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バスケット ボール コラム 2019年8月9日

八村塁、衝撃のウインターカップデビュー。スーパールーキーが東京体育館を席巻【ウインターカップ2013】

ウインターカップコラム by 小永吉 陽子
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八村塁

「明成の14番は何者だ!?」

2013年のウインターカップ。東京体育館で躍動する明成のスーパールーキー、八村塁に対してはそのプレーを目撃した誰もが感嘆の声を上げていた。夏のインターハイでベスト4入りしていた明成だが、高校入学当時の八村は197㎝のサイズを持ち、無限の可能性を秘めていた選手だったが「まだ体力がなく、基礎的なことを身につけるのはこれから」と佐藤久夫コーチが言っていたように、特別に際立った活躍をしていたわけではなかった。

ただ、身体能力の高さでは群を抜いていたことから、佐藤コーチの下できめ細かな指導を受けると、秋にはU16代表として出場したアジア選手権で3位となり、U17ワールドカップの出場権を獲得する立役者になる。夏まではチームにフィットしていなかった1年生が、ひと夏を超え、国際大会を経験したあとはメキメキと上達。そして多くの観客の前で『センセーショナル』な活躍を披露したのが、冬のウインターカップだったというわけだ。

八村の何がセンセーショナルだったのか? メキメキと上達したところは何か? それはポストプレーとリバウンドだ。まるで教科書通りともいえる面取りのうまさやタイミングの良さに加え、フェイクやステップを巧みに使って攻め、フィニッシュは柔らかくて正確。ブロックショットやリバウンドでは長いリーチを生かして伸びのあるプレーを見せる。こんなにもしなやかで、かつダイナミックにポストプレーをする選手は今までの日本にはいなかった。また、インサイドの八村を使う周りの選手たちも個性的な選手が多かった。

2013年度の明成は、#6植村哲也と#4金子大希というタイプの違う2ガードがスピーディーに、時にはクレバーにゲームを組み立て、3ポイントが得意な#10白戸大聖、走れるインサイドプレーヤーの#11宮本滉希ら3年生が軸となり、どこからでも攻められる布陣で勝負の年を迎えていた。その3年生集団の中に、一人1年生としてセンターのスタメンをつかんだのが八村塁だった。

この年は夏のインターハイでは京北が優勝し、国体でも京北と八王子学園八王子を主体とした東京が優勝し、ウインターカップでも京北が優勝候補の筆頭だった。ただ、夏の時点ではフィットしていなかった八村が想像以上に成長したことで、1年間を通しての伸び率という点では、明成にかなうチームはなかったといえる。

準々決勝ではキャプテンの植村と小岩四中時代にチームメイトだった新号健を擁する八王子と対戦。この試合が最初のヤマ場だったが、この試合を81-67で下すと、準決勝はインターハイ準優勝の藤枝明誠に108-92で勝利。

そして決勝で迎えたのは、この後ライバルとなる福岡大附大濠。エースの杉浦佑成と津山尚大を擁し、インターハイではベスト4と明成と同様に悔しい思いをした者同士の決戦となったが、主導権を長く握っていたのは明成だった。福大大濠は最後まで八村対策に苦戦し、八村に気を取られるとガード陣の巧みさ、走力、外角シュート力に振り回されてしまった。明成は最後まで主導権を握ったまま92-78で勝利。八村は準々決勝で24点、9リバウンド。準決勝では37点、13リバウンド。決勝で32点、6リバウンドを記録し、圧巻の活躍で大会ベスト5を受賞。1年間かけてチームを作った明成が4年ぶり二度目の栄冠に輝いた。

涙を流して優勝インタビューに答えた植村キャプテンのあと、感想を求められた八村はむじゃきな笑顔で「楽しかった」と言い、プレーのすごさを聞かれると「先輩のパスが良かったから」と、ただただ先輩たちに感謝していた。これまでの道のりを思い浮かべて嬉し涙を流す3年生キャプテンとむじゃきに笑う1年生。その対比と予想外の答えに会場がドッと沸くのだが――これは八村劇場の序章にすぎなかった。

先輩から使われる側からゲームを支配する側へ。バスケファンたちはここから2年間、毎年成長する明成と八村塁の姿を冬の東京体育館で目撃することになるのだ。

文:小永吉 陽子

高校バスケ ウインターカップ2013 男子決勝 ハイライト

小永吉 陽子

「月刊バスケットボール」「HOOP」編集部を経て、フリーのバスケットボールライターとして活動。取材フィールドは国内をはじめ、FIBA国際大会など幅広く取材。時には編集や撮影も行う。

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