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フィギュア スケート コラム 2022年4月2日

「音楽に惹かれた理由」| 町田樹のスポーツアカデミア 【特別編】 ~アーティストとアスリートの身体・精神論~ 音楽家 反田恭平

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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反田恭平

「音楽に惹かれた理由」から話は「ピアニストの身体運動」へ

今回お迎えしたのは、第18回ショパン国際ピアノコンクールで51年振りに第2位となった音楽家の反田恭平さんです。みずからオーケストラの株式会社Japan National Orchestraを創設し、ピアニストとしてのキャリアから、指揮者や経営者など活動の幅を広げ、今最も注目されている音楽家です。

反田(以下S):(幼少時代の)僕の生活の基準はサッカーで、土日は必ず試合や練習に行っていましたが、土日はピアノのお稽古も来ます。小学校高学年くらいになってくると少しずつコンクールを受けに行って、審査員から直接連絡が来て「うちでレッスンしないか」とお誘いいただくこともありました。全く興味がなかったので「サッカーを優先させてください」と手紙を書いていました。サッカー命だったので、時間があればボールと過ごしていました。

(音楽にのめり込むきっかけの)一つは骨折、もう一つは《指揮者ってなに?》というワークショップがありました。「夏休みを使ってプロのオーケストラを指揮してみませんか」というもので、たまたま手を挙げたら誰も挙げていなくて、指揮をさせてもらいました。指揮台に乗って70人を相手に指揮棒を振ったらバッと音が鳴って、魔法使いみたいな印象を受けました。サッカーをやっていた頃もクラシックは好きでしたが、かっこいいとは思っていなかった。その時のオーケストラを機に初めてクラシック自体がかっこいいと感じた。それは仮面ライダーがかっこいいと思うのと同じレベルなんですが、僕にとってはすごい衝撃的でした。指揮者の方にどうしたら指揮者になれるかうかがったら「まず楽器を一つ極めなさい」と言われて、僕はピアノが家にあったのでピアノを練習し始めました。なので、今回のコンクールでの受賞を機に、指揮の勉強もこれからできるのではないかなと思っています。

町田(以下M):先に指揮者という夢があって、そこへのアプローチの手段としてピアノを選びました。今はピアニストとしてのアイデンティティもお持ちだと思いますが。

S:指揮者を目指す過程でプロになってしまったという形なので、僕にとってピアノは趣味の域。遊びで弾いていて、たまたまそれを聴きたいと言ってくれるお客様がいらっしゃる。誰のためになんのために弾くかはいつも自問自答していて、作品のためなのか、自分のためなのか、お客さんのためなのか、色々あると思いますが、その都度変えたりしています。僕にとって指揮はおそらく将来的に職業になる。

クラシック音楽を好きになるきっかけはいくつかありましたが、漫画やドラマの影響もありました。当時はクラシック音楽の知識は全くありませんでしたので、ドラマで曲を知りました。この番組をご覧の方の中にはクラシック音楽に興味がないという方もいらっしゃると思いますが、アニメやドラマをもう一度見てもいいかもしれません。一番良いのはフィギュアスケートだと思いますけど。

M:確かにフィギュアスケートをきっかけにCDを買ったり、音楽家のコンサートに行くといった消費行動もあったりして、ちょっとでも貢献しているんだなと思った記憶があります。

これまで数々のコンクールや舞台に立たれてきたと思いますが、ショパンコンクールを細かく拝見させていただくと、身体運動として半端じゃないことをやっていると思いました。例えば指の動きでも、一般人が同じ運動をしたら1分ともたずに腕が動かなくなるだろうと思うくらいです。やはり身体的な負担は大きいですか。

S:大きいですね。何事においても最終的には体幹になってくると思います。他に注意するところと言うと、背筋とかですかね。肩甲骨からグッと腕を前に持ってきて、抱え込んで押すみたいな。演奏の仕方も流派の一つとしてあったりします。単純に肩や肘、手首、指の第3・第2・第1関節っていうのを意識して弾いたりすると音も必然的に変わってきます。これは不思議ですよね。特に若い学生たちに伝えたいのは、第3関節は手の甲から見ると拳のあたりにあり、手の平から見た場合の指の付け根ではない。そこを意識しているかしていないかで全然演奏は変わってきます。

また、指の間の水かきが多いと指が開かないと言いますけど、小さい頃から少しずつ伸ばしていたりすると必然的に大きくなってきます。僕はラッキーでたまたまドアに指を挟んで骨折した際に腱が切れて開くようになりました。逆に右手はそうじゃないので全然違うんですよね。日本はあまりないですけど、中国とかではわざと指の骨を砕いて矯正していたりしますよね。ロベルト・シューマンという作曲家も昔はピアニストで、上手くなりたい一心で重りをつけて練習して指を壊して、作曲家に専念したという話もあるくらいです。指を鍛える器具もありますが、成長過程の内におさめられる運動機能を作っていくことがピアノに関しては大事です。バイオリンでは出来る限り力を抜く、脱力だけで勝負するみたいなことがありますが、ピアノに関してはある程度筋肉があった方がいいと思っています。

次回「ピアニストの身体運動」

文:J SPORTS編集部

J SPORTS編集部

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