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サイクル ロードレース コラム 2017年4月20日

サイクルロードレース サイクルロードレースレポート 2017年04月20日17:30 【リエージュ~バストーニュ~リエージュ プレビュー】世界で最も美しく、世界で最も古い丘陵戦。現役最多勝利を誇るバルベルデに、この春の石畳王ヴァンアーヴェルマートが挑む。

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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この世にたった5つしか存在しない自転車界の「モニュメント」の中でも、1892年に誕生した「ラ・ドワイエンヌ(最古参)」が、今年も、春クラシックシリーズの幕引き役を務める。美しき緑の萌える丘陵地帯で、栄光のリエージュ~バストーニュ~リエージュ(以下LBL)覇者の称号を巡って、ヒルクライマーやパンチャーたちが熾烈な戦いを繰り広げる。

ところで1年前は、ほんの少し、道を外れてしまった。同じモニュメントのミラノ~サンレモの様式美が超がつくほどの長距離走の果てのポッジオでの駆け引きであり、ツール・デ・フランドルが石畳の激坂合戦、パリ~ルーベが石畳の平地耐久戦であるならば、LBLは純粋なる丘陵戦でなければならないはずだった。しかし2年連続で大集団フィニッシュにもつれ込んだせいで、悩みに悩んだ開催委員会は、「ファイナルにちょっとしたスパイスを」効かせることにした。それが2016年大会の、ゴール前2.5kmに登場した、オール石畳の激坂……。

スパイスの効果は絶大だった。悪天候で極めて滑りやすくなったパヴェで、4選手が力技で抜けだすと、そのままスプリントフィニッシュにもつれ込んだ。絶大すぎた……のかもしれない。そんなわけで、2017年大会のコース図から、石畳の激坂は姿を消した。LBLは混ざりモノなしの丘陵戦に、立ち返った。


しかし昨大会より5km長い、全長258kmのコース上には、新たな、しかし伝統に則ったスパイスが加えられた。もちろん全体像はいつもと同じ。リエージュの君主司教宮殿前から走りだし、南下してバストーニュまでたどり着いたら、折り返して再びリエージュを目指すというもの。コース上には10の起伏が散りばめられた。

ただし「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスの記念碑が建つ、最大勾配17%のコル・ド・ストクーが、昨大会に続いて道路工事で通行不可能のまま。1年前は、単純に、迂回した。今年は、スパイスとして別の坂を、組み入れてみることにした。同時にストクー前後の伝統坂も思い切ってカット。つまりワンヌ→ストクー→オート・ルヴェという3連続坂道を迂回し、新たにポン→ベルヴォー→フェルム・リベールという3連続が導入される。

新たな3つの丘は、コースの約3分の2を走り終えた頃に、立て続けに登場する。168km地点コート・ド・ポン(登坂距離1km、平均勾配10.5%)、172kmコート・ド・ベルヴォー(1.1km、6.8%)、180kmコート・ド・ラ・フェルム・リベール(1.2km、12.1%)と、いずれもかつての3連続よりも登坂距離は半分ほどだが、逆に勾配はキツい。特に3つ目のフェルム・リベールは、登坂口が15%、最大19%という、なかなかの激坂だ。この3連続を利用して、プロトンは本格的な戦闘態勢に突入するに違いない。

そこから先の最終盤は、おなじみの勝負坂を巡っていく。ラ・ルドゥット(222.5km地点、2km、8.9%、22%)で攻撃がかかるか。近頃の流行りに乗って、続くラ・ロシュ・オ・フォーコン(239km地点、1.3km、11%、16%)が、決定的アタックの舞台となるか。252.5km地点から始まるサン・ニコラ(1.2km、8.6%、13%)を終えると、後はフィニッシュ地アンスまでへと続く、ゆるやかな上り坂が待っている。

サン・ニコラで自ら動き、さらに15人ほどに絞りこまれたアンスで老練に立ち回り、小集団スプリントを制したのが2015年のアレハンドロ・バルベルデだった。今年も水曜日に激坂ユイを制し、フレーシュ・ワロンヌ4連覇5勝という大偉業を成し遂げたばかりの絶好調36歳は、このLBLに関しても現役最多の3勝を誇る。2006年に初優勝を手にした時も、やはりアンスには、1ダースほどの集団で飛び込んだ。2008年だけはラ・ロシュ・オ・フォーコンでの動きに反応し、先にアタックを決めていたアンディ・シュレクをサン・ニコラで抜き去ると、最終的に3人のスプリントを制している。「石畳の激坂」という要因が消えた2017年大会は、4勝目を狙う絶好のチャンスに違いない。

一方でこの春、石畳クラシックで大暴れしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマートにとって、石畳消失は少し残念なニュースかもしれない。なにしろオムループ・ヘットニュースブラット優勝、E3ハーレルベーケ優勝、ヘント~ウェヴェルヘム優勝、ツール・デ・フランドル2位、パリ~ルーベ優勝と北の大地を制圧してきただけではもの足りず、4年ぶりにLBLに乗り込んでくるのだ。そもそもリオ五輪という恐ろしいアップダウンレースを制したヴァンアーヴェルマートだから、調子さえ完璧なら、LBL制覇は不可能ではない。不安材料は石畳連戦による疲れ。ちなみに過去3回参戦して、2011年の7位が最高位。先の日曜日のアムステル・ゴールドレースは12位に終わった。

ミラノ~サンレモ覇者のミハウ・クフィアトコフスキーは、アルデンヌ3連戦の前半2レースでも、アムステル2位、フレーシュ7位と存在感を示している。同じくアムステル3位、フレーシュ5位のミヒャル・アルバジーニや、元LBL覇者でユイのてっぺんでは2位に滑り込んだダニエル・マーティンと共に、優勝争いに絡む危険人物となりそうだ。

また「ツール総合優勝は現実的ではないけれど、LBL優勝なら可能」と今季自信を持って宣言するロマン・バルデや、「グランツール総合争いを本格的に考える前に、まずはクラシックを勝ちたい」と語るワレン・バルギル、「グランツール総合争いは一旦休んで、今年はクラシック」というリゴベルト・ウラン等々……の、いわゆるグランツールライダーたちの動きにも目が離せない。

グランツールライダーの中でもトップ中のトップ、クリス・フルームの第一アシストを昨ツールで務めたワウテル・プールスは、ディフェンディングチャンピオンながら、膝の怪我によるリハビリ中のため欠場を発表している。また別府史之が4年連続6回目の、新城幸也は落車骨折した2015年大会以来となるラ・ドワイエンヌ出場を果たす。


■リエージュ~バストーニュ~リエージュ放送情報
4月23日 (日) 午後9:10~深夜1:00 生中継&LIVE配信

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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