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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2023 レースレポート:第10ステージ】“トップ・ガンナ”が世界最高峰のタイムトライアル対決を制す「チームの士気にとって、非常に大切な勝利になったと思う」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか本人のセリフ通り、エヴェネプールは12.5km地点の第1計測を、ガンナより11.34秒遅れの3位で通過した。つまり2分前にスタートした2位通過ログリッチよりも、この時点では0.59秒遅かったことになる。しかし19.5km地点の第2計測では、ガンナとの差は18秒に開いたものの……ログラとは立場を逆転。しかもこの時点で有していた8.8秒リードは、25.8km地点のフィニッシュでは、20秒に広がっていた。
現役個人TT世界チャンピオンのレムコ・エヴェネプール
「他の総合ライバル」に対しては、エヴェネプールはさらに大きなタイム差を押し付けた。区間4位ジョアン・アルメイダに34秒、5位アレクサンドル・ウラソフに36秒、7位フアン・アユソに55秒、そして10位ヨナス・ヴィンゲゴーに1分02秒。区間16位エンリク・マスにいたっては、1分半も突き放してしまった。
おかげで休息日前夜までかなりの団子状態だった総合争いも、いよいよ、はっきりとした差が生まれた。1週目に3日間マイヨ・ロホを着用し、いまだ総合勢としてはトップにつけるエヴェネプールの、ログリッチに対するリードは7秒から27秒に開いた。11秒差につけていたヴィンゲゴーとマスは、それぞれ1分13秒差と1分41秒差に後退。またアルメイダは1分07秒差に、アユソは1分16秒差につける。
それでも、総合の位置に関しては、エヴェネプールは総合4位から1つ順位を上げ、レニー・マルティネスから新人賞ジャージを返却してもらったに過ぎない。いまだ43秒前にはマルク・ソレルが控え、1分09秒先にはセップ・クスが立ちはだかっている。
「今日のクスは素晴らしいTTを実現させた。彼の走りを見て少し驚かされたけど、素直に称賛したい。脱帽だ」(エヴェネプール)
今年はジロの最終TTで6位、ツールのTTで14位と、「登坂タイムトライアル」では決して悪くない成績を上げてきたヒルクライマーが、前半に小さな起伏がある以外は……ほぼ平坦なスペシャリスト向けコースで区間13位に飛び込んだことは、間違いなく、大きな快挙だった。クスは人生3度目のマイヨ・ロホ表彰式を楽しんだ。
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