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モーグル女子の新世代登場 カービングターンで攻める!
「青春の挑戦者」4年に1度のシーズンがやってきた!2017-2018ウインタースポーツ編 by J SPORTS 編集部急斜面のコブをすり抜けるようにすべるターンと、華やかなエアのトリックを決めて得点を競うモーグル。日本女子は、里谷多英、上村愛子と世界的なモーグル選手を生み出したが、それに続くのが北海道倶知安町出身の住吉輝紗良選手だ。現在、高校3年生、今年の全日本フリースタイルスキー選手権大会デュアルモーグルで初優勝を飾るなど、成長著しい青春の挑戦者だ。
住吉輝紗良(倶知安高校) KISARA SUMIYOSHI
フリースタイル モーグル
2000年3月8日 北海道倶知安町生まれ
2015 JOCジュニアオリンピックカップ優勝、全日本フリースタイルスキー選手権大会モーグル3位
2016 JOCジュニアオリンピックカップ優勝、FISワールドカップ(田沢湖)デュアルモーグル16位、全日本フリースタイルスキー選手権大会モーグル4位
2017 冬季アジア大会デュアルモーグル4位、FISワールドカップ(田沢湖)モーグル19位、全日本フリースタイルスキー選手権大会デュアルモーグル優勝、JOCジュニアオリンピックカップ優勝
ジュニアオリンピックでぶつかった壁
モーグル女子の新世代として期待される女子高生アスリート、住吉輝紗良選手。彼女がモーグル選手として注目を集めたのは小学6年生のとき。JOCジュニアオリンピックカップの前走としてコースを試走した際、ジュニアオリンピックで優勝していた選手の総合得点を上回った。
「6年生のときA級の試合に出られるようになって、公式の大会で初めて優勝してからモーグルにどんどんのめりこんでいきました。その頃はただ楽しく滑っているだけで、全力で努力して勝っていたわけじゃないんです」
そしてジュニアオリンピックでの前走の好成績。それは彼女がアスリートとして目覚める転機となっていった。
慣れないコース。リフトが登るまで何分かかるかも知らないまま。そのせいで公式トレーニングで予定していた本数を滑れないこともあったという。経験のなさが試合の結果にもろに出てしまった。アスリートなら誰でもぶつかる才能だけでは乗り越えられない経験という壁。しかし、そこから修正していく能力こそが世界への道を切り開く。以来、ニセコだけでなく他のコースのいろいろな台やコブを経験。 「あそこで負けてから、残りの試合はもう負けないと心に決めました。いろんな経験を積んで、どんな状況でも対応できるようにしていきました」
世界と戦うために
その後、住吉選手は、ジュニアオリンピックで連覇を達成。中学3年生ながら全日本で3位に入るまでに成長していった。高校1年生でナショナルチーム入り。高校3年生となった今シーズン、まさに世界へ羽ばたこうとしている真っ最中だ。
「ナショナルチームに入った1年目のときにワールドカップに1戦だけ出場しました。そのときはまだまだ勝てるレベルではなかったけど、とにかく楽しかったです」
周りの選手たちが世界で戦う意識の高さを感じると同時に、自分がそこで戦うために何をすべきか見えてきた。
「最初は何をすればいいのかわからなかったのですが、トレーナーからいろいろ教えてもらって。筋トレ、体力作りをしっかりやり始めました。昨シーズンはある程度まで体はできてはいたのですが、まだまだ結果は付いてきませんでした」
今シーズン、筋力も含めて他のナショナルチームのメンバーにようやく追いついたレベルと本人は笑顔で話す。もちろんレベルアップしているのは筋力だけではない。滑りの面でのスキルアップにも真剣に取り組んできた。「私はターンが得意なのですが、世界で戦うとなるとまだターンでも追いついてないところがあります。海外の選手はスライドターンで滑る選手もいますが、私はずっとカービングターンで滑っています。カービングターンをしっかりできれば滑るスピードも上がり、エアも大きくなって全部がよくなっていきます」
やわらかく滑らかに、そしてより速くコブを滑るのが住吉選手の特徴であり、「ターンのかっこよさ」をぜひファンの人にも見てもらいたいポイントだと言う。
理想の滑りを追求すること
住吉選手の普段の生活はどんなものか聞いてみると、
「周りから性格は大人しいと言われます。休みのときは、あんまり外に出たりしないで体のケアに努めています」。
遠征のときは、空港で手にした本を読むことが多い。スキーウエアのファッションに関しても、
「競技としてジャッジにどう見えるかを考えています。たとえば白いウエアだと雪の上での小さなミスが目立ちにくいなど」。
そんな彼女は、今シーズン、五輪までのワールドカップ全戦出場の権利を得た上で、五輪を目指していくことになる。
大きな目標でもある今回の平昌五輪に出場できたら?
「まずオリンピック出場の権利を得るためには、ワールドカップの試合で、オリンピックでも勝てる滑りをしなければいけません。その中で、順位にこだわるのではなく、自分が昔からイメージしている理想の滑りができれば、結果は自然についてくると思っています」
さらに次の北京五輪への期待もかかる。
「出場した選手に聞くと、初めてのオリンピックは楽しいけど、2回目は全然違う。勝つためだけに4年間すべてを費やすそうです。今回、平昌に出られたら、自分はどんな気持ちで2回目のオリンピックを迎えるのかを楽しみたいにしたいと思います」。
将来的にはワールドカップ優勝や五輪でのメダルが期待できる選手になっていくだろう。自分の将来像を聞いてみると、
「私の滑りを見て、こういう滑りがしたいとか、こういう選手になりたい。そんなふうに思ってもらえる選手になっていたいです」
美しくかっこよく攻める! そのスタイルを追い求めることが、世界へ、そして未来へとつながっていく。
J SPORTS 編集部
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