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バドミントン コラム 2020年3月17日

バドミントン全英オープン、男女ダブルスで遠藤/渡辺ペア、福島/廣田ペアが初優勝

バド×レポ by 平野 貴也
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バドミントン界で最も権威のある全英オープンで、日本勢が2種目を制覇した。最終日、男子ダブルスの遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)と、女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)が、ともに初優勝を飾った。

日本勢の男子ダブルス優勝は、初めて。遠藤は、早川賢一日本代表コーチとのペアで過去3度準優勝の経験があり、渡辺は2018年に東野有紗(日本ユニシス)とのペアで混合ダブルスを優勝している。2人は、この大会が今季初戦だったが、素晴らしい活躍を見せた。準々決勝では、日本のペアを下して勝ち上がった世界ランク2位のアッサン/セティアワン(インドネシア)を撃破。決勝戦では、世界ランク1位のギデオン/スカムルジョ(インドネシア)と対戦。強打で狙われ続けた遠藤が耐え、ドライブ戦から渡辺が相手を崩しに行く展開の中、ファイナルゲームで大激戦を制した。16年リオデジャネイロ五輪の後に早川が引退したために誕生したペアで、1年毎に連係を高めてきたが、守備から主導権を握っていくスタイルは確立されつつある。今回の優勝により、五輪レースで園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)を抜いて日本勢トップ。五輪のメダル獲得へ近付いた。遠藤は「勇大と組み始めたときから、東京五輪に出るという話だったので、このランキングまで来たことは、計画どおり。(全英を)優勝することは思っていませんでしたけど、これを良い自信につなげて、もっと(実力を)上げていかなければいけないと思います」とさらなる成長を誓った。

福島/廣田は、準決勝で2016年リオ五輪の女王である高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)にストレートで完勝するなど、強い勝ち上がりを見せた。決勝戦でも、ドゥ・ユエ/リ・インフイ(中国)を寄せ付けなかった。本来の持ち味である高速ローテーションを発揮。これまで世界選手権で3年連続準優勝など大舞台では準優勝が多かったが、ついにビッグタイトルの獲得に成功。五輪の金メダルが見えてきた。福島は「一つ壁を超えられたと思うので、自信にしたい。(五輪が)どうなるか分からない状況ですが、しっかり準備して臨みたいと思います」と本番を見据えていた。

他は、日本勢を中心に、種目毎に振り返る。まず、前年王者である桃田賢斗(NTT東日本)が不在だった男子シングルスは、ビクター・アクセルセン(デンマーク)の初優勝で幕を閉じた。昨年の後半は不調で世界ランクを7位まで落としているが、完全に復調。決勝では、第1シードのチョウ・ティエンチェン(台湾)にストレートで勝利した。日本勢では、常山幹太と西本拳太(ともにトナミ運輸)がともに2回戦で敗退。海外勢では、石宇奇(シー・ユーチ=中国)の復調具合が注目されたが、準々決勝でアクセルセンに完敗。完全復調は、まだ先のようだ。ほかでは、世界ランク4位のアンダース・アントンセン(デンマーク)が準決勝で負傷しており、東京五輪までの回復が気がかりだ。

女子シングルスは、奥原希望(太陽ホールディングス)が4強入り。準々決勝でプサルラ・V.シンドゥ(インド)に逆転勝利を収めた試合は見事だったが、準決勝ではチェン・ユーフェイ(中国)にストレート負けを喫した。山口茜(再春館製薬所)は、リオ五輪の女王キャロリーナ・マリン(スペイン)に敗れてベスト8。高橋沙也加(日本ユニシス)と大堀彩(トナミ運輸)は、2回戦で敗退した。決勝戦は、前回と同じカードで、タイ・ツーイン(台湾)がチェンに昨年の雪辱を果たし、2年ぶり3度目の優勝を飾った。返球コースの予測が難しい球を駆使して相手を翻ろう。昨年末のBWFワールドツアーファイナルズに続き、ビッグタイトルを制した。

男子ダブルスは、遠藤/渡辺が、日本の他の3組の敵討ちをする形で優勝した。園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)は、2回戦でロシアのペアに接戦の末に敗戦。初出場の古賀輝/斎藤太一(NTT東日本)が1回戦、保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が2回戦で世界ランク2位のアッサン/セティアワン(インドネシア)に敗れたが、遠藤/渡辺が3回戦でインドネシアのレジェンドペアをストップ。準決勝ではロシアペアを破った。

女子ダブルスは、高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)が4強入り。福島/廣田との準決勝は完敗だったが、準々決勝では世界ランク1位のチェン・チンチェン/ジァ・イーファン(中国)をファイナルゲームで破り、底力を見せた。松本麻佑/永原和可那(北都銀行)は、2回戦で初出場の志田千陽/松山奈未(再春館製薬所)を破ったが、準々決勝でドゥ・ユエ/リ・インフイ(中国)に敗れた。

混合ダブルスは、世界ランク4位の渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)が2回戦で敗退。3年連続の決勝進出はならなかった。地元英国の声援を受けて躍動したエリス/スミスにストレート負けを喫した。保木/永原は、1回戦で敗れた。優勝候補筆頭のツェン・シーウェイ/ファン・ヤチョン(中国)が2回戦で敗れる波乱があった。優勝したのは、準々決勝で第2シードのワン・イーリュ・ファン・ドンピン(中国)を破ったヨルダン/オクタヴィアンティ(インドネシア)だった。

五輪レースにおける最後のスーパー1000である全英オープンが終了し、いよいよ出場権獲得選手が明らかになってきた。日本勢では女子シングルスの奥原、山口と、女子ダブルスの福島/廣田、混合ダブルスの渡辺/東野組が出場を確実とした、しかし、準々決勝の前日に、BWFは全英終了後に4月12日までの大会を中止および延期にすると発表。レースは中断された。日本代表は、出国時には、大会後も英国に残って合宿を行い、インドやマレーシアに向かう予定だったが、予定を変更して帰国する。

中断期間には、スーパー750のマレーシアオープンなど五輪レースの重要な大会も含まれており、五輪出場権の獲得条件は見直しが行われる見込みだ。次の大会がいつあるか分からず、レースもどのように変更されるか分からない状況となり、出場権を確実にしていない選手にとっては、特に、気が休まらない状況となった。IOC(国際オリンピック委員会)やBWFの判断が待たれる。

文:平野貴也

平野貴也

平野 貴也

1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。

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