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続いて「行く人」。細川はここ数年のベイスターズファンにとって、「期待の大砲候補」でした。茨城県の明秀日立高校から2016年ドラフト5位で入団した細川は、1年目から二軍で10本塁打をマークし、イースタンリーグのビッグホープ賞に選出されています。
同年10月、前述した笠原から放った3ランは、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃するもので、これがなんとプロ初安打、初本塁打、初打点、初得点を同時に記録したものでした。翌4日の中日戦でも本塁打を放った細川は、2リーグ制が始まった1950年以降、デビュー戦から2試合連続で本塁打を放った初の高卒新人選手となりました。
この年、下剋上で広島を破って出場した日本シリーズでも、細川はセ・リーグでは1988年以来となる高卒選手のスタメン出場。1988年の選手とは誰あろう、新天地での指揮官である立浪和義現監督でした。この他にも高卒新人として日本シリーズ初打席初安打、同クライマックスシリーズと日本シリーズの両方で安打など、史上初の記録を達成した細川の未来は前途洋々、といったところでした。
しかし、2年目以降は2021年の37試合が最高で、本塁打も1年目の2本を超えた年はありません。ラミレス前監督からも毎年のように期待の選手として名前を挙げられていましたが、熾烈な外野争いを勝ち抜くことがないまま、今回の移籍となりました。
近年の中日は得点力不足が顕著で、細川のような一発長打を秘めた野手はチャンスも多いはずです。広いバンテリンドームが懸念されるところですが、実は遠投100mの強肩に50m6秒2の俊足と、外野手としても細川にとって適性の合う舞台と言えそうです。
早熟のサウスポーと未完の大砲候補、ちなみにこの2人の対戦成績は8打数5安打、1本塁打、対戦打率.625と細川に軍配が上がっています。いずれにしても、2人を含めた各選手が新天地で活躍できるかどうかは、今後の現役ドラフトに影響することになりそうです。
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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