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サイクル ロードレース コラム 2008年5月12日

【ジロ・デ・イタリア2008】第2ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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青い海と美しい砂浜、そしておとぎの国に迷い込んでしまったかのような中世の町セファルを抜けると、たった10kmほど走っただけで2008年ジロ初めての山岳に突入した。しかも最初から難関2級峠越え!そして峠越えの直後には、今年最初のグランツールの最初のエスケープが発生。逃げたロースリ(ランプレ)とロワ(フランセーズデジュー)は途中10分以上のタイム差を後続につけたが、残念ながら今ジロ最初の大逃げ勝利はならず。山岳賞やポイント賞獲得も果たせず、レース後の表彰台に登ることは叶わなかった。

ただし2人が得たものもある。ロースリは「エクスポ・ミラノ2015スプリント賞(1箇所設けられた中間スプリントポイント)」と「敢闘賞(ゴール、中間スプリント、山岳通過の複合)」の2賞を獲得。ロワも「フーガ・セルヴェロ賞(逃げ距離)」なるものを手に入れた。ちなみにほとんどメディアで語られることもないが、そのほかにも「アッズリ・ディターリア賞(ゴールに設けらた特設ポイント)」や「シチリア地方杯(シチリア3ステージの結果)」なる賞が存在している。

峠越えで幕を開けた異例のジロだったが、グランツール序盤恒例の落車ラッシュからは逃れられなかった。しかもグセフ(アスタナ)、ソレル(バルロワールド)、ディーン(スリップストリーム)、リッコ(サウニエルドゥバル)といった有名選手たちが次々と犠牲に。中でも不運だったのは、前日のチームタイムトライアルで尽力したアメリカTTチャンピオンのザブリスキー(スリップストリーム)は、2度の落車。2度目は激しく地面に叩きつけられ、腰椎骨折で即時リタイアを余儀なくされてしまった。

前日の明るい雰囲気から一転、早くも負傷者(ディーン)と脱落者(ザブリスキー)を出してしまったスリップストリームは、それでもヴァンデヴェルデのマリア・ローザを守るためにプロトン前方で集団コントロールにいそしんだ。特に長時間に渡り先頭を引き受け、働きが目立ったのは大きな体のバックステット。ただし1回目のゴールライン通過へ向けての厳しい登りが始まると、スリップストリーム陣はヴァンデヴェルデを除いてずるずると後退した。

この日はゴールラインを1度通り抜けたあと、プロトンは13.2kmの「1994年世界選手権」コースを一周した。そしてこの激坂が——第2ステージにして早くも——強豪たちによる今ジロ最初の脚試しの場となる。ベッティーニ(クイックステップ)やレベッリン(ゲロルシュタイナー)というワンデーハンターはもちろん、ディルーカ(LPR)、シモーニ(ディキジョバンニ)、リッコ、ピエポリ(サウニエルドゥバル)、ニバリ(リクイガス)、さらに「まだまだ本調子ではない」……と言うコンタドール(アスタナ)。そして豪華な競り合いから、一気にゴール前1kmで飛び出したのはスペイン王者ロドリゲス(ゲースデパーニュ)だ。

果敢にアタックをかけた山岳強者にとって無念だったのは、最終450mの90度カーブを曲がると、あとはゴールまで緩やかに下り気味のロングストレートだったこと。後ろから追い上げてくるつわもの達のスピードはどんどん加速し、結局、残りわずか75mで捕らえられてしまった。そしてロドリゲスをとらえる前から既にスプリント先行していた24歳リッコが、ディルーカやレベッリンという激坂ゴール得意の大先輩を差し置いて、見事なステージ優勝を奪い取った。「イタリア自転車界の未来」と期待される若者にとっては、昨大会の第15ステージに続く2度目の区間優勝。次は第7ステージを狙いに行く、と頼もしい勝利宣言も飛び出した。

また同タイム区間4位のペッリツォッティ(リクイガス)が、人生初のマリア・ローザを獲得。ヴァンデヴェルデはわずか1秒差で総合首位の座を引き渡したが、「たった1日だったけれど、本当に素敵な思い出さ!」と満面の笑みを見せていた。


●リカルド・リッコ
ステージ優勝、ポイント賞獲得

今日は調子が良かった。ようやくボクは不運を後ろに追いやることが出来たみたいだね。実は今日、ボクは落車したんだ。踏み切りでザブリスキーが転んだときに一緒にね。今回だけではなくて、今シーズンは何度も不運に見舞われた。ティレーノ〜アドリアーティコでは2回落車しているし、バスク一周ではゴール前300mで転んだし。春クラシック前にはインフルエンザにかかってしまった。だからこの勝利のおかげで、運気を変えることが出来たと思う。でも、もしかしたらこれら不運のおかげで、エネルギーが温存されていたのかもしれないね。

今ジロの難関山岳ステージは全て試走した。ボクにとって一番難しかったのは第15ステージ。でも15という数字はボクに幸運をもたらしてくれるはずさ。だって去年ボクが勝ったのは第15ステージだから。そして前日の第14ステージから3日間連続、フラットな道は存在しない。だからこの3日間は非常に重要なステージとなるだろう。


●フランコ・ペッリツォッティ
マリア・ローザ

ジロに向けてしっかり調整してきた。好成績を出す準備は出来ている。しかも今年は幸運にも、チームがボクにキャプテンの座を与えてくれた。マリア・ローザでミラノにたどり着きたいと思っている。マリア・ローザを着ることは、ボクのプレッシャーになるんではないんだ。むしろチームへの重圧が大きいんじゃないかな。明日はそれほど難しいステージではないから、ベンナーティのステージ優勝とマリア・ローザ保守の2つの目標をしっかりと叶えたいね。

このジャージは家族に捧げたい。妻と5歳の息子、そして10月に生まれてくる娘にね。このマイヨは娘のものでもあるよ。それから今日、イタリアは母の日だから、ママンにもこのジャージを捧げたい。実は2002年の父の日にボクはプロ入り初勝利をあげて、パパに勝利を捧げているんだよ!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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