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吉田正尚選手(ボストン・レッドソックス)/Photo by Mitchell Leff/Getty Images
2023年のMLBレギュラーシーズンも、残すところ各チーム40試合を切ってきました。8月1日のトレード・デッドラインを経て、ポストシーズン出場への争いがますます激しくなるシーズン終盤に向けて、8月の現状、今度はア・リーグを今一度おさらいしてみましょう。(記録は全て現地8月20日現在)
【東地区】
今季から同地区対決が減り、29チーム全てと対戦する日程になった影響からか、この地区は全チームが5割以上、レベルの高さが勝率にも表れていましたが、今季いまひとつ調子が上がって来なかったヤンキースが8月16日に借金生活へ突入。そのまま8月20日には1995年8月以来の8連敗を喫し、31年振りとなるシーズン負け越しが現実味を帯びてきました。またもし現在4位のレッドソックスと共に、この2チームで地区最下位と下から2番目でシーズンを終了することになれば、MLB史上初とのこと。とはいえ、まだまだ先が読めない出来事が起こりまくっている東地区をおさらいしましょう。
先ずは7月20日に地区首位に躍り出たオリオールズは、今年のデッドラインの口火を切った藤浪晋太郎の獲得、そして先発右腕ジャック・フラハティを獲得しました。チーム打撃成績は打点がMLB7位に位置する以外は主要部門で全て中位、チーム防御率も先発16位、リリーフは7位、投手全体で14位。投打共に傑出した成績がないのですが、例えば勝率.500以上の相手に今季40勝30敗、勝率.571はア・リーグ1位。また中立的な場面に比べ、試合に於けるハイ・レバレッジ(=重要な場面)で良い成績を残したか、悪い成績を残したかを表す数値「Clutch」(平均が0.00)では、打撃部門で2位ダイヤモンドバックス3.92を大きく凌ぐ1位7.04、そして投手部門でも1位の6.60。つまり打線はチャンスをものにし、投手陣は要所を抑えていることにより、勝ち星をしっかり拾っていることが数値の上でも判ります。藤浪投手に関しては、オリオールズ移籍以降で1登板あたりストライクが50%を越えると10試合で防御率3.37、50%かそれ以下だと5試合で防御率13.50。とにかくストライクさえ投げれば抑えられる、という数値が出ています。
開幕から独走していたレイズは、7月に8勝16敗と大きく負け越し、ちょうどシーズン100試合目でオリオールズに首位を明け渡してしまいました。とはいえオリオールズとは3ゲーム差以内にとどまり、ワイルドカードでの出場も可能性が高いと言え……なくなってきてしまいました。チームの中心選手であり、時代のスーパースター候補とも称されていたワンダー・フランコが私生活面での問題発覚で制限リストに入り、恐らくもうMLBでプレイ出来なくなるのでは、とも囁かれています。また今季11勝2敗のエースのシェーン・マクラナハンはキャリア2度目となるトミー・ジョン手術を8月21日に受けることが決定、復帰は2025年以降となってしまいました。投打の中心選手を一気に失ったレイズですが、選手のやり繰りに関してはスキルの長けているチームだけに、この想定外のピンチをどう凌ぐか、お手並み拝見と行きたいところ。
地区3位のブルージェイズは、同地区対決が今季11勝23敗(.324)と大きく負け越していているのに対し、他地区との対戦は58勝33敗(.637)。今季の対戦カード数に関するルール変更で一番恩恵を受けているチームかもしれません。残り37試合のうち同地区対決は18、ただしシーズン最終15試合が全て同地区対決。シーズン終盤はチームにとってかなり厳しい戦いになりそう。先発ローテーション2番手としてキャリア最高の成績を残している菊池雄星は二桁勝利が目前、初のポストシーズン出場&先発登板も期待したいです。
レッドソックスは、ライバルのヤンキースを3連勝スウィープを決め、ワイルドカード圏内まで3ゲーム差、まだまだ可能性は十分にあります。ただ残り試合にはレイズ5試合、ドジャース3試合、レンジャース3試合など上位チームとの対戦が多く、かなり厳しい状況。8月に入り調子を落としていた吉田正尚はシーズン打率3割を行ったり来たりが続きますが、今季マルチヒット43はMLB全体で5位と今後も固め打ちが期待出来ます。そのままア・リーグ新人王争いを演じる活躍が出来れば、大逆転でのポストシーズン進出も見えてくるはず……!
【中地区】
勝率5割以上のチームがツインズのみ、地区自体のレベルの低さが出てしまっている中地区は、ポストシーズン進出の可能性があるとすれば地区優勝チームのみ、現実的に考えると2位ガーディアンズまででしょうか。ツインズはルーキーの内野手エドワード・ジュリアンが今季wRC+=145、ルーキー部門で(200打席以上)出塁率が1位.385、OPSが3位.868と期待以上の活躍を見せ、ファンからも期待が高まっています。前田健太投手も故障者リストから復帰した6月23日以降は10先発で防御率2.68、うちクオリティー・スタートが5試合と先発ローテーションの役割をキッチリこなし、2020年以来のポストシーズン先発に向けて状態も上がってきています。
【西地区】
開幕前の下馬評はそれほど高くなかったレンジャースは、4月9日以降ずっと地区首位をキープし続けています。ジェイコブ・デグロムは早々に離脱し今季絶望となったものの、ネイサン・イオバルディ、ジョン・グレイ、デーン・ダニングといった先発陣が好投し、マーカス・セミエン、コーリー・シーガー、アドリス・ガルシアといったオールスター出場組の野手陣が打ちまくり、そこに6月末にはクローザーのアロルディス・チャップマン、そして7月末にはマックス・シャーザーをデッドラインで獲得、役者は揃いました。7月は11勝13敗と負け越したものの、8月は再び勝利が先行。あと1ストライクでワールドシリーズ制覇という場面を2度作りながら敗退してしまった2011年から12年、悲願の初優勝へ着々と準備を進めています。
昨年の覇者アストロズは、ホセ・アルトゥーベを筆頭に先発陣など怪我人が続出しながらも、控え選手やルーキーたちが補い合った結果、アルトゥーベが欠場した2度の故障者リスト入り期間中においてチームは37勝25敗と大健闘しました。アルトゥーベ自身も8月19日に通算2000本安打へ到達し、8月の月間打率は.420と絶好調。また今季満塁での打率が何と.500(14打数7安打・2本塁打)のヨーダン・アルバレス、既に20本塁打&20盗塁に到達しているカイル・タッカー、8月1日にノーヒッターを達成したフランバー・バルデスなど、昨年の世界一を知る選手たちは今季も健在。そこに同じく昨年の世界一メンバー、ジャスティン・バーランダーがデッドラインで加入しました。7・8月は25勝18敗と勝利が先行しているものの、直近のマリナーズとの三連戦でスウィープを喫し、仮にワイルドカード3枠目でマリナーズと勝率が並んで終了した場合、アストロズが敗退してしまうことが決まってしまいました。
ホセ_アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)/ Photo by Logan Riely/Getty Images
そして、そのマリナーズは昨年7月に記録した14連勝のリプレイを見ているかのように、今年も7月に入ると勝ちが先行、8月には8連勝もあり、7・8月で31勝13敗。ブルージェイズを追い抜きワイルドカード圏内に突入、更には地区首位のレンジャースの背中も見えてきました。残り試合のうち19試合がドジャース、アストロズ、レンジャース、レイズと強豪との対戦が控えていますが、ここを5割で凌げば、残りの19試合は現在調子を落としているレッズとの3試合を始め、アスレティックス6試合、ロイヤルズ3試合、ホワイトソックス3試合、メッツ3試合、そしてエンジェルス3試合と、この夏場に苦戦しているチームばかりとの対戦。ここでしっかり勝てば、2年連続でのポストシーズン出場も見えてくるでしょう。8月16日からMLB史上2人目となる「4試合連続で1試合4安打以上」、そして史上初となる「4試合で17安打」を記録したフリオ・ロドリゲスを筆頭に、全員野球でシーズン最終日までにお馴染みのセレブレーション、勝利の円陣を組むことが出来るでしょうか。
最後にエンジェルスは現在ワイルドカード3枠目のマリナーズと8.5ゲーム差。相当厳しくなってきました。ローガン・オホッピーが予定より早く復帰し、マイク・トラウトが8月中に戻って来るとはいえ、ブルージェイズ、マリナーズ、レッドソックスが揃って足踏みをしない限りは逆転出来ない状況に変わりはありません。
あっという間に9月が来て、あっという間にシーズンが終わり、クレイジーな10月がやって来る。今年しかない2023年シーズン、J SPORTSの中継で皆さんと一緒に最後まで楽しみたいと思います!
文・オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
1995年結成、"LIVE CHAMP"の異名を持つロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー。
MLBコメンテーターとしても精力的に活動し、J SPORTS「MLBミュージック」メインMC、そして2023年シーズンからMLB中継の解説を担当予定。2022年4月には初の著書『ベースボール・イズ・ミュージック~音楽からはじまるメジャーリーグ入門』(左右社)を出版。MLBに関するラジオ出演や執筆活動も多数。2021年にはテレビ東京系ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』で俳優としてもデビュー。
SCOOBIE DO http://www.scoobie-do.com/
Twitter: @moby_scoobie_do
Instagram: @moby_scoobiedo
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