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6月22日の試合前、ブルペンで投球する大谷
確かな足取りに完全復活への手応えがあるようだった。ドジャースの大谷翔平投手(30)が、ここまで2度の先発でいずれも1イニングずつを投げ、順調にステップアップしている。
「思っていたよりも早めに(投手)復帰はできているので、今日また投げて明日以降の(右肘の)反応を見ながら。徐々に徐々にイニングも増やしていければ、もとの状態以上に戻れるんじゃないかなという、そういう自信は出てきている」
6月22日のナショナルズ戦後には復活の感触を明かした。1度目の右肘手術から復帰した2020年は、コロナ禍でのキャンプとオープン戦が3月中旬に中断。60試合の短縮シーズンだった。
異例の環境で投手として復活を期したが、結局は2度の登板(1回1/3、3安打7失点、8四球)のみで終わり、復活は2021年までずれ込んだ。当時の経験を生かし、2度目のリハビリプロセスは慎重に着実に強度を上げている。
「もとの状態以上に」という表現が自然にできることが、大谷の状態を物語る。もう1度、パワーピッチャーとして勝負したい。だからこそリスクをとって、右肘に2度目のメスを入れ、1年以上のリハビリ期間を過ごしてきた。
「徐々に徐々に」という言葉には焦らず、じっくりと時間をかける、という大谷本人と球団が共通理解をしながら、段階を踏んでいることがうかがえる。
練習でキャッチボールに向かう大谷
投手復帰後は、打撃はやや停滞しているかもしれない。そう思った矢先、登板した22日のナショナルズ戦で26号、24日のロッキーズ戦では日米通算300号となる27号を放った。
投手復帰に伴い、二刀流としての調整ペース、疲労、回復のサイクルを取り戻せば、投打の調子は相乗効果をもたらすはずだ。大谷が『二刀流の身体』を思い出せば、上昇気流に乗るのではないだろうか。何より先発として復帰し、二刀流としてチームに貢献できる実感が、メンタルにも好影響をもたらしている。
「単純にうれしいですし、まだ1イニングですけど、徐々に増やしていければいいなと思います。5回以上、投げられるようになって初めてスターター(先発投手)じゃないかなと思うので、そこまでまずは後退しないように少しでも前進していければいい」
ワールドシリーズ制覇を成し遂げる。チームを勝利に導く世界一の選手になる。大谷が投手としても、打者としてもプレーしたいのは、二刀流でのプレーが貢献度を最大化するから。大谷にはその決意と自信がある。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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@YamadaMLB
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