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しかし、エアロスーツが、2人の間をすり抜けた。24時間前にはエステバン・チャベスのためにチーム全員で猛攻を行ったオリカ・バイクエクスチェンジが、この日はスプリンターを輝かせた。第12ステージでやはりスプリント勝利を手にしたイェンス・ケウケレールが、この日は最終発射台役を務めた。マグヌス・コルトが先頭へと駆け上がると、そのままフィニッシュラインを鮮やかにさらいとった!
ほんの3日前に、グランツール初出場・初区間勝利の快挙を祝ったばかりの23歳が、早くも2勝目を手に入れた。2016年ブエルタで区間勝利を上げた17人中、最終的には13人が、グランツール初優勝の喜びを味わった。初出場初優勝は第4ステージのリリアン・カルメジャーヌ、第7ステージのヨナス・ヴァンヘネヒテン、第18ステージのコルト、そして第20ステージのピエール・ラトゥールの4人だった。また複数勝利(2勝)はメールスマン、クリス・フルーム、そしてコルトの3人。
別府 史之と新城 幸也も最終スプリントに加わり、そして別府 史之のチームメートのフェリーネは20位、アレハンドロ・バルベルデは48位で最後のステージを締めくくった。この瞬間に、トレック・セガフレードの上れるスプリンターのポイント賞受賞が決定した。チームにとってはジロのジャコモ・ニッツォロに続く、今季2枚目のポイント賞ジャージとなった。
スプリンターたちが大急ぎで駆け抜けた背後では、赤いジャージが天にガッツポーズを突き上げながら、大会最後のフィニッシュラインを越えた。26歳のナイロ・キンタナが、2014年ジロ・デ・イタリアに次ぐ、自身2度目のグランツール制覇を成し遂げた。所属チームにとっては通算4回目のブエルタ総合・14回目のグランツール総合優勝。また1987年ルイス・エレラに次ぐ、史上2人目のコロンビア人ブエルタ王者となった
7月のツールでは上から3番目の場所に立ったナイロ・キンタナだが、あの時は最上段にいたクリス・フルームが、スペインでは総合2位で終えた。またジロでは総合2位だったチャベスが、ブエルタでは3位についた。つまり3人が3人共に、2016年2度目のグランツール表彰台を楽しんだことになる。残念ながらクリス・フルームの挑戦、つまり1978年以来初となるツール&ブエルタの同一年制覇は、失敗に終わった。ただ決して不可能な賭けではないことを、自転車界は改めて認識させられた。
ちなみにジロ総合3位のバルベルデは、ポイント賞こそ逃したけれど……、フェアプレー賞受賞者として表彰式に臨んだ。また惜しくも総合4位に終わったアルベルト・コンタドールは、その勇敢なる走りが讃えられ、総合敢闘賞に選出された。
2016年ブエルタの戦いは、美しく幕を閉じた。来年はジロ・デ・イタリアが記念すべき100回大会を迎えるから、例年以上にビッグネームたちの参戦が期待される。おそらくツール・ド・フランスでは、ナイロ・キンタナが3大ツール全制覇をかけて、新たにクリス・フルームと熾烈な戦いを繰り広げるに違いない。そして1年の終わりには……、いつも通りに、3大ツールで一番クレイジーなブエルタ・ア・エスパーニャが待っている!楽しみな2017年大会は、フランスのニームから走り始める。
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