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野球 コラム 2023年11月2日

レンジャーズがワールドシリーズ初制覇!それは昨年10月のWBC予選から始まった

MLBコラム by J SPORTS 編集部
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第5戦 レンジャーズvs.アストロズ

言うまでもないことだが、野球という競技はサヨナラゲーム以外、必ず守備側が最後のアウトを取って終了するものであり、ワールドシリーズもその例外ではない。

そして、大概の場合において映像で最も頻繁に切り取られるのが、その最後のアウトを取った優勝の瞬間である(奪三振が一番絵になるが、内野ゴロやフライ捕球も、アウトが確定するまでのドキドキ感としては悪くない)。

レンジャーズが球団史上初のワールドシリーズ制覇を決めた今回の第5戦も、今季のポストシーズンで初めてのセーブ機会となったジョシュ・スボーツが、ポストシーズン連続試合安打記録の継続をかけ、最後の打席に立ったケテル・マルテを落差の大きな84.9マイル(136.6キロ)のカーブで見逃し三振に打ち取って、優勝を決めた瞬間が間違いなくヘビーローテションの対象となる。

◆ワールドシリーズ第5戦(レンジャーズ 4勝1敗)
レンジャーズ|0 0 0 0 0 0 1 0 4|5
Dバックス |0 0 0 0 0 0 0 0 0|0

だが、それに勝るとも劣らないレベルで印象に残ったのが、9回表にマーカス・セミエンが試合を決定づける2ランを放った直後のシーンだった。

セミエンといえば、攻守の中心選手の1人でありながら、寡黙に淡々と仕事をこなす職人肌のまるで「2塁を守る高倉健」のような選手なのだが、そのセミエンが本塁打を放って1塁を回る際、チームメイトのいるダグアウトへ向かって大きく咆哮し、感情を露わにする派手なジェスチャーを見せたのである。

これについて、セミエンは試合後にフィールド上で進行していた現地放送のポストゲームショウにて、「あそこまでエモーショナルになったところは、どこのフィールドでも見せたことがないですね。リトルリーグの頃でさえないです。僕らはそれだけ(優勝に)近づいたと感じていました」と述べている。

また、ポストシーズンで不振に喘ぎながらも、主砲のアドリス・ガルシアが離脱した後の最後の2試合で打席にて復調した理由については、「とにかく物事を単純化しました。ポストシーズンを通して、僕は多くをしようとし過ぎていました」。

「相手チームがアウトを取ろうとしているプランを遂行するなか、多くをやり過ぎると、何もできなくなりますから。ですので、物事を単純化し、落ち着いてフィールド全体を使うようにしました」と述べている。

ワールドシリーズのMVPは誰の目から見てもコリー・シーガーであり、ポストシーズンを通した最大の殊勲者はアドリス・ガルシアだったが、この寡黙な男の満を持しての復調が、ワールドシリーズ制覇への最後のワンピースになったと言っても過言ではないだろう。

また、優勝の立役者として第一にその名を挙げるべきは、引退から復帰し、就任初年でチームを世界一に導いたブルース・ボウチー監督だが、4度以上ワールドシリーズ制覇を遂げたMLB史上5人目の監督、そしてア・ナ両リーグで制覇を果たしたMLB史上3人目の監督となった名将の職場復帰にまつわるエピソードが面白い。

『MLB.com』でレンジャーズを担当するケネディ・ランドリー記者は、試合後に投稿した記事のなかで、「軍人の父親を持ち、フランスのビュサック=フォレ生まれのボウチーは、(昨年10月に)『WBC』の予選突破を目指すフランス代表を率いていた」。

「それは楽しみのためにやっていたことだったが、それでも彼は予選突破を助けたいと思っていた。そして、彼はある思いに駆られたのである」とした上で、ボウチー監督が語った次のエピソードを明らかにしている。

「私は去年の10月、ドイツのレーゲンスブルクでダグアウトの中にいて、『やれやれ、本当にこの仕事が恋しいな』と思ったんだ。誰かに連絡をしたわけではなかった」。

「私は単に『これは俺の愛することであり、恋しいことだ』と言ったんだ。その後、CY(レンジャーズのクリス・ヤングGM)がこの仕事への意欲を掻き立てようと電話してきた際、我々は話し合ったんだ。そして、長い話を短く端折ると、私はここいるのだ。まあ、これはそういう風にして始まったのだよ」。

色々と意見の分かれる『WBC』だが、少なくともレンジャーズという球団と所属選手、そしてそのファンにとっては、結果的にかなりの恩恵をもたらす大会となったようだ。

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

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