「ショウヘイ・オオタニ・ジレンマ」。大谷翔平に悩まされる人々

日本では余り一般的ではないが、欧米のスポーツファンの間では、シミュレーションゲームの一種である「ファンタジーゲーム」が人気を博している。

簡単に説明すると、プレーヤーが実際の登録選手で仮想チームを構成し、その選手たちの実際の成績に応じて獲得したポイントで、シーズンの総合的なポイント数を競うゲームであり、もちろん、野球にもこのファンタジーゲームは存在する。

アメリカでは「Yahoo！」を始め、大手メディアの「CBS」やスポーツ専門メディアの「ESPN」などがファンタジー・ベースボールを運営しているが、「FOXスポーツ」の伝えるところによると、大谷翔平がファンタジー・ベースボールの運営側にとって悩みの種となっているらしい。

FOXスポーツは電子版にて、“ザ・ショウヘイ・オオタニ・ジレンマ”という記事を掲載し、これまでファンタジー・ベースボールで存在したことのなかった二刀流の選手の登場がどれだけゲームに大きなインパクトを与えているかを伝えた。

同記事によると、これまでのファンタジー・ベースボールやそれをサポートするソフトウェアは押し並べて、野球には打者と投手という2種類の選手が存在する考え方を基に構築されている。

打者は本塁打、打点、そして打率などのスタッツによりポイントを獲得し、投手は勝利、セーブ、そして防御率などのスタッツによりポイントを獲得していたが、投打両方でポイントを獲得する選手は存在していなかった。

仮に投打の両方でポイントを獲得できる選手を加えることになると、「たった1人の選手のために、何百万というプログラミングのコードに例外を書き加えなければならず、ややこしくなる」と関係者は述べている。

また記事には、CBSのファンタジー・ベースボール担当者による「1人の選手が、我々のワークフローをこんなに大きく変えてしまったことはこれまでなかった」というコメントが掲載されている。

現状、CBSのファンタジー・ベースボールは、大谷を投手か打者のどちらかで自分のチームに登録できるようになっており、大谷が実際は投打の両方で活躍したとしても、投打両方のポイントは加算されないシステムになっているとのこと。

記事によると、ESPNも同様のシステムを採用している。一方、Yahoo！のファンタジー・ベースボールでは、打者・大谷と投手・大谷が分かれて存在し、自分のチームに“両方の大谷”を登録することはできる。

だが、この場合、2人の選手が登録されるため、1人で投打両方のポイントを獲得する二刀流がゲームで再現されているわけではない。

これに対し、「仮にオオタニが20勝を挙げ、40本塁打を打つようであれば、ユーザーはCBS、ESPN、そしてYahoo！のようなサイトに膨大なシステムの書き直しを要求することになる」と記事には綴られている。

実際の大谷は捗々しい春を送っているわけではなく、記事でも「ファンタジー・ベースボールに関係する人々には、彼が打者としては成功しないという考え方が密かに定着している」と書かれている。

そして、「多分これまで通りの形に落ち着くのでは」という関係者のコメントを引用しつつ、「オオタニに関する懸念と興奮は無駄骨に終わるかもしれない」としている。

大谷には投打で活躍して、ファンタジー・ベースボールの関係者を大いに悩ませて欲しいものである。