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2月9日から開催された四大陸選手権で、日本は男女それぞれ銀メダルという結果になった。
男子SPでは、4回転で両手をついたものの、回転数は承認されたパトリック・チャンがトップにたち、4+3トウループを成功させた無良崇人が2位、転倒した4回転がダウングレードされた高橋大輔が僅差で3位というスタートだった。
フリーでは、チャンが完璧に近い「アランフェス協奏曲」を滑りきって、独走優勝を果たした。4回転を2度、3アクセルを含む3回転が7回のジャンプをほぼノーミスできめて、2位の高橋に30ポイント近い点差をつけた。「地元の利があったけれど、なぜなのか久しぶりというほどに緊張した。ジャンプ一つ一つ、丁寧に降りていくつもりで滑った」とコメントした。
高橋大輔は「ブルース・フォオ・クルック」のメロディにのって演技を開始した。久々に4トウループがきまったが、続いたアクセルが1回転半に。立ち直って、3サルコウ、3フリップ+2トウループなど、6回の3回転を成功させた。もったいなかったのは、3アクセル+3トウループのアクセルが、回転不足となったこと。アクセル2回がきちんときまっていたら、5コンポーネンツももっと出ていただろう。244.33で2位となった。
「(標高のことで)呼吸にすごく気をつけて調整しながら滑った。後半、もうミスはできないと思って頭を使うことに集中していて、終ってから、どれほど体が疲れているのか気がついた」
そう語った高橋は、チャンとの点差がついたことについては、「自分で見ても、このくらいの差かなというのは納得できた。ソチ五輪までには少しずつこの差を詰めていきたい」と語った。
3位には米国の若手、ロス・マイナーがミスの少ない演技でSP6位から追い上げて入った。SP2位だった無良崇人、SP4位だった町田樹ともに、フリーではジャンプのミスが目立ってそれぞれ5位と7位に終った。
女子SPでは浅田真央がトップにたち、僅差で新米国チャンピオンのアシュリー・ワグナー、村上佳菜子が3位だった。浅田は3アクセルが回転不足になったものの、残りはノーミスで滑りきった。ワグナーは3フリップ+3トウループに挑戦。両足着氷になったものの、力強い演技だった。村上はスピードにのって3+3のトウループコンビネーションに成功。4位は惜しいところで3+3のループコンビネーションでバランスを崩したカロライナ・ザンだった。
フリーでは予想外に、ワグナーが逆転優勝を果たした。「ブラックスワン」のサントラで、6回の3回転をノーミスでこなして総合192.41という高得点を出した。改めて、米国チャンピオンのタイトルの強さを見たように思う。本人も自信がついたのだろうし、やはりジャッジの見方もこれまでのワグナーに対する目とは違うだろう。
浅田真央は「愛の夢」で3アクセルから演技を開始。きれいに降りたように見えたが、再び回転不足の判定だった。3ルッツで片手をつき、サルコウが2回転になったものの、全体にはよくまとまった演技で、総合188.62で2位だった。久々の3アクセルの挑戦はSP、フリーともに回転不足をとられたが、全体の調子が上がってきているのが見て取れる。もしニースで、今回のフリーで予定していたジャンプをすべて成功させれば6種類の3回転ジャンプを跳ぶことになる。
3位は、ノーミスのフリーを滑って総合176.18を得たカロライナ・ザンだった。体型が大人になってからスランプが続いていたけれど、久しぶりに彼女らしいスケートを見せてくれた。
村上佳菜子はコンビネーションの2つ目のジャンプがうまく入らずに、169.32で総合4位だった。今井遥は、今回はSP、フリーともにジャンプの不調が続いて総合9位に終った。
ペアは中国の若手、スイ&ハンが初優勝。フリーではスロウ4サルコウ、4ツイストを成功させて北米のチームを退けた。2位は米国チャンピオンのデニー&コーフリン、3位は同じく米国のマーレー&ブルベーカーだった。高橋&トランはSP、フリーともにジャンプのミスがあり、総合5位だった。
アイスダンスは、ショートダンスで2位だったヴァーチュー&モイアがデイビス&ホワイトを逆転し、優勝を果たした。今回2位だったデイビス&ホワイトとの直接対決で勝ったのは、2010年トリノ世界選手権以来のこと。3月のニース世界選手権が楽しみになってきた。
3位にはカナダのウィーバー&ポジェが入り、シブタニ&シブタニは今回4位だった。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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