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【ツール・ド・フランス 2021 コースプレビュー】全行程3383kmを走破する21日間の戦い。第11ステージにはプロヴァンスの巨人モン・ヴァントゥが立ちはだかる!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか近年は難関山岳バトルにとりわけ重点を置いてきたツールだが、今年はむしろオールラウンドな戦い。軽いアップダウンから個人タイムトライアル、さらには超がつくほどの長距離ステージまで、あらゆる能力が求められる。
しかも開幕から2日連続で、いきなりアップダウンの果ての急坂フィニッシュが組み込まれた。ツール初日の終わりにマイヨ・ジョーヌを着ているのが、スプリンターでもタイムトライアルスペシャリストでもなく、おそらくパンチャーとなるのは、2011年大会以来10年ぶり。
かといって今大会がスプリンターに優しくないわけではない。大集団フィニッシュのチャンスは全部で8回も用意された(第3、4、6、10、12、13、19、21ステージ)。昨大会が6回だったことを考えれば、俊足たちのやる気も向上するはず。キング・オブ・スプリンターの証マイヨ・ヴェール争いも、前回以上に加熱必至だ。
昨年は個人TTでポガチャルに抜かれて優勝を逃したログリッチ
第5ステージには今大会1度目の個人タイムトライアル27.2kmが待ち受ける。第20ステージの個人TT30.8kmとあわせた全長58kmは、過去8大会で最長。しかも2区間ともほぼ平坦の、いわゆるスペシャリスト向けコースだから、線の細いクライマーにとってはいわゆる鬼門となる。
大会7日目に248km……という、とてつもなく長い「移動」ステージが登場するのは、コペンハーゲン開幕からブルターニュ開幕へと切り替えた帳尻合わせのため。ワンデークラシック顔負けの長距離をツールのプロトンが走るのは、2000年大会の254.5km以来、実に21年ぶり。一方で近年積極的に取り入れてきた超短距離の難関山岳ステージ(2017年101km、2018年65km、2019年111km)は、今年は130km(第18ステージ)と少々控えめ。
もちろん山を越えることができなければ、ツールの頂点は手に入らない。今年は開幕から1週間過ぎた第8ステージで、いよいよ本格的な山の戦いへと突入する。アルプスで過ごすのは2日間。1日目のル・グラン・ボルナンは2018年にジュリアン・アラフィリップが初めての区間勝利を手にした場所、2日目のティーニュ山頂フィニッシュは、2年前、土砂崩れによるステージ中断でアラフィリップがマイヨ・ジョーヌを失った場所と、なにやら意味深な地名が並ぶ。
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