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フィギュア スケート コラム 2022年10月25日

地域活性へ邁進する有明アリーナ | 町田樹のスポーツアカデミア 【Repotage:東京に誕生したレガシーの今】

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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町田樹 × 人見秀司さん

町田樹 × 人見秀司さん

昨年開催された東京オリンピック・パラリンピック。開催都市東京に生み出された数々のレガシーを調査するべく町田樹が潜入取材。各施設の現在の姿と、それぞれが示した未来を解き明かします。

今回は、東京ベイエリアの開放感溢れる東雲運河に面した有明アリーナに潜入します。オリンピックではバレーボール。パラリンピックでは車椅子バスケットボールの会場になった有明アリーナは、反り返った屋根が特徴的な地上5階建ての屋内施設。オリンピック・パラリンピック閉幕後に改修し今年8月に再オープンし、スポーツ・文化の新たな発信拠点として注目を集めています。

有明アリーナ

有明アリーナ

M:こんにちは町田樹です。今日はよろしくお願いします。

人見(以下H):株式会社東京有明アリーナ代表取締役の人見秀司と申します。よろしくお願いします。まず、ご案内するのは環境問題に配慮した場所です。有明アリーナの1つの取り組みとして、ゴミの分別があります。基本的にゴミはなく、すべて資源。再利用できるという前提です。どうしてもアリーナ内は電気を使ったり、ゴミを出したり地球に負荷をかけてビジネスをしているので、それをなるべく減らそうという取り組みです。プラスチック、ペットボトル、ビン、カン。そして、江東区はプラスチックトレーと言って、お刺身とかが入っている白いトレーを分別して回収しているエリアなので、私どももそれに則っています。ただ、どうしてもトレーを洗うことができないので、トレーに貼ってあるフィルムシートを剥がして燃えるゴミとトレーに分けています。江東区ならではのリサイクルも有明アリーナの中でトライさせていただいています。

環境問題に配慮してゴミの分別にも積極的に取り組んでいる

環境問題に配慮してゴミの分別にも積極的に取り組んでいる

M:SDGsが叫ばれる昨今。それもきちっとやられているっていうことですね。

H:次はアリーナです。印象はいかがですか?

M:壮観ですね。私も数々のアリーナを経験させていただきましたが、木材がふんだんに使われていますよね。

アリーナの稼働観覧席

アリーナの稼働観覧席

H:そうですね。本当に木が象徴的で、木の温もりと言いますか、温かみのあるアリーナだなと思います。

H:最上階の4階ですが、アリーナ面までかなり近いと思います。

M:そうですね。さっき地面から上を見た時は、だいぶ天井高いなと思いましたけど、逆に上から見ると「すぐそこにアリーナがあるな」という印象です。

H:有明アリーナの特徴で、アリーナ面から客席までの距離が非常に近くて一体感があると思います。その意味ではこけら落としのイベントでもお客様からも非常に見やすいという評価をいただいております。

H:アリーナ面は競技によって、サイズが異なります。バスケットボールやバレーボールのサイズ、ハンドボールやフットサルのサイズは違いますので、それに合わせた木床などが倉庫に入っています。それを持ってきて敷いてスポーツをするという形なんです。

M:床も自由自在に変幻自在に変わっていくということですね。

VIPルーム

VIPルーム

H:普段はコンクリート床です。出入り口から11tトラックが入って、向こう側に出ることができます。音楽興行などの場合、かなり大きな吊り物といった施工の準備も比較的スムーズに行えるようになっていますし、それが稼働率の向上にもつながっているかなと思います。続いて、最上階のVIPルームラウンジです。各VIPルームの利用者がくつろいだり、バーカウンターで飲み物を取ったり。通常の席とは違った形です。

M:VIPルームもすごく綺麗ですね。

H:そうですね。落ち着いていますよね。スポーツや音楽を見る時は外に出ていただくのですが、途中休憩や食事の際も、室内に設置してあるビジョンで、中の様子を見ることができます。ゆっくりイベント楽しんでいただけるようなスペースです。ただ、有明アリーナにはVIPルームが6部屋しかありません。海外で収容人数が1万5000人くらいのキャパですと大体(VIPルームは)50〜70くらいあります。ホスピタリティと言いますか、お客様をもてなして収益につながる運営方式が多かったりするんですね。部屋自体を増やすのは難しいのですが、有明アリーナもそうしたホスピタリティが提供できるような場所やスペースを、今後、開発していきたいと思います。

M:丁寧に紹介くださり、ありがとうございました。これからは有明アリーナをどのように運営されているか、伺いたいと思います。8月20日に再開業して約1カ月くらいですね。

H:そうですね。こけら落としをした時にアリーナに人が入った時の感動と言いますか、当然、声は出せないのですが、皆さんが手拍子等々で一体感を持ってアーティストさんと対話する姿や光景を見た時はすごく感動しました。その一体感はアーティストさんからも高い評価いただいて、我々もホッとしている状況です。

M:これから先もイベントは埋まっていますか?

H:そうですね。コロナ禍で1年前はなかなか予約を受け付けるような状況ではなかったですが、今はおかげ様で週末に関してはほぼ予約が入っています。ライブエンタメの復活と有明アリーナの持つポテンシャルを改めて再確認・確信している状況ですね。

M:なるほど。ここに来れば、毎週末、何かしらのスポーツイベントやライブエンターテイメントといったイベントがやっているんですね。

H:そうですね。有明アリーナは多目的アリーナです。スポーツと文化の新たな拠点を作るということで運営しています。その意味では海外の方やお子様も楽しめるようなスポーツ、多種多様なイベントを行えるのが我々の強みです。その一方で、施設的に気をつけなければいけないのは、多目的が故に無目的になってしまうこと。スポーツでは使いづらい、音楽興行でも使いづらいみたいな形になりかねませんので、オリンピック・パラリンピックが終わり、主催者側とコミュニケーションを取りながら、両者が比較的、使いやすいような形に1年をかけて改修すべきところを改修して、再オープンを迎えた形になっています。

M:約1年間、改修されてきたということですが、投資をされて改修してきたということですね。

事業コンソーシアム 10社

事業コンソーシアム 10社

H:そうですね。我々が追加投資をして改修を行いました。有明アリーナの特徴はコンセッション方式で、東京都から運営権を買って25年間という限られた期間を運営するスタイルです。その期間は利用者及び来場者の体験価値を高められるようなテクノロジーや機能を民間が主体的に追加投資できますので、積極的に追加投資させていただいています。まだ道半ばですけれども、演者やアスリート、見る方にとっても見やすい環境を準備させていただいていると思っています。

M:ほかの企業さんは、どういったところで協力されているんですか。例えば通信機能などは?

桟橋の設置工事の様子

桟橋の設置工事の様子

H:NTTドコモさんはオリンピックの公式パートナーです。来場者は試合などを見にくると、どうしてもSNSなど、いろいろなものに繋げてアップしたいというニーズがあると思います。それは大切にしたい。iPadのようなパネルが300枚ぐらいありますが、これは高密度wi-fiのアクセスポイントです。そうした初期投資をドコモさんに担っていただいて、来場者の通信環境を安定的に提供することをしています。通信環境は国内でもトップクラスだと思いますし、日本管財さんは警備や維持管理、修繕といったところをお願いしています。Live Nation Japanやアミューズさんは国内外においてトップの音楽イベンター、総合型のエンターテイメント企業なので、当然、様々なイベントの誘致などをサポートいただいています。

このように各社が強みを出しあって、25年間、責任を持って運営していきます。10社で最初に意識したのは、エリアの経済効果、街づくりに貢献できるかどうかです。そのためには当然収益を上げなければいけないので、併設しているサブアリーナリも、普段は一般的なスポーツ利用で使っていただいていますが、イベント時は、例えば物販の販売会場など、少し場所を工夫して興行主さんに提供することで付加価値をつけて収益を上げていくこともやっています。それから、再オープン時には間に合わなかったんですけど、今、有明アリーナの北東部分の水辺に桟橋の設置工事をしています。船を使って、イベントの後、東京湾クルーズに行ったりと、水上のアクティビティとイベントを連携させるような事業も考えています。

M:なるほど。大規模なインフラ設備も考えているということですね。水上バスなどの駅ができちゃうということですね。

H:そうですね。当然、交通網だけではなく、付加価値をつけて、イベントとアーティストの2次会にクルーズや屋形船を使っていただくような新しい水辺の利用みたいなものもチャレンジしていきたいと思っています。

M:なるほど。

東京ユナイテッドBC

東京ユナイテッドBC

H:「世界に選ばれる。地域に愛されるアリーナーを目指します」ということで、今回、東京都に提案させていただいた中で、オリンピック・パラリンピックですと、箱物がレガシーというイメージになりますが、ソフト面でのレガシーが何なのかを考えた時には、やはり地域に根ざしたスポーツチームや地元のクラブがあること。そうすると地域の方がそこに参画できます。それが必要なのではないかということで、東京2020の1つのソフトレガシーとして江東区と一緒にゼロからバスケットチーム(東京ユナイテッドバスケットボールクラブ)を立ち上げました。プロジェクトは2019年から準備し、今年のホーム開幕戦は10月9日。試合が始まったら、地域も巻き込みながら、皆さんと一緒に作っていく形になっていきます。

M:どうしても東京オリンピック、パラリンピックのレガシーとなると、おっしゃるようにハードウェアの面が取り沙汰されていますけれども、有明アリーナはそのハードの強みを生かしてソフト面でのレガシーも生み出していこうと努力をされています。しかも地域、自治体との連携もしながらコミュニティを作っていくという、まさに理想的なレガシーの継承方法だと思います。

文:J SPORTS編集部

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