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野球 コラム 2024年6月10日

早稲田大学、チーム一丸でつかみとった7季ぶりの東京六大学制覇。次に見据えるは全日本大学野球選手権の優勝

野球好きコラム by 早稲田スポーツ新聞会
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東京六大学を7シーズンぶりに制覇した早稲田大学

昨年秋の東京六大学リーグ戦では勝ち点を挙げたチームが優勝となった早慶戦で先勝するも、そこから2連敗し宿敵・慶應義塾大学の胴上げを見せられた早稲田大学。

これで、6季連続で優勝を逃し、チームに優勝経験者がいなくなっていた。この危機的状況に、主将に就任した印出太一(スポ4=愛知・中京大中京)を中心に『勝つ資格のあるチーム』を目指して、新体制始動当初からチーム力の向上に努めた。

今季は勝負どころで勝ち切れなかった昨秋とは対照的に、チーム一丸となり粘り強くリーグ戦を戦い、勝ち点5で完全優勝を達成。チーム打率・防御率ともにトップと、他大学を寄せ付けない強さで優勝を果たした。

プロ注目の3番・吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)、4番・印出主将がクリーンアップとして打点を重ねる中で、攻撃の起点となったのは1番・尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)だ。昨年春に打率.347の成績を残し、不動の1番打者として打線の火付け役を担ってきた尾瀬。

しかし、昨秋は打率.271と満足のいく成績を残せなかった。オフシーズンには金森栄治 助監督(昭54教卒=大阪・PL学園)のアドバイスに加え、体力強化に努め、迎えた今春のリーグ戦。開幕戦の立教大学戦、第1打席で中前安打を放ち幸先の良いスタートを切ると、その勢いは止まらずに安打を量産し続けた。

特に印象的な活躍を見せたのが迎えた明治大学との3回戦だ。初回から安打を放ち、チャンスメイクをすると、7回にも尾瀬の安打をきっかけに好機を演出する。どちらも得点には結びつかなかったが、尾瀬の出塁が確実に早大ペースで試合を進めていっていた。

0-0で迎えた延長11回、ついに尾瀬が適時打を放ち均衡を破ると、この回5点を奪う猛攻。2021年秋以来の明大からの勝ち点獲得となり、この試合から無敗で優勝まで突き進んだ。

「1打席目で結果を残す」(尾瀬)と言い続け、今季は12試合中8試合で第1打席での出塁を記録。そして打率.479で首位打者とベストナインを獲得した。今季は稲穂打線の切り込み隊長としてふさわしい活躍であった。

長いリーグ戦の中で、誰か1人に頼るのではなく、全員で結果を残せるのが強いチームの象徴だろう。今季ブレイクを果たした石郷岡大成(社3=東京・早実)は立大3回戦で走者一掃の適時打を放ち勝利に貢献。武器である俊足と小技を駆使し、出塁を重ね打率.314でシーズンを終えた。

また、昨秋の不調を乗り越え絶対的な遊撃手となった山縣秀(商4=東京・早大学院)の活躍にもスポットを当てたい。2年秋にブレイクを果たした守備職人は、3年時には課題であった打撃で調子が上がらずスタメン落ちも経験。

金森助監督の打撃の指導の下、今季は東京大学戦で8打席で7安打をマークするなど、つなぎの2番打者として打撃が開眼する。自慢の守備でも法政大学2回戦で好守を披露するなど、守備からチームを盛り立てた。

胴上げ投手となった伊藤樹

チーム防御率1.57を記録した盤石の投手陣も忘れてはならない。3年生ながら早大のエースナンバーである「11」を背負う伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)は第1先発としてリーグ3位の防御率1.49をマーク。

ハイライトとなったのは明大3回戦と慶大1回戦だ。明大3回戦では延長11回を1人で投げ切り完封勝利。慶大1回戦ではテンポよく打ち取り、8回1失点の投球を披露する。優勝の懸かった早慶戦で1回戦の勝利に導き、優勝を手繰り寄せた。

また、ブルペン陣も12試合を戦って3失点と、ほぼ完璧な投球を続けた。その原動力となったのはともに今季防御率0.00で、勝利の方程式を担った香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)と安田虎汰郎(スポ1=東京・日大三)の2人だ。

香西は変則フォームから繰り出される伸びのある直球が武器だ。法大1回戦では8回から登板し、2回を無失点に抑える。8回に法大のエース篠木健太郎(4年)を攻略する逆転劇を呼び込む好救援だった。

一方の安田はルーキーながら6試合に登板。明大1回戦では1点差、1死満塁と絶体絶命の状況で登板し、独特な軌道を描く決め球のチェンジアップでピンチを切り抜けた。2人の若武者が終盤の勝負どころで躍動することで勝利を確実なものにしていた。

『強い早稲田』を取り戻し、7季ぶりの天皇杯を手にした早大。チーム全員で勝利を渇望し、粘り強く相手に向かい続けた結果が完全優勝という結果につながっただろう。次に見据えるは全日本大学選手権での優勝。東京六大学の代表としての誇りを胸に、2015年以来の日本一を目指す。

文:近藤翔太/写真:近藤翔太、梶谷里桜(早稲田スポーツ新聞会)

早稲田スポーツ新聞会

早稲田スポーツ新聞会

1959(昭和34)年創刊。人気の野球、ラグビーを中心に早大体育会44部をくまなく取材し、年12回の新聞発行およびWebやSNSによる情報発信を行う。現在部員170名で活動。»早スポHP»Twitter»Facebook

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