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今季で開催11年目となる2009年四大陸選手権は、バンクーバー五輪のテスト大会というだけあり、各国からトップ選手が顔を揃えた。
全大会を通してもっとも印象に残ったのは、優勝したパトリック・チャンのSPである。4回転なしで88.90と、史上2番目の高得点を打ち出したのは、彼のスケーティングそのものに人を感動させるだけの質があったからに他ならない。本命不在だったバンクーバー五輪に、一歩王手をかけた形になった。
2位のエヴァン・ライサチェックはSP、フリーを通してミスの少ない演技でまとめ、ベテランらしい貫禄を見せた。3位だった小塚崇彦、総合4位だった織田信成もそれぞれ健闘し、世界選手権に向けて、そして来季に向けての課題がはっきりと見えたことだろう。
女子は浅田真央の弱さと強さの両方を、見せつけられた。今季最低のスコアでSP6位という予想外の立場に立たされ、背水の陣で挑んだフリー。3アクセルは1回にとどめ、苦手な3ルッツも3サルコウも、そして回転不足を取られがちな3+3も封印して、浅田は得意な技だけで手堅く勝負に出た。それでも118.66を出してフリーは1位。シーズンベストスコアを出したカロライン・ザンやシンシア・ファヌーフたちを楽々と追い抜き、総合3位に上がった。
一方キム・ヨナは、SPで2位に5ポイント以上の差をつけてトップという余裕があったのだろう。苦手な3ループをフリーで挑む冒険を試み、転倒してフリーは3位になったものの総合では1位を保った。
ジョアニー・ロシェットは地元の盛大な声援の中、安定した演技でSPから総合まで2位をキープ。1年後の本選に向けて、どの選手にとっても貴重な体験になったはずだ。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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