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【シクロクロス2023/24 WC第14戦 ホーヘルハイデ:プレビュー】WC最終戦はファンデルプールのホームレース、絶対的な主役の座は「天国への階段」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかシクロクロス
今年の冬も終わりに近づいてきた。UCIシクロクロスワールドカップは、1月最後の週末、いよいよ最終戦を迎える。シーズン最後にして最高の大一番、世界選手権を翌週に控え……マチュー・ファンデルプールは再び勝利街道に飛び乗らねばならない!
今季の連勝は10で止まった。暖かなスペインの地中海岸ベニドルムで、5位に沈んだ世界王者が、北へ帰る。母国オランダへ。1年前に5枚目のアルカンシェルを手にした、ホーヘルハイデへ。
世界中のどこよりも、思い出の詰まったコースに違いない。ここは父の生まれ故郷であり、2000年2月、41歳の父がプロ生活最後のレース「Afscheidscross(お別れクロス)」を戦った場所でもある。自らの名を冠したGPアドリ・ファンデルプールで、堂々3位に輝いた父とともに、当時5歳だったマチュー少年も表彰台に上がった。
MVDP自身も、いわゆる「ホームレース」を、かれこれ10回走ってきた。1位が8回、3位が1回と、相も変わらぬ圧倒ぶり。一方で2017年大会24位と、ジュニア時代から現在までの12シーズンで最悪の順位を残したのもまた、ここだった(途中棄権を除く)。スタートから飛ばし、一時は先頭に立ちながらも、急激な疲労感に襲われてしまったのだという。
1988年創設と長い伝統を誇るコースは、2009年、2014年、2023年と、過去3度の世界選手権も受け入れてきた。特に昨大会の機会には、アドリの監修により、コースは大幅に見直された。中でも目玉は中盤に登場した巨大なブリッジ──しかもショッキングピンク。そこを選手たちは、1ラップで3回も登って降りた。
ただし、あくまで、あれは世界選手権用のド派手な演出だったようだ。今大会は3車線のブリッジは撤収され、シンプルなものが2つのみ。逆に無数に付け加えられた直角&180度コーナーは残った。これは細かいアップダウンとの相乗効果で、うんざりするほどのストップ&ゴーを生み出すはずだ。さらに「郊外型」と呼ばれる今大会にふさわしく、アスファルト、草、枯れ葉、小石、ペイヴメント……と路面状況は目まぐるしく変わる。
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【コーナリング】辻啓のシクロクロス解説動画 第6弾
なによりホーヘルハイデ自慢の「階段」が、再び絶対的な主役の座に躍り出る。コース最終盤に待ち構える難所は、どこよりも高く、長く、まるで無限に登り続けるかのようで……「天国への階段」とさえあだ名される。ここを上り詰めれば、あとはそのままフィニッシュラインまで突っ走るだけ!
ファンデルプール最大のライバル、ワウト・ファンアールトとトム・ピドコックがひと足早くこの冬のシクロクロスを切り上げ、たしかに少し寂しくなってしまった。ただ次週の世界選手権の夜に自転車を降りるズデネック・シュティバルは、自身が3度目の世界選優勝をつかみ取ったホーヘルハイデへ、お別れを言いにやってくる。チェコ入りの前に、各年代別日本代表選手も参戦。エリート男子では、沢田時がこの第14戦にエントリーしている。
そして最終戦までもつれたUCIワールドカップの2023/24シーズン総合争いも、とうとう決着がつく。もちろん通算317ポイントで首位に立つエリー・イザビットが、2年ぶり2度目の総合優勝を、ほぼ手中に収めている。それでも34ポイント差で2位につけるヨリス・ニューエンハイスにも、一縷の望みがないわけではない。もしニューエンハイスがホーヘルハイデ大会の勝者となり、イザビットが20位以下に終わったその時……大逆転は起こる。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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