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フィギュア スケート コラム 2022年4月12日

輝かしい未来を夢見る若手フィギュアスケーターたちの共演! | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2022 プレビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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本田ルーカス剛史 / 三浦佳生 / 壷井達也

本田ルーカス剛史 / 三浦佳生 / 壷井達也

4年後、8年後の主役たちが、一堂に介する。2年ぶりに、世界ジュニアフィギュアスケート選手権が、無事に開催にこぎつけた!

例年であれば3月序盤に、世界ジュニアフィギュアスケート選手権は開催される。しかし新型コロナウイルス感染状況と不安定な世界情勢が影響し、ホスト国のブルガリアが開催返上。2年連続の中止も危ぶまれた。

幸いにも、またしてもエストニアのタリンが、フィギュアスケート界に救いの手を差し伸べた。コロナ禍直前2020年3月の世界ジュニアの開催地でもあり、この1月すでに欧州選手権を開催し、翌週に連続して四大陸選手権の代替開催を成功させたトンディラバ・アイス・ホールが、輝かしい未来を夢見る若手フィギュアスケーターたちを受け入れる。

■男子

参加年齢制限は、男女シングルともに2021年7月1日の時点で13歳以上19歳未満。つまり現在17歳のイリア・マリニン(アメリカ)には、十分な出場資格がある。ほんの3週間前のシニア世界選手権ショートプログラム(SP)で、「100点超え」をあっさり達成してしまった後だとしても!

シーズン前半のJrグランプリは2戦2勝。全米選手権では非公認ながら「300点超え」。マリニンは、間違いなく、自他ともに認める優勝大本命だ。4回転は完成度の高いルッツを筆頭に、トーループとサルコウも飛びこなす。

しかもマリニンは、2度と同じ「若気の至り」を犯さない。たとえば初めて出場した国際シニア大会のオーストリア杯SPで、大きく崩れ、世界選出場に必須な技術点ミニマムを獲得できなかった。2月末のチャレンジカップでは、あえてジャンプ難易度を下げ、必要な得点をきっちり持ち帰った。

だからこそ極めて難しい構成で挑み、転倒やミスが相次いだ世界選FSの直後には、「これを教訓に世界ジュニアは堅実に攻める」と宣言した。本気で、ジュニア世界タイトルを射止めるために。

マリニンが2年前の世界ジュニア@タリンを16位で終えたのだとしたら、日本の三浦佳生は、1月の四大陸選手権@タリンで3位銅メダルに輝いた。来季以降はシニアで頂上決戦を繰り広げるであろう2人の、第1回戦も、やはりタリンが舞台だ。

16歳の三浦もまた、見事な4回転ジャンプを武器に持つ。圧巻なのはそのスピードと、凄まじい幅。疾走するスケーティングも、切れのあるステップも、全身から滲み出すガッツも、見る者の心を引きつけて離さない。繰り上がりで代表に選ばれたシニア世界選手権は、残念ながら肉離れで出場を断念したが、ジュニア世界一決定戦にはどうやら間に合った。

また日本からはオーストリア杯でマリニンを上回る銀メダルを手にした本田ルーカス剛史と、1月のバヴァリアンオープン・ジュニア部門優勝、3月のプランタン杯・シニア部門2位と国際舞台で着実に地位を築きつつある壷井達也も参戦する。

今季のJrグランプリで優勝1回・表彰台1回と「躍進のシーズン」を過ごしたウェスリー・チュウ(カナダ)や、地元フランス大会で3位表彰台に上がった「アモディオの教え子」フランソワ・ピトにも注目。すでに同リンクで欧州選手権を戦い、3月末の欧州ユース五輪では金メダルを持ち帰った地元エストニアのアルレット・レヴァンディにも。地元での活躍が期待される。

全米ジュニア王者カイ・コーヴァー(アメリカ)は「次のネイサン・チェン」との呼び声高い。3年前に史上最年少13歳で4回転ルッツを成功させ、さらにはジュニアグランプリファイナルを制したスティーブン・ゴゴレフ(カナダ)も、怪我と成長期を乗り越えて、国際舞台へと帰ってくる。

■女子

住吉りをん / 渡辺倫果

住吉りをん / 渡辺倫果

ロシアのいない今大会、参加女子選手の中でJrグランプリファイナルへの進出権を得ていたのは、イザボー・レヴィト(アメリカ)とリンゼイ・トルグレン(アメリカ)の2人だけ。特に15歳の前者は、丁寧なパフォーマンスと優雅な佇まいでシニア全米3位に飛び込み、非凡な才能を証明した。また全米5位のトルグレンは、2月末チャレンジカップでシニア国際大会で初めて表彰台に乗った。

一方の日本勢は、コロナ禍による渡航規制の影響で、2季連続でJrグランプリに参加できなかった。代わりに今年に入ってから、国際舞台を積極的に経験している。19歳の渡辺倫果はバヴァリアンオープン・ジュニアで人生2度目の2位。さらに3月のプランタン杯では渡辺が1位、18歳住吉りをんが2位と、日本女子がワンツーフィニッシュを成し遂げた!

またトルグレンは3回転アクセルに挑戦し続けてはいるものの、今季本番ではダウングレード止まりなのに対して、渡辺はすでに全日本で3回転アクセルを決めている。住吉は練習では4回転ジャンプも成功させているという。世界の大舞台でも、2人が力強いジャンプを披露さえすれば、きっと結果は自然についてる。

女子の層が年々厚みを増していく韓国からも目が離せない。14歳ジア・シン、15歳アスン・ユン、そして今季NHK杯9位の17歳ソヨン・ウィが参加する。

■ペア

カリーナ・サフィナ&ルカ・ベルラワ組(ジョージア)が、参加全10組の中で、絶対的な優勝大本命。今季ペアを結成したばかりの2人は、欧州選手権4位、冬季五輪9位、世界選手権4位と、すでにシニアの大舞台でハイレベルな成績を残している。パーソナルベストも、他の強豪ジュニアペアと比べて40点近くも高い。普段のどおりのパフォーマンスを出すことさえ出来れば、ジュニア世界一の称号は自然と手に入るはずだ。

結成2年目のブルック・マッキントッシュ&バンジャマン・ミマール組(カナダ)は、1月にバヴァリアンオープンJr部門を制覇した。ジュニアとして戦う最後の大会(シーズン開幕前の7月1日の時点で女性19歳未満・男性21歳未満)も、ポジティブな結果で締めくくって、来季のシニア転向にはずみをつけたい。

ウクライナ生まれのアメリカ代表アナスタシア・スミルノワ&ダニロ・シーアニツィア組は、祖国の平和を願いつつ、本気の表彰台獲りを宣言。一方でウクライナ代表ヴィオレッタ・シエロワ&イヴァン・コブタ組は、2月末以降、おそらくスケートが最優先ではない日々を過ごしてきた。本来であれば表彰台を狙える実力を有する2人にとって、今大会は、せめて未来に向けて一歩を踏み出す機会となって欲しい。

■アイスダンス

來田奈央 森田真沙也

來田奈央&森田真沙也組

ロシアと肩を並べるアイスダンス大国であり、21世紀に入ってから8組のカップルを表彰台の最上段に送り込んできたアメリカ。2大会連続優勝を目指して、今回も強豪3組と共に乗り込んでくる。

前回同じ会場での試合を7位で終えたカタリナ・ウォルフコスティン&ジェフリー・チェン組は、それぞれ17歳と19歳になり、2年分の経験を積み重ねた。昨季はジュニアで全米チャンピオンになり、今季はJrグランプリ大会で1位と2位に入った。また今1月の全米は、シニアとして参加し、6位に食い込んだ。

ジェフリーがカレンの弟であるのだとしたら、ウーナ&ゲージ・ブラウンは兄妹。やはり今季のジュニアグランプリ大会で、1位と2位の成績を収めた。全米ジュニアでは4位→3位→2位とひとつずつ階段を上がってきた2人だが、前回大会の10位から、今回は大きな躍進も期待される。

リズムダンスもフリーダンスも、ブラウン兄妹とほぼ同じパーソナルベストを誇るのが、大会初日に18歳になるアンジェラ・リンと、大会終了2日後に21歳になるケイレブ・ウェインのカップル。今季はJrグランプリでも、全米ジュニアでも初めて表彰台に上り、初めて世界ジュニアへの挑戦権を手に入れた。

やはりアイスダンス伝統国のカナダは、ナタリー・ダレッサンドロ&ブルース・ワデル組とナディア・バシンスカ&ピーター・ボーモン組とで表彰台を狙う。

特に前組ダレッサンドロ&ワデル組は、今季出場した5大会すべてを表彰台の上で終えた。うちJrグランプリ1戦と国内ジュニア選を含み勝利は3つ。クリケットに所属し、男性はいまだにシングススケーターとして国内選手権に出場し続けつつ、モントリオール組のコーチが振り付けする……という贅沢な環境で強さを磨き上げている。

日本からは「ミニマム達成」が条件で代表に選出された15歳來田奈央&18歳森田真沙也組が、バヴァリアンオープンで無事クリア。全日本ジュニアチャンピオンが、いよいよ大舞台へと羽ばたく。

文:J SPORTS編集部

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