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振付師の宮本賢二さん(KENJI)が、日本を代表するトップスケーターを毎月1名、ゲストに迎えてお送りする30分のトーク番組「KENJIの部屋」。今月のゲストは、鈴木明子さんです。最終回では、注目のスケーターやプロ転向などについて語っていただきました!
プリンスアイスワールド2014東京公演
鈴木:(♪ツィゴイネルワイゼン)試合だと音のしないスケートが良いみたいな感じだけど、あえてここで音を出す所が好き。
――前半と後半でバイオリンの低音と高音になっていて、これ後半にすごく速くなるでしょ。そのために前半の低い音でグーッと先に抑えて、軽やかなのをもっと目立たせるようにしてる
鈴木:止まってはいないけど、静と動みたいな。競技の時以上に音をすごく表現できるから、やっていて楽しい。音に合わせるのがすごく気持ちいい。
――試合の時はレベルとかも考えるしね。これ、明子ちゃんの肘から手にかけてがきれいだよね
鈴木:でも、振り付けの時にすごく苦労したじゃないですか。私、何回もステップができなくて。
――最後の最後に、ちょっとまちがえたりとかね。スピンの時に、特に言わなくても手をしっかり表現してくれたでしょ。そういう所が明子ちゃんのすごい所だと思う。音をあまさず使ってくれるし
鈴木:この曲、決めるのも時間がかかりましたよね。「競技の時にやってみたかった曲とかない?」って言われて。
――最終的に「鈴木明子丸出しでいこう」ってなって、本当にハマったよね
鈴木:現役の選手に負けないように、でもルールがないから自由なんだよ、みたいな。
――明子ちゃんて腕がちょっと猿腕になってて、内側になるでしょ。そこからのラインの指までが自然とできてるよね。あのピンッて弾く音もすばらしい
鈴木:最初はもっとピョンって感じだったのを、自分で勝手に大きくしたんですけど。ファンの方からのお手紙で「あそこが好きです」っていうのもありました。
――普通はあんな動きできずに、逆になるもんね。ピンッてやったあとの余韻も、残し方がうまいというか
鈴木:プロになってから、より音を自分で楽しむようになりました。こう残す、とか自分でどんどん発展させて。ここをもうちょっと引っ張ってみようかな、とか。
――試合の時だったら、それをやってたら次のジャンプに間に合わなくなるもんね
鈴木:そこを楽しめるようになったのはすごくおもしろくて、「ああ、これが自分が本当にやりたかったことなのかな」って思えるようになりました。
――他の人の振り付けの時にはよく言ってるけど、明子ちゃんに「腕を上げる時に誰かが下で引っ張ってるのを意識してやれ」って言ったことないよね?
鈴木:言われたことないです。
――明子ちゃんは自然にやってるから。それで速い高い音の時にはサラサラ、パパっと動くっていうのを説明する必要がなかったから、その分すごく省略された。なんとなくでわかってくれるから。ババーッとか、ジトッとか、サラッとか、あれ周りの人が聞いてたら何言うてるかわからへんやろね。言葉に出さなくても、僕がちょろっと動いてみた動きと音楽で、明子ちゃんは最大限に動いてくれる
鈴木:先生、「んんー」とか多いですよね。「んんー、うん」っていう表現。
――「んんー。うんうん、うん、んんー」。レッスン中こんなのばっかり。あと、音を派手な動きと音だけに合わせないように
鈴木:普通はたぶん「バン」ていう時に、「バン、(止)」。
――静けさがすごく大きく見えるような感じで作りました。「タラララ~ラ~ララ~ララ~、(止)」で、音はないんですよ。でも、勝手なイメージで「タラララ~ラ~ララ~タララ~ン、アアン!」っていう感じで作ったんです
鈴木:このアアン!は実際に音がないんですよ。でも、私に伝えた時はそう伝えましたよね。タララ~ン、アアン!
――派手じゃないけど、目を引く。これはやっぱりすごいと思う
鈴木:そうやって印象に残してもらえるとすごくうれしいです。
注目のスケーター
――アイスショーとか、いろんな場面があって、いろんな人と接すると思うけど
鈴木:注目は、もともと好きなんですけど、ケイトリン・ウィーバーとアンドリュー・ポジェのダンスのカップル。先日まで一緒に練習をする機会があってプログラムや彼らの取り組みを見ていて、次の世代を背負っていく、トップを牽引していくだろうと思いました。あとダンス・カップルとしては理想の見た目というか、雰囲気も含めてすごく好きです。人間性もとてもフレンドリーで、彼らとは一緒にいてすごく学ぶこともありますし、自分がスケーティングで何か取り入れられるかなと思って練習もよく見ているんですよ。
――明子ちゃんと大ちゃんて、よくアイスダンス見るよね
鈴木:ダンス大好きなんですよね。日本で見る機会がないので、そういうのを見て勉強しつつ、応援しています。
――佳菜子ちゃんとか、これからトップに立っていく人はどうなるのかな?
鈴木:佳菜はいつも末っ子みたいな感じでくっついていたのが、オフシーズンに会った時に自分がトップになる自覚が見えて、大人への階段を登っているなと感じました。
――雰囲気がちょっと変わってきたもんね
鈴木:それがどういう風にスケートに活きてくるのか、すごく楽しみです。いきなり抜けてしまったので、大変ではあると思うんです。でも佳菜と話をする時、ずっと「やめちゃやだ~」って感じだったんですけど、実際引退した時に「このままじゃダメだから、佳菜は変わろうと思う」って言っていろんなことに取り組んでいて。「えーやだ、さみしい」って言っていたのが現実的にきちんと理解してがんばろうって思ってくれているので、それを応援したいと思います。海外では、音楽と合っている選手がすごく好きなので、ジェイソン・ブラウンがおもしろいなと思いながら見ています。
今聞きたい質問!
――アマチュアとプロとは全然環境も違うだろうけど、どういう過ごし方をしているのか聞きたいし、気持ち的にどう変化があったのかな?
鈴木:本当は、やめたらもうちょっとゆっくり生活しながら練習してショーに出て、と思っていたんです。ありがたいことにいろんなお仕事をさせてもらって、すごく充実しています。でももっと楽になるのかと思ったら、人生は楽ではないということがよくわかりました、やめてから。
――人気急上昇で、お仕事もいっぱいしてるもんね
鈴木:今までスケートしかしてこなかったじゃないですか。やめてからもちろんスケートもするけど、いろんな人との出会いもありますし、自分が知らなかった世界ばかりなので、見るものすべてが新しいみたいになっちゃって。そこからスケートに活きてくることもたくさん出てくると思う。もっと気楽に滑れるかと思ったらそうでもなくて、より責任感もあるし、自分でもっと良いものを見せたいと思うようになりました。見ている方が求めているものはなんなのか、自分がしたいものはなんなのか、という自問自答もすごくするようになりました。でも、楽しいです、生きてて(笑)。
――充実していて良い感じ?
鈴木:充実していますね。今年は挑戦の1年と決めているので、いろんな仕事をしてみて、いろんなショーに出てみて、いろんなジャンルを滑ってみて、とにかくやってみようと。ダメなら次、みたいな感じで。
――では、「KENJI先生がもし女性スケーターだったら、誰と組んで滑りたいですか?」。それはシングルでもペアでも?
鈴木:ダンサーでも。
――意外とジャン・トンさんとか組んで滑ってみたいなって思う。自分をふわあって持ち上げてくれそうな感じ。濃く踊るんだったら、大ちゃんとか明子ちゃんと組んで滑りたい。明子ちゃんが男性だったら、誰と組んでみたい?
鈴木:ナタリー・ペジャラがかわいいから組んでみたいです。
――これからはどうしていきたいですか?
鈴木:自分は滑ることがすごく好きなので、プロとして時間は限られているけどできる限り滑っていきたいです。それ以外にも、自分の経験してきたことを伝えていくというお仕事もしつつ、最終的にはKENJI先生のような振付師になりたいと思います。
次回のKENJIの部屋
◆フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋【鈴木明子】
» エピソード1の記事はこちら
» エピソード2の記事はこちら
» エピソード3の記事はこちら
J SPORTS 編集部
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