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野球 コラム 2023年8月21日

MOBYのMLB取材ノート|〜8月の現状 ナ・リーグ篇~

野球好きコラム by オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
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鈴木誠也(シカゴ・カブス)

2023年のMLBレギュラーシーズンも残すところ各チーム40試合を切ってきました。8月1日のトレード・デッドラインを経て、ポストシーズン出場への争いがますます激しくなるシーズン終盤に向け、8月の現状を今一度おさらいしてみましょう。まずはナ・リーグ編から。(記録は全て現地8月20日現在)

【東地区】

ブレーブスは、開幕3試合目に1日だけ2位になった以外は、昨年リーグ優勝のフィリーズや超大型補強で臨んだメッツなどを寄せ付けず地区首位、そして7月に入ってからはMLB全体での勝率トップをキープしています。前人未踏のシーズン40本塁打・80盗塁が期待されるロナルド・アクーニャJr.、大谷翔平とシーズン本塁打数で並びナ・リーグ1位のマット・オルソンを始め、レギュラー9人全員が「wRC+ ※1」=100以上、つまり全員がMLB平均レベル以上の打者を擁する打線、勝ち星と奪三振でリーグ二冠のスペンサー・ストライダーを始めとした先発陣、そしてリーグ1位のチーム防御率を誇るリリーフ陣が上手く機能し、得失点差でもMLBトップに立っています。既に目標はポストシーズン第1シード、そしてワールドシリーズでのホーム・アドバンテージに照準を合わせているでしょう。

ワイルドカード争いで現在トップのフィリーズは、昨年11月にトミー・ジョン手術を経て今年5月にDHとして復帰したブライス・ハーパーが7月21日から一塁守備に挑戦し「DRS ※2」は±0、問題なくこなしています。これで今季の左翼DRSが-17のカイル・シュワーバーをDHで起用でき、外野守備のレベルは明らかに上がりました。そのハーパーは一昨年、球団に「ホームグロウン(=自前で育てた)・プレイヤーがもっと必要だ」と進言していましたが、今季得点圏でリーグ2位44安打のアレック・ボーム、2ストライクからMLBトップの71安打ブライソン・ストットなど、自前の若手もレギュラーとして機能しています。またデッドラインで獲得した先発投手のマイケル・ロレンゼンが早速ノーヒッターを達成、チームは8月10勝7敗、好調をキープしています。

地区3位でワイルドカード3位枠を他チームと争っているマーリンズは、大ベテランのリリーフ投手デイヴィッド・ロバートソン、復調傾向にあった一塁ジョシュ・ベル、移籍前に88試合で25本塁打を放っていた三塁ジェイク・バーガーなどを獲得。ベルとバーガーは共に移籍後も絶好調、MLB史上初の女性GMキム・アンは元々トレードが上手いことでも評価が高く、ファンからの信頼がますます上がっているとのこと。デッドライン以降は8月3日から5連敗を喫したものの、それ以降は6勝5敗。また今季は1点差ゲームで27勝11敗と僅差をものにする勝負強さもあります。残り試合でドジャース3試合、ブリュワーズ7試合、レイズ2試合と厳しい日程が続きます。それ以外の対ナショナルズ、対メッツの計13試合でしっかり勝ち切れるかが焦点に。

※1「weighted Runs Created Plus」。打席あたりの得点創出の多さを、平均的な打者=100とした場合のパーセンテージで評価する指標。ちなみに大谷翔平は8月17日時点で今季+183。
※2「Defensive Runs Saved(守備防御点)」。守備で何点の失点を許したか、また防いだかを測る数値。ちなみにキム・ハソン(パドレス)の今季二塁守備のDRSは+11→数値上では守備で11点を防いでいることになる。

【中地区】

開幕前は地区優勝候補の筆頭だったカージナルスは、開幕から失速、デッドラインではまさかの売り手に。また4月終了の時点で首位だったパイレーツは6月中巡から一気に下降線を辿り、入れ替わる形で6月中旬から上昇してきたレッズと、オールスター明けから一気に勝ち星を重ねたカブスが、シーズン通して安定した戦いを続けている首位ブリュワーズとともに三つ巴の激しい優勝争いを繰り広げています。


ブリュワーズのマット・アーノルドGM曰く「このチームは投手と守備で成り立っている」ことから、トレードで獲得したベテランの一塁手カルロス・サンタナ、外野手マーク・カナ、両選手とも守備にも定評のある野手。7月22日にデビューしたトップ・プロスペクトの外野手サル・フレリックも評判以上の活躍を見せ、8月上旬は勝ちが先行していましたが、連勝中のドジャースに8月15日から3連敗を喫しましたが、ア・リーグ西地区首位のレンジャースには3連勝し首位をキープ、同地区のライバルであるカブスとの首位攻防戦が残っている以外は、比較的に下位チームとの対戦が多くなっています。

レッズは、6月6日にデビューして以降、15試合目でサイクルヒット、7月8日には1打者の間に二盗・三盗・本盗を成功させ(54年振りの記録)、また三塁から一塁への送球で史上最速97.9マイル(約157.6キロ)を叩き出したエリー・デラクルーズを筆頭に、内野手マット・マクレイン、先発左腕アンドリュー・アボットといったルーキーたちが活躍し、6月には12連勝もあり一気に地区首位へと躍り出ました。ただ8月に入ると6連敗を喫し失速も、8月18日のブルージェイズ戦ではこれまたルーキー、MLB史上最も長い登録名のクリスチャン・エンカーナシオン=ストランドがキャリア初のサヨナラ本塁打を放つなど、連敗後は5勝5敗。若い力で再び快進撃をおこすことは出来るでしょうか。

カブスは、7月17日の時点で今季最大の首位と8.5ゲーム差を離され、先発右腕マーカス・ストローマンや今季打棒が復活したコディ・ベリンジャーをどこのチームが獲得するのか、つまりデッドラインでは売り手側にまわると見られていましたが、そこから8連勝を含むオールスター以降20勝11敗、ギリギリのタイミングでジェド・ホイヤー編成総責任者が買い手側にまわると宣言、元カブスの内野手ジャイマー・キャンデラリオを獲得し8月も勝ち星が先行し、鈴木誠也も8月の月間打率が.314と上り調子です。また8月16日のホワイトソックス戦では2点ビハインドで迎えた9回裏無死一・二塁、クリストファー・モレルがお釣りなし逆転サヨナラ3ラン本塁打で劇的勝利、カブスファンの期待は日に日に大きくなっています。また残り試合で対戦する相手チームの勝敗を合計した勝率が.471、これは全30球団中だと一番低く、地区最下位チームとは12試合残っています。とはいえブリュワーズともシーズン最終3連戦を含む6試合が残り、最終戦までもつれることは必至。懸念材料はストローマンが右胸郭骨折で復帰が未定ということ。

【西地区】

大方の予想を覆し、6月12日の時点ではドジャースに4ゲーム差をつけて首位に立っていたダイヤモンドバックスでしたが、7月に入ると同時に失速。前評判の高かったパドレスも上がって来ない中、やはり強かったのはドジャースでした。8月は何と17勝2敗、そのなかでは11連勝もありました。デッドラインで獲得した先発右腕ランス・リンは、今季ホワイトソックスでは防御率6.47と奮わなかったものの、ドジャースに移籍以降4先発で4勝0敗、防御率1.44と絶好調。1958年以降ではチーム史上ワーストの月間先発防御率6.18を記録しパニック状態に陥っていた7月のドジャース先発陣を、リンが救う形になりました。大黒柱クレイトン・カーショウも8月10日に怪我から復帰、ローテーションも安定し、9月も駆け抜け、10月のポストシーズンに入っていくのでしょうか。

地区2位のジャイアンツは、6月に18勝8敗と大きく勝ち越してワイルドカード圏内に入ってきましたが、それ以外はシーズン通して5割を行ったり来たり、8月は7勝10敗と負けが先行。デッドラインも買い手にまわると予想されたものの、非常に地味な動きに留まりました。残り試合の中にはブレーブス3 試合、ドジャース7試合を始め、ポストシーズン争いを演じている強豪ばかり。対戦相手の勝敗を合計した勝率が.509と、マーリンズ同様、厳しい日程が続きます。マイナー契約を勝ち取った筒香嘉智はロースター入りを果たし、救世主となるでしょうか……!?

地区3位のダイヤモンドバックスは、デッドラインでマリナーズのクローザー右腕ポール・シーウォルド、外野手トミー・ファム、ユーティリティーのジェイス・ピーターソンなどを獲得、打てる手をしっかり打ったフロントの期待もむなしく、8月1日からチームは9連敗、最大16あった貯金も使い果たし、ワイルドカード出場圏外に陥落してしまいました。ただ9連敗の後は3連勝を含む7勝2敗、ガス欠状態のリリーフ陣の中で、8月17日にルーキーのジャスティン・マルティネスが102マイルの速球を投げキャリア初セーブを記録しました。彼が救世主となり、反転攻勢と行きたいところ。そして直近のシリーズでダイヤモンドバックスに負け越したパドレスは、ちょっと厳しすぎるでしょうか……。

文・オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)

オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)

1995年結成、"LIVE CHAMP"の異名を持つロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー。
MLBコメンテーターとしても精力的に活動し、J SPORTS「MLBミュージック」メインMC、そして2023年シーズンからMLB中継の解説を担当予定。2022年4月には初の著書『ベースボール・イズ・ミュージック~音楽からはじまるメジャーリーグ入門』(左右社)を出版。MLBに関するラジオ出演や執筆活動も多数。2021年にはテレビ東京系ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』で俳優としてもデビュー。

SCOOBIE DO http://www.scoobie-do.com/
Twitter: @moby_scoobie_do
Instagram: @moby_scoobiedo

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