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スイスのベルンで開催されている欧州選手権では、現地時間29日土曜日、女子、男子それぞれの決勝が行われた。
女子は怪我で昨シーズン不調が続いていたサラ・マイヤーが会心の演技を見せて、SP3位から逆転して初タイトルを手にした。この大会を最後にアマチュア競技から引退とかねてから宣言していたマイヤーにとっても、スイスの観客にとっても、最高にハッピーなエンディングとなった。「自分のリミットまで力を出しきることができて、思い残すことない」と会見で感極まった様子で語った。2位はSP6位から挽回したカロリナ・コストナー。SP1位だったキーラ・コルピは得意なはずだった3ループで転倒するなどいくつかジャンプミスが出たが、それでも総合で3位に入賞。会見では2人ともマイヤーの勝利を祝福し、和やかな雰囲気の終幕となった。
男子は、20歳のフローラン・アモディオが「マイケルジャクソン」などのメドレーで2度の3アクセルを成功させるなど安定した演技を見せた。フリーは3位だったが、総合でトップを保ち、優勝した。欧州選手権初挑戦で優勝したのは、1995年のイリヤ・クーリック以来。
2位、3位はそれぞれベテランたちが意地を見せて、上がってきた。SP7位だったブライアン・ジュベールはベートーベン交響曲第九のフリーで、冒頭の4回転トウループをきれいに成功させ、続いた3アクセルを2回とも着氷。フリーは1位、総合2位に上がって、10個目の欧州選手権メダルを手にした。10回出場して10回ともメダルを手にしたのは、彼が史上新記録である。トマーシュ・ベルネルはやはりマイケル・ジャクソンメドレーで4回転を成功させ、全体をよくまとめた演技でフリー2位、総合3位に食い込んだ。
3月の東京世界選手権に向けての抱負を聞かれると、ジュベールは4回転をフリーで2回成功させることが目標、と答えた。今季は全体をまとめることを優先させて4回転サルコウを封印していたアモディオも、「世界で戦うにはやはり4回転が必要だと思う」と意欲を語った。
前日行われたアイスダンス決勝では、フランスのベテランチーム、ナタリア・ペシュラ&ファビアン・ブルザがトップを保って初のタイトルを手にした。2位はロシアの若手、エカテリーナ・ボブロワ&ディミトリ・ソコロヴィエフ、3位は今季前半、女性の怪我で欠場していたシニード・ケア&ジョン・ケアが入り、2度目の欧州選手権メダルを手にした。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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