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【ジロ・デ・イタリア2023 レースレポート:第11ステージ】勤勉なドイツ人スプリンター、パスカル・アッカーマンが4年ぶりのステージ優勝 ゲイガンハート落車リタイアでマリア・ローザ戦線にも変化
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介勝利を量産していたボーラ・ハンスグローエ時代のように、リードアウトマンが充実しているわけではない。それでも、限られたリソースで勝てることをアピール。群雄割拠のスプリント戦線に、大物が帰ってきた。
「家族全員がイタリアまで来てくれたんだ。みんなが見守る中で勝てて僕は幸せ者だよ!」(アッカーマン)
混戦のスプリントは、勝てずとも自信をみなぎらせるには十分だったよう。2位のミランも、3位のカヴェンディッシュも、レース後には声を弾ませた。
「負けたけど、最後の数百メートルは僕が一番速かったんじゃないかと思う。それが分かっただけでも大きな収穫だよ。マリア・チクラミーノを11日間着続けているけど、それに恥じない走りを心掛けるよ」(ジョナサン・ミラン)
「スプリントに持ち込むためのチーム戦術は完成に近づいているよ。今日は純粋に僕の負け。みんなはよくやってくれた。不安なんか一切ないよ。このままいけば目標を達成できることは経験上分かっているからね」(マーク・カヴェンディッシュ)
スプリント機運が高まっていた後方では、残り1.6kmで落車が発生。これで多くの選手が足止めとなったが、フィニッシュ前3km以内でのトラブルに対する救済措置でステージ124位までがトップと同タイム扱いに。
個人総合上位陣は、リタイアしたゲイガンハートのほか、8位でスタートしていたパヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)も負傷し大きく遅れを喫した。これによって、首位トーマス、2位ログリッチに続いてアルメイダが22秒差の3位に上がっている。
レース後に握手をかわすトーマスとログリッチ
「昨日、チーム内に強い選手がそろっていることを確認し合ったばかりだったんだ。その矢先に事態は急転してしまったね。だけど、これもサイクリングだよ。起きている事象を受け入れ、ポジティブに取り組めるかどうかにかかっている。ジロはチームの夢なんだ。私たちにはまだまだやるべき仕事があるよ」(トーマス)
救急搬送されたゲイガンハートは大腿骨転子部骨折との診断。また、前走者のタイヤに接触し、コントロールを失ったまま道路標識とコンクリート壁にぶつかったオスカル・ロドリゲス(モビスター チーム)も負傷リタイア。11ステージを終えた時点での離脱者は36人を数え、プロトンには140人しか残っていない状況となっている。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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