王のカタジナ・ニエウィアドマ(キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)。ラブースのアシストを受けたフォレリングがシッティングのまま先頭に出てライバルを揺さぶる。
最大勾配26%のクロード・クリケリオンコーナーを抜けると、勾配は10%台に。残り200mバナーを合図にフォレリングがさらにペースアップを図ると、ロンゴボルギーニとニエウィアドマはついていけない。
しかし、唯一食らいついたピーテルセが一瞬にしてムードを変えた。残り150m、一気の踏み込みでトップに立つと、フォレリングには加速できる脚は残っていなかった。最後の最後まで力強く踏み続けたピーテルセが初優勝、ワンデークラシックでも初めてとなるタイトル獲得の瞬間が訪れた。
「デミ(フォレリング)が良いリードアウトを受けていたので、ひたすらチェックしました。勾配が厳しくなるポイントでもかなり余裕をもって上れていたので、これはいけるのではないかと。どこで加速するか悩んだのですが、最後の150mに賭けました。それからは後ろを振り返らず、フィニッシュラインを目指しました」(ピーテルセ)
そのポテンシャルはオフロードで実証済み。昨年はマウンテンバイク・クロスカントリーで世界女王となり、シクロクロスでも世界選手権の表彰台常連。前述したようにロードでもツールで勝利するなど、マルチライダーとして地位を確立してきた。ビッグタイトル獲得間近と言われ、今季は出場するレースのほとんどで優勝候補に名が挙がっていた。ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌは初出場で、レース前には急坂への適性が未知数とヨーロッパのメディアでは書かれたりもしていたけど、しっかりと、はっきりと強さを示してみせた。
チームメートと喜びをわかちあうピーテルセ
「今日こそは勝ちたいと思っていたので、ホッとしています。次はリエージュ〜バストーニュ〜リエージュですが、結果がどうあれ気にすることではありません。ラ・フレーシュ・ワロンヌ フェミニーヌを勝ちましたから、アルデンヌクラシックは大成功です」(ピーテルセ)
ピーテルセの強さをダイレクトに感じることとなったフォレリングは、敗戦を受け入れつつリエージュへ目を向ける。
「チームとしては完璧なレースでした。最後は自分の力だけに集中するつもりでしたが、プックは私よりはるかに強かったです。彼女がアタックしたときには私には力が残っていませんでした。ただ、調子の良さは実感できたので心配はしていません。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでの勝利を目指します」(フォレリング)
この大会では5度目の表彰台となる3位を収めたロンゴボルギーニも、リエージュへの弾みとなる良いレースだったと明るい。
優勝ピーテルセ、2位フォレリング、3位ロンゴボルギーニ
「今年から加わったチームで好成績を得られたことを喜びたいです。個人的にも3位は大満足。ユイで自信を得られたので、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュがとても楽しみになってきました。精神的にも肉体的にも充実していますから、きっと良い走りができると思います」(ロンゴボルギーニ)
連覇はならなかったがニエウィアドマも4位とまとめ、いよいよ役者がそろってきた印象だ。次なる戦いリエージュは果たして。ユイの壁を駆け上がった勢いそのままにピーテルセが強さを見せるか、リベンジ誓うフォレリングやロンゴボルギーニ、ニエウィアドマが意地を見せるか。もちろんほかの選手たちにもチャンスは十分。おおよそ2カ月に及んだクラシック戦線のフィナーレが近づいている。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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