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野球 コラム 2023年10月27日

レンジャーズvs.ダイヤモンドバックス、驚くほど類似点の多いチームの対戦となったワールドシリーズの展望

MLBコラム by J SPORTS 編集部
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レンジャーズvs.ダイヤモンドバックス

今年のワールドシリーズは、驚くほど類似点の多いチーム同士のマッチアップとなった。

その類似点で最も印象的なのは、2シーズン前の成績であり、レンジャーズもダイヤモンドバックスも、2021年のレギュラーシーズンは100敗越えの不名誉な成績を残しながら、チームの急激な再建に成功したことだ。2シーズン前の100敗チーム同士がワールドシリーズで対戦するのは、MLB史上初めての珍事となったが、ちなみにこの2チームはともに昨季も負け越し、それぞれ地区4位としている点も同じである。

また、この2チームはシードこそ違えど、ともにワイルドカードから下克上を果たしてワールドシリーズまで駒を進めており、しかもお互いにワイルドカードシリーズとディビジョンシリーズをスイープしつつ、リーグチャンピオンシップシリーズは、本拠地での第5戦に敗れて相手に王手を許しながらも、敵地での第6戦と第7戦を連勝するという、ほとんど鏡に映したような勝ち上がりのストーリーに沿って、大舞台に辿り着いたのである。

そんな境遇の似ている両チームだが、ワールドシリーズに関する相違点もまた、興味深い。ダイヤモンドバックスは球団創設4年目の2001年にワールドシリーズ制覇を果たしているが、レンジャーズはワールドシリーズ未制覇の6球団の1つであり、3度目の出場となった今回のワールドシリーズで悲願の初制覇を狙っている。

しかし、チームを率いる監督となると、完全に立場は逆転し、レンジャーズのブルース・ボウチー監督は既に監督として3度ワールドシリーズ制覇を経験しているのに対し、ダイヤモンドバックスのトリー・ロブロ監督は、リーグチャンピオンシップもワールドシリーズも、監督としてのキャリアでは今季が初めての経験となっている。

ちなみに、ボウチー監督は異なる3球団でリーグチャンピオンシップを制した史上初の監督となったが、この辺の指揮官の経験値の差が、シリーズの行方にどう影響してくるかも、今回のワールドシリーズの見どころの1つと言えるだろう。

チームの特徴の違いも、このシリーズの期待値を上げる要因となっている。前述の通り、このポストシーズンはほぼ同じ勝ち上がり方で、ワールドシリーズに到達した両チームだが、その戦い方はかなり異なっている。

レンジャーズはネイサン・イオバルディ、ジョーダン・モンゴメリー、そしてまだ本調子でない、大ベテランのマックス・シャーザーと充実の先発ローテーションは目を引くものの、とにかく今季は打撃に物を言わせて勝利を掴み取る傾向にあり、特にリーグチャンピオンシップ第6戦と第7戦では、敵地で前年ワールドシリーズ王者相手に、2試合合計20-6と完全に打ち勝ったのは記憶に新しいところだ。

一方、ダイヤモンドバックスの強みは、いわゆるスモールベースボールであり、機動力と守備力という、好不調に左右されない一貫性のあるパフォーマンスを強みとしている。直近の例を挙げると、こちらも敵地で連勝したリーグチャンピオンシップ第6戦と第7戦で、2試合合計8盗塁、2犠打と、らしさを遺憾無く発揮している。

また、投手陣に目を向けるとエースのザック・ギャレンこそ、まだ本領発揮には至っていないものの、メリル・ケリーは安定感を維持しており、新星ブランドン・ファートも物怖じしない果敢な投球で、ダイヤモンドバックス先発ローテーションの強度アップに貢献しているほか、ここへ来て無双レベルの信頼度を発揮しているケビン・ギンケルとポール・シウォルドは完全に勝利の方程式となっている。

この投手陣がリーグチャンピオンシップで勝利した4試合で見せた、フィリーズ打線の本塁打攻勢阻止を、今季アメリカンリーグでトップの得点を叩き出した豪打を誇るレンジャーズに対して再現できるかどうかは、かなり見ものである。

個人記録という見地からは、ケテル・マルテがポストシーズンデビューから継続させているポストシーズン16試合連続安打がどこまで伸びるかは楽しみなところだ。ポストシーズンデビューから16試合連続安打は、既にMLB記録を更新しており、単純なポストシーズン連続安打記録も、マニー・ラミレス、デレク・ジーター、ハンク・バウアーの持つ史上最多の17試合連続まであと1試合となっている。

また、レンジャーズのウィル・スミスも何気に面白い存在となっている。救援投手のスミスは、2022年はアストロズ、そして2021年はブレーブスの一員としてワールドシリーズ制覇を果たしており、『MLB.com』のサラ・ラングス記者によると、仮にこのワールドシリーズでレンジャーズが制覇した場合、スミスは3季連続して異なる3チームでワールドシリーズ制覇を果たした史上初の選手になるとのこと。

そうなればある意味、優勝請負人である。

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

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