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1月25日に終了した全米選手権で、男子はジェレミー・アボットが3度目のタイトルを手にした。SPでは4回転こそ入れなかったものの、滑り込んできたことがよくわかる完成度の高いプログラムで、90.23と初の90点台をマーク。フリーでは冒頭の4回転をきれいに降りて、3アクセルも2回成功させた。273.58と全米選手権史上の最高点を手にし、2位のアダム・リッポンに30点以上の点差をつけた。
SP、フリーともに内容の難しい振付をよくこなし、レベルの高い演技を見せたアボットだった。だがフリーでは3ループが回転不足、最後のサルコウが2回転になるなど、まったくノーミスではなかった。そんな中で5コンポーネンツも9点台がすべて出揃ったのは、ジャッジたちが明らかにカナダ選手権のパトリック・チャンの高得点を意識したものと憶測する。国内の試合の得点はISUの記録には残らないとはいえ、こうして世界のジャッジに向けて、自国のチャンピオンがいかに優れているかメッセージを発しているのだ。
アボットは2位のリッポンとともに、世界選手権の代表に選ばれた。昨年はこの二人とも不調で世界選手権の代表選考から漏れ、その結果、モスクワで米国男子は世界選手権の3枠を失った。3月ニースでは、二人がこの雪辱をはらうことができるだろうか。
女子はSP3位だったアシュリー・ワグナーが逆転優勝を果たし、新チャンピオンになった。「ブラックスワン」のプログラムで4種類の3回転を合計6回成功させて、総合187.02と高い点を得た。アリサ・シスニーは二度目の3ルッツで転倒し、総合180.00で2位。若手のアグネス・ザワツキーが3位に入って初のシニアメダルを手にした。期待されていた長洲未来は、フリーで2度転倒するなど、不調な演技で、これまでの全米選手権では最下位の7位となった。女子も、トップ2人が世界選手権の代表に選考された。
アイスダンスは予想通り、デイビス&ホワイトが圧勝。シブタニ&シブタニが2位になり、新チームのフベル&ドナヒューが3位に入った。
ペアはいずれも新チーム同士の対決となったが、ケイディー&コーフリンが初優勝して、マーリー&ブルベーカーが2位。この2組が世界選手権の代表に決定した。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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