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【ジャパンオープン開幕直前SP】桃田賢斗本人が振り返る ジャパンオープン2018特別編「どうしても勝ちたい大会。途中から自分でも覚えてないぐらい興奮していた」
バド×レポ by J SPORTS 編集部桃田選手ご自身と2018年のジャパンオープンを振り返ります(インビュアー:足立清紀)
日本男子初のシングルス世界ランク1位。世界選手権連覇など、数々のタイトルを獲得した桃田賢斗選手が、初めてジャパンオープンで優勝した2018年大会を振り返ります。
前編では、優勝を切に願った2018年のジャパンオープンの振り返りはもちろん、8月20日に開幕するジャパンオープン2024の見どころや学生時代の思い出についても語ってくれました。(インタビュアー:足立清紀)
子どもたちのまっすぐな目、一生懸命さは伝わる
足立:本日は今年、日本代表を引退されました桃田賢斗選手にお越しいただきました。早速お話を伺っていきますが、5月のトマス杯を最後に、代表を引退。約3か月が経ちました。選手として変わったことはありますか。
桃田:今も練習はしているんですけど、今までよりも練習量が少し減った感じです。自分がコートに入ってずっとプレーをしているよりは、外からバトミントンを見ているイメージ。「世界で戦うぞ」と思っている時は本当に力が入りすぎていたと、最近は感じています。
足立:今は少し肩の力が抜けて、より広くものを見られるようになったという感じもありますか。
桃田:そうですね。俯瞰して見られている感じがあります。
足立:最近は、宮城県や地元の香川県三豊市なども含め普及活動をすごく熱心に行っている印象もあります。裾野を広げる活動には、どのようなモチベーションがありますか?
桃田:僕にしか伝えられないこともあると思うんです。その中で、もっともっとたくさんのジュニア選手たちにバトミントの楽しさ、スポーツの素晴らしさを感じてもらいたい。僕自身、楽しくイベントに参加させてもらっています。教えること、伝えることは、すごく神経を使うんです。大変な部分も多く、言葉にする難しさももちろんある。でも、それ以上に子どもたちのまっすぐな目、一生懸命さは、一緒に羽根を打っていてしっかり僕にも伝わります。そのパワーに引っ張られて、僕自身が楽しめている感じなんです。
優勝したかったジャパンオープン。あの瞬間は鮮明に覚えている
足立:4月の代表引退会見では印象に残っている大会に2018年のジャパンオープンを挙げられていました。改めて、その理由を教えてください。
桃田:2016年に僕自身は謹慎が明けて、たくさん小さい大会を回らせていただいていました。やっと大きな大会に出られるようになってのジャパンオープンです。ただ、日本のファンのみなさんの前でプレーをするのは、とても不安でした。「自分が出ていいんだろうか」「僕がコートに立って応援してもらえるだろうか」と、ネガティブな考えもたくさんあったんです。でも、いざコートに立った時、本当にたくさんの方が応援してくれました。そのおかげで、いつも以上のパフォーマンスが出せてのジャパンオープン優勝です。本当に優勝したかった大会だったので、あの瞬間はすごく鮮明に覚えています。
足立:2018年は久々に出場したジャパンオープンでした。自分自身への期待感はありましたか。
桃田:もちろん、出るからには優勝したいという気持ちはありました。でも、それよりも、もっともっと違う感情が多かったイメージです。勝ち負けよりも、今の自分ができることを全部出し切ろうと思ってプレーをしていました。
足立:2018年は、復帰をしてからすごく調子が良かったシーズンだと記憶をしています。インドネシアオープンで勝って、世界バドミントンも優勝。ランキングもぐっと伸びたところでのジャパンオープンです。ご自身は、どれぐらいの状態だったのですか。
桃田:正直、自分でもすごく勢いがあると感じていました。でも、どこかでその勢いは止まる。調子がいい分、それも感じていたんです。世界バドミントン初優勝からのジャパンオープン。下手な試合はできないなとも思っていました。
足立:その結果、ジャパンオープンで優勝して、世界の一番上まで上り詰めました。世界のトップに立った瞬間の気持ちや達成感はどれぐらいありましたか?
桃田:世界バドミントンで優勝した時よりもうれしかったです。サーブを打つ前、「桃田、1本!」「桃田、頑張れ!」っていう声援がめちゃくちゃ聞こえていましたし、すごくパワーになりました。途中から自分でも覚えいてないぐらい興奮していたんですけど、うれしかったのは覚えています。それからやはり、勝ちたい大会で勝てたことは、すごく自信になりました。
キュッキュッキュッという足音を感じてほしい
優しい表情で当日を振り返る桃田選手
足立:さて、ここからは今回のジャパンオープンについてお話を伺います。今大会は、横浜市が小中高生を6000人無料招待。多くのジュニア選手たちが来場することも期待されています。桃田選手は学生時代、バドミントンの世界大会やトップ選手たちのプレーをどのようにご覧になっていましたか?意識した点や参考にしていた点をお聞かせください。
桃田:初めて世界のトップ選手の試合を生で見た時、シューズの音にすごく衝撃を受けました。普通の人だとドンとかドンドンドンっていう音がすると思います。でもトップ選手たちの足音は、キュッキュッキュッって。ずっと小刻みで、足が動いてない時でも音が鳴るぐらい細かく細かくステップを踏んでいたのがすごく印象的でした。それは生で見ないと音として伝わらないので、ぜひ感じてもらいたいです。
足立:ラケットを持つという技術的な面ではいかがですか?
桃田:とてつもないスイングスピード。スマッシュの速さ。日本人選手には打てないようなショットを普通に打ってくるんです。それは見ている人もすごく楽しめると思います。それからコンパクトさ。振ればいいっていうものではなく、ラケットも使い方があるんです。振りがコンパクトだというのは、見ていたらすごく分かると思います。
足立:ジャパンオープンを観戦するジュニア世代や高校年代の選手にはどのようなアドバイスをされますか。
桃田:ずっと見ていたら眠くなったり、携帯をいじったりしたくなると思うんですけど、でも、いろいろな選手を見てみると、いいところ、悪いところが絶対にあります。たとえば、男子シングルスでも、1回戦で負ける選手でもいいところが必ずある。それは優勝する選手よりもいい部分かもしれません。そういう選手のいいところを見つけて、真似してもらいたいです。
足立:ちなみに、日本代表のチームメートだった宮崎友花選手。今年、高校3年生ですが宮崎選手の印象は?
桃田:ふわふわしています。普段は、くねくねしているイメージで、ちょっと変わっているなって思いました(笑)。
足立:実際にネットを挟んで向かい合ったことはありますか。
桃田:あります。プレーした感じは普段の面影は一切なく、スピードが速い。バシバシとショットが切れるんですよね。彼女もインターハイに出場し、すごく注目されたと思います。「勝って当たり前」と見られることもある。狙った大会で勝つのはすごく大変なことなので、たくさん苦しい思いをして、でもこれからも優勝してもらいたいなと思います。
足立:また、今大会はパリ五輪後に行われるジャパンオープンです。次のロサンゼルス五輪に向けてスタートとなる大会になりますが、どんな大会になると予想されますか。
桃田:4年に一度の五輪が終わると、次の世代の選手がどんどん出てきます。同時に、五輪まで張り詰めた空気がちょっと緩む。若手はすごくチャンスだと思います。なので、勝つことにどん欲に、番狂わせをたくさん起してほしいです。
足立:最後に、ジャパンオープンに出る日本選手にエールをお願いします。
桃田:すごく注目されますし、緊張すると思います。でも会場はすごく温かい声援と心強い応援がある。全部が自分のフィールドだと思って、自信を持って、力を出し切ってほしいです。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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