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【Cycle*2023 クリテリウム・デュ・ドーフィネ:レビュー】ヨナス・ヴィンゲゴーとユンボ・ヴィスマの強さが際立った大会、8ステージ中4区間の勝利、個人総合とポイント賞を獲得
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸アルプス近郊を走るクリテリウム・デュ・ドーフィネ
UAEチームエミレーツのエースとして出場しているアダム・イェーツ(英国)は、総合2位につけていたアージェードゥーゼール・シトロエンチームのベン・オコーナー(オーストラリア)をふるい落とし、ヴィンゲゴーから2分11秒遅れの総合2位に浮上するのが精一杯。オコーナーは2分24秒遅れとなって総合3位に後退した。
「最終日は自分の気持ちがどうなるか分かるだろうが、全く違うステージだ。いずれにせよ、今年最大のレースの一つなので、明日勝てればとても光栄だ。自分が最高の状態にあるとは思っていない。今からツール・ド・フランスまでにやるべきことはまだたくさんある」とは最終日前日のヴィンゲゴーのコメント。
最終日となる第8ステージでもヴィンゲゴーは安泰のレースぶりを見せつけた。独走勝利したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)に続き、ヴィンゲゴーは総合優勝争いをしていたライバルたちをふるい落とし、区間2位でゴールした。
「UAEチームエミレーツのマイカがグループの先頭を走っていて、アダム・イェーツが最後の上りでアタックしようとしているのが予測できた。いい感じだったので、またアタックをやってみた。今週はとても満足できる。調子もよく、チーム全体も素晴らしかった」(ヴィンゲゴー)
総合2位はアダム・イェーツで2分23秒遅れ、同3位はオコーナーで2分56秒遅れ。ポイント賞はラポルト、山岳賞はチッコーネ、新人賞はカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が獲得した。
2022ジロ・デ・イタリア総合優勝のジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)は3分16秒遅れの総合4位。大事故から復帰したイネオス・グレナディアーズのエガン・ベルナル(コロンビア)は6分44秒遅れの総合12位。カラパスは35分32秒遅れの総合36位。
大会運営はツール・ド・フランス仕様だ
ユンボ・ヴィスマ勢はラポルトとベノートが力強い走りを見せて、ツール・ド・フランスでの計算できる戦力に。一方、ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)が第2ステージで負傷リタイアし、7月に間に合わないことが判明。チームは5月のジロ・デ・イタリアを走った要員からツール・ド・フランスのメンバーを起用する必要が生じた。
「総合成績でこれほどの差が広がったことに少し驚いている」と総合優勝を決めたヴィンゲゴー。最終日前日の記者会見で語った言葉が微妙に変化した。
「これからは数日間休みを取って、ツール・ド・フランスの準備を続けたい。まだやるべきことは少し残っているが、それほど多くはない」
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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