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フィギュア スケート コラム 2011年2月14日

【フィギュア通信】 予想外の結果を見せた全米選手権

フィギュア通信 by 田村 明子
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フィギュアスケートでは何が起きるかわからない。かつてからそう言われてきたが、今年の全米選手権男子シングルほど、予想外の結果となった試合も珍しい。

五輪チャンピオンのエヴァン・ライサチェック、そしてジョニー・ウイアという二人のスター選手が競技活動を休止している今シーズン、過去2年間彼らを破って全米タイトルを手にしたジェレミー・アボットが今回もタイトルを守ることは堅いと予想されていた。だが結果が出てみると、アボットも、彼との勝負が注目されていた若手アダム・リッポンも、表彰台に上がることができなかった。

新米国チャンピオンとなったのは、27歳のライアン・ブラッドリーだった。全米選手権は出場11回目のベテランで、3月のトリノ世界選手権では18位だった選手である。昨年春に右足を骨折して引退説が流れていたが、全米選手権出場を決意したのは11月だったという。SPでは4+3のコンビネーションを成功させ、フリーでは4位だったが総合で逃げ切って初のタイトルを手にした。2位になったのは、ジュニアGPチャンピオンで19歳のリチャード・ドーンブッシュ。3位は2009年全米ジュニアチャンピオンのロス・マイナーだった。

結果にも驚いたが、米国フィギュアスケート協会(USFSA)がそのままトップ3人を世界選手権代表に決定したときは、さらに驚いた。今回不調だったが僅差で総合4位だったアボットを「過去の業績を考慮して」東京に派遣する選択だってあったはずだ。

世界選手権は、五輪を除くともっとも大きな国際大会である。GPシリーズのような試合とはやはり空気も違い、スケーターの才能や実力だけではなく、精神的な強さ、国を代表するアスリートとしての度量が問われる大舞台だ。シニアの国際舞台でまだトップクラスの結果を出したことのない3人を送って、果たして米国男子は来季も3枠を守ることができるのか。

3枠を守るためには、上位2選手の順位が総合13以下でなくてはならない。不可能とは言わないものの、現在の世界男子の顔ぶれを見ると、厳しい戦いを強いられることになるだろう。あるいは五輪と五輪の合間である今季は、多少リスクを犯してでも次世代に経験を積ませるつもりでUSFSAは選考したのだろうか。東京世界選手権で、ISUジャッジたちがこの米国男子3人をどのように評価するのか、興味深い。

男子に比べると、女子のほうの結果は順当だったと言える。SPでトップだった長洲未来が3位に落ちて世界選手権の代表を逃したことは残念だったが、米国女子は2008年を最後に過去3年間、世界選手権で2枠しか獲得できていない。今回二度目のタイトルを手にしたアリッサ・シスニーは、GPファイナルチャンピオンとして赴くだけに、ジャッジの注目度も高いだろう。もともと表現力はあり、スピンなどしっかりポイントを稼ぐ得意技を持つ選手だけに、ジャンプを安定させてきた今季は、東京で表彰台に乗るチャンスも十分ありうる。2007年東京世界選手権では15位に終ったシスニーの、雪辱戦という意味でも楽しみである。

代替画像

田村 明子

盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。

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