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2月17日から台湾の台北市で開催された4大陸選手権では、日本勢が圧倒的な強さを見せた。
男子では、高橋大輔がSP、フリーともにトップを独走して二度目の四大陸選手権タイトルを手に。日本でトレーニングをしている彼にとっては、同じアジアの中で開催されたこの大会は体力的負担も少なく、世界選手権に向けて良い前哨戦になったことだろう。もっとも内容的に高橋にとっては決してベストな演技ではなかった。高橋はこの大会では2008年に優勝時に4回転をフリーで2回跳んで、264.41というISU史上最高スコアを出している。今回はフリーで挑んだ4回転で転倒し、回転不足でダウングレードされた。総合244.00という、彼にとっては平均的なスコアである。この3年間で大きな負傷と手術からのリハビを乗り越えてきた高橋が、当時のコンディションを取り戻すことは楽ではない。だが東京で、タイトルを守るためには、高橋にとって4回転が鍵になるだろう。今の彼に足りないものは、それだけだ。
2位は16歳の新星、羽生結弦が入った。SP、フリーとも大きく崩れることのない、全体をまとめた演技でそれぞれ3位。フリーでは4回転を成功させて、総合で2位に上がった。世界ジュニアチャンピオンの彼にとって、こうしてシニアの大きな大会で着実に実績を上げていくことは大きな意味がある。SPで不調な出だしだった小塚崇彦は、フリーでは2位と挽回したが、あと少しのところで4位に終わり、日本男子表彰台独占にはいたらなかった。
3位に食い込んだのは、今季スケート靴の調整が合わずに不調が続き、全米選手権の表彰台に乗ることができなかったジェレミー・アボット。元GPファイナルチャンピオンの意地を見せてSPでは2位、総合3位に食い込んだ。世界選手権の米国代表にもれた彼にとっては、これで今シーズン終了となる。
女子は、安藤美姫がSP、フリーともに安定した演技を見せて初の4大陸選手権タイトルを手にした。浅田真央は、SPの3アクセルが回転不足になり、フリーでもいくつか回転不足が出て総合2位だった。だが注目は、彼女のスケーティングスキルが今季はじめて8点台を獲得したことである。今季全体を通して、国際試合で5コンポーネンツの8点台を獲得した女子はほかにいない。浅田の本来の滑りが戻ってきていることを、ジャッジたちが注目していることに何よりの証しだ。3位は長洲未来が入り、彼女にとって今季最後の試合を笑顔で締めくくった。
ペアでは、予想通りパン&トンが優勝。アイスダンスでは今季はじめて試合に出てきた五輪チャンピオンのヴァーチュー&モイアだったが、ヴァーチューの怪我の回復が完全ではなく、ショートダンス1位だった後、フリーを棄権。デイビス&ホワイトがタイトルを守って優勝した。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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