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女子では、日本では若手の村上佳菜子の活躍が注目された。スケートアメリカで初シニアGPタイトルを射止めてファイナルに進出し、みごと3位入賞。16歳になったばかりとは思えない、本番の度胸のよさは大きな将来性を感じさせる。GPファイナルでは優勝候補とされながら5位に終わった安藤美姫だが、本領を発揮したフリーでは1位だった。二度目の世界タイトルを十分狙える今シーズン、後半に向けての調整が期待される。鈴木明子は全体を通してベテランらしい安定した演技を見せているが、世界のトップで争うのにもう一つこれといった武器が欲しいところだ。得意のステップシークエンスをさらに磨いていけば、もっと5コンポーネンツも伸びるに違いない。
今季は本番で実力を発揮できず、ファイナル進出を逃した浅田真央だが、佐藤信夫コーチという名伯楽の指導のもと、必ず調整しなおしてくるだろう。だが大人になってからの技術修正には、それなりの時間が必要である。次の目標はソチ五輪である彼女にとって、今季は何が何でも勝たなくてはならないシーズンではない。焦らずじっくり時間をかけてさらなる高みを目指して欲しい。
ラウラ・レピスト、ジョアニー・ロシェットなどトップ選手がそれぞれの理由で欠場した今季、GPファイナルでは、アリッサ・シスニー、カロリナ・コストナーといった、ベテランたちの活躍が目立った。その一方では、ジュニアGPでは難易度の高い3+3を跳ぶロシアのティーンエイジャーたちが注目された。今回ジュニアGPファイナルで優勝したアデリーナ・ソトニコワ、2位だったエリザベータ・ツクタミシェヴァともにまだ14歳。今季の世界選手権には出場できないものの、目を離せない若手である。
GPシリーズには出場しなかったバンクーバー五輪チャンピオンのキム・ヨナが、東京世界選手権出場に意欲を見せているとの情報もある。そうなれば、他の女子にとっても刺激となってさらに高いレベルでの試合が期待できるだろう。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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