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左から桑原、関根、牧
2年ぶりに行われた交流戦のラスト2カード。初優勝の夢は叶わなかったが、最後に思わぬ“ご褒美”もあった1週間。能天気だの何だの言われようとも、ブレずにいいところを探していきましょう。
通算の対戦成績は26勝32敗1分、交流戦でもリーグ戦でもBクラスの埼玉西武相手の3連戦は、淡い夢が打ち砕かれた結果に終わった。
ピープルズが山賊打線の勢いに呑まれた初戦は、オースティンが先制打を含む3安打猛打賞、脅威の得点圏打率を誇る大和も3安打1打点をマーク。牧秀悟も3安打で、1959年の桑田武氏以来の球団新人タイ記録となる今季7度目の猛打賞となった。
佐野恵太が安打と二塁打でマルチ安打、桑原将志もタイムリーを放った。途中出場の関根大気が5月21日以来、同じく田中俊太は4月28日以来となる安打を記録した。投手陣は3番手に登板した国吉佑樹から石田健大、三上朋也が1イニングずつを無失点に抑えた。
両チーム10安打ずつの乱打線の末、引き分けとなった第2戦は、4回までに8得点と打線が爆発。宮崎敏郎が2打線連続タイムリーを含む3安打4打点。佐野が先制打となるタイムリー三塁打、オースティンがソロ本塁打、桑原もタイムリー安打で打点を記録。スタメン出場した細川成也が今季初安打をマークした。
交流戦初のカード負け越しが決まり、4位転落となった第3戦はソトが先制タイムリーを含む2安打1打点、牧が2ラン本塁打など2安打2打点。リードオフマンの桑原はマルチ安打、2番に定着した伊藤光は安打と2つの四球で5打席中3打席に出塁した。
投手陣は2番手で登板した国吉が2死満塁のピンチを凌いだが、次の回に失点して2回1/3を1失点。以降の三上朋也、石田、そして4月24日以来の一軍登板となったが1イニングずつを無失点に抑えた。
通算成績は24勝34敗1分。交流戦優勝の可能性をわずかに残しての日本ハムとの3連戦は、初戦に先発した濱口遥大が散発4安打の快投で自身3度目、2年ぶりとなる完封勝利をマークした。
打撃陣では、2試合ぶりにスタメン復帰したオースティンが先制の2ラン本塁打を放って史上4人目、球団では初となる交流戦までに11球団からの本塁打を達成。佐野が2打席連続の犠牲フライで貴重な追加点となる2打点。桑原が3安打猛打賞、宮崎、ソト、牧、スタメン出場の楠本泰史もマルチ安打を記録した。
追い上げも及ばず惜敗で初の交流戦優勝が消滅した第2戦は、宮崎がタイムリーを含む2安打1打点。大和が2死満塁からさすがの勝負強さでタイムリーを放ち、牧も渋い内野安打の間に1打点をマーク、ソトはマルチ安打を記録した。
今季の交流戦締めくくりの試合となった第3戦は、先発した今永昇太が7回1失点の好投で待望の今季初勝利。8回に登板して1イニングを無失点に抑えたエスコバーは、先頭打者の西川遥輝の4球目にNPB左腕最速となる163キロをマークした。9回を抑えた三嶋が今季11セーブ目を挙げた。
野手陣では、1番の桑原が第1打席から3打席連続安打でチャンスメーク。すっかり3番に定着した佐野が先制タイムリーと相手失策を誘って2得点に絡んだ、2番の伊藤光はタイムリーを含む2安打1打点、今季初の4番に入ったソトも貴重な追加点となるタイムリーを放った。
最終成績は18試合、9勝6敗3分で3位。鬼門と言われた交流戦だが、10勝7敗1分で4位に終わった2019年に続いての好成績は、チームにとっても大きな自信になりそうだ。
そしてもうひとつ、13日終了時点のセ・リーグ順位でベイスターズは5位となり、今季初の最下位脱出を果たした。最下位に転落した広島とのゲーム差は-1、…ん?、マイナスって何だと思ったら、セ・リーグのルールでは、同勝率の場合は勝利数が多い方が上位になる、ということらしい。
今季初となる5位浮上。何はともあれ、鬼門の交流戦で巻き返しという当初の目論見が、まずはひとつ形になった。この巻き返しの原動力となったのは、何と言っても交流戦12球団トップタイのチーム本塁打24本、同2位の91得点を叩き出した打線に尽きる。
リーグ戦でもこの調子を維持できれば、更なる上位進出、クライマックスシリーズ出場と、何だってできそうな気がする。大事なのは1つだけ。シーズンが終わった時に、笑顔でいられるかどうか、それだけだ。
◆先週のベイスターズ
・ 8日(火)● 3-8 埼玉西武ライオンズ
・ 9日(水)△ 8-8 埼玉西武ライオンズ
・10日(木)● 3-5 埼玉西武ライオンズ
・11日(金)◯ 4-0 北海道日本ハム
・12日(土)● 3-4 北海道日本ハム
・13日(日)◯ 4-1 北海道日本ハム
文:大久保泰伸
大久保泰伸
フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。
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