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野球 コラム 2024年7月16日

都市対抗野球、真夏の東京ドームで社会人最高峰の戦いが開幕

野球好きコラム by 大島 和人
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前回優勝のトヨタ自動車

社会人野球の最高峰「第95回都市対抗野球大会」が7月19日(金)に開幕する。出場32チームによるトーナメント戦だ。30日(火)の決勝戦まで12日間の日程で、東京ドームで31試合が組まれている。

都市対抗はちょっと「クセ」のある大会だ。NPBや甲子園に慣れた人から見ると、不思議なルールがあって、謎を感じることがあるかもしれない。

例えば補強選手ルールはかなりユニーク仕組みだ。都市対抗の予選は北海道、東北、北信越、北関東、南関東、東京……と地区別に分かれているが、敗退チームの中にも高レベルな選手はいる。そんな人材を有効活用する仕組みが「補強選手制度」だ。

都市対抗はJABA(日本野球連盟)に登録した社会人野球による大会だが、彼らは同時に「我街の誇り」を背負うホームタウンの代表だ。東京ならば第1代表、第2代表という勝ち抜き順に予選で敗退したチームの選手を3名ずつ、本大会で「レンタル」できる。それが補強選手制度だ。例えばあの落合博満氏も、東芝府中在籍時には2 度の補強選手経験を持っている。

また、マスコットのレンタルが盛んな大会でもある。過去には例えばセガサミー(東京都)が同じオーナー企業を持つプロバスケットボールのB1「サンロッカーズ渋谷」からサンディーを呼んでいた。

TDK(にかほ市)は第93回大会で同じ秋田県内のJ2ブラウブリッツ秋田、B1秋田ノーザンハピネッツのマスコットを応援席に招待し、ご当地マスコットの揃い踏みを実現した。ブラウブリッツ秋田の「ブラウゴン」は振り付けを完コピし、初回から9回まで全力の応援を見せて一部のファンから称賛を浴びた。

各チームが応援席に呼ぶ「ゲスト」も毎回豪華だ。ワールドビジネスサテライトに登場するような大企業の経営者がファンを前に絶叫し、オリンピックに出場するようなアスリートが同僚を激励する。当該企業のCMに出演している有名タレントも、内野席に出没する。ミーハーの方ならば、試合以上に応援台の様子が気になるかもしれない。

【俺たちの都市対抗】横浜DeNA・度会隆輝選手インタビュー

先に残念な情報をお伝えすると、第95回大会はエンターテイメント性の富む応援でおなじみのセガサミーが予選で敗退。同じく応援力の高さで知られるHonda勢3チームも、すべて東京ドーム行きを逃した。特にHonda熊本は毎回「くまモン」を東京ドームのステージに招集してきたのだが、今回は恐らく彼も不在だ。

当方の取材力不足で「このチームがこのマスコットを呼ぶ」「このチームがこんな応援をする」という情報は十分に把握していない。ただし、都市対抗名物といえばまず応援で、「大人が全力を尽くして遊ぶとこうなる」という大企業やベンチャー企業の底力を楽しめる。

企業チームにとって、都市対抗は高校球児にとっての甲子園大会と同等か、それ以上に重い大会だ。社内や取引先、地域の「一体感」を生み出す場として、これ以上の舞台はない。

何十台という単位で大型バスがチャーターされ、また「団臨」と呼ばれる団体臨時列車も用意される。都市対抗は「乗り鉄」「撮り鉄」にとっても注目度が高い大会だ。

大企業、強豪チームほど都市対抗出場が前提になっていて、予選は重苦しささえ漂うという。一方で全国大会はそんなプレッシャーを跳ね除けたあとに待っている楽しい「お祭り」だ。

最後に大切なことをお伝えすると、都市対抗はレベルが高い野球の大会だ。社会人野球のファンならよくご存知だろうが、社会人の強豪チームはプロの2軍、3軍レベルなら互角以上の戦績を残すレベルにある。

これからプロ野球や侍ジャパンで活躍する選手、プロで活躍できる実力があるのに「縁」がなかった選手と、実力者が各チームに散っている。そんなレベルの高さと、本気で優勝を目指す熱があるからこそ、応援との相乗効果も生まれるのだろう。

各地区からの出場チーム、出場枠は下記の通りだ。

◆推薦(前年度優勝):1枠
豊田市 トヨタ自動車(10年連続26回目)

◆北海道:1枠
札幌市 北海道ガス(4年連続4回目)

◆東北:2枠
仙台市 JR東日本東北(4年連続30回目)
石巻市 日本製紙石巻(4年ぶり6回目)

◆北信越:1枠
高岡市 伏木海陸運送(3年ぶり7回目)

◆北関東:2枠
小山市・栃木市 エイジェック(3年ぶり2回目)
太田市 SUBARU(2年連続29回目)

◆南関東:3枠
さいたま市 日本通運(10年連続49回目)
君津市 日本製鉄かずさマジック(4年連続16回目)
千葉市 JFE東日本(3年ぶり26回目)

◆東京:4枠
東京都 NTT東日本(2年ぶり47回目)
東京都 明治安田(2年連続8回目)
東京都 東京ガス(4年連続25回目)
東京都 JR東日本(15年連続27回目)

◆西関東:2枠
横浜市 三菱重工East(2年連続14回目)
横浜市 ENEOS(5年連続54回目)

◆東海:6枠
浜松市 ヤマハ(6年連続45回目)
岡崎市 三菱自動車岡崎(2年連続14回目)
春日井市 王子(2年連続19回目)
名古屋市 東邦ガス(2年ぶり17回目)
大垣市 西濃運輸(4年連続41回目)
豊川市 東海理化(2年連続7回目)

◆近畿:5枠
大阪市 日本生命(2年連続63回目)
八尾市 ミキハウス(4年連続5回目)
神戸市・高砂市 三菱重工West(4年連続40回目)
姫路市 日本製鉄瀬戸内(5年ぶり33回目)
大阪市 NTT西日本(10年連続35回目)

◆中国:2枠
広島市 JR西日本(3年連続7回目)
福山市・倉敷市 JFE西日本(3年連続13回目)

◆四国:1枠
高知市 四国銀行(2年ぶり22回目)

◆九州:2枠
福岡市 KMGホールディングス(7年ぶり4回目)
浦添市 沖縄電力(10年ぶり5回目)

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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