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ディフェンスを引きずりながらゲインするWTB池
帝京大学を48-17で下し、歓喜に沸いた日から1週間。熊谷ラグビー場で、関東大学対抗戦の第5節、筑波大学との一戦が行われた。試合は開始早々から動く。早稲田大学はボールを大きく動かすアタックで、いきなり筑波大を押し込み、ノーホイッスルでの先制に成功。
しかし、直後のプレーで筑波大に失点を許してしまう。シーソーゲームになるかと思われた今試合だったが、早大の鉄壁は健在。筑波大の攻撃を許さず、PG(ペナルティゴール)などで得点を重ねていく。
25-7で前半を終えると、続く後半も早大ペース。ポゼッションで優位に立たれる時間もあったが、強烈なタックルで押し戻した。筑波大のアタックを自由にさせず、44-7と37点差で対抗戦の連勝を5に伸ばした。
試合が動いたのはファーストプレーからだった。筑波大のキックをキャッチしたSO(スタンドオフ)服部亮太(スポ1=佐賀工)からボールを受け取ったFB(フルバック)矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が自陣からカウンターアタックを仕掛けた。
敵陣10m付近でラックを形成すると、SH(スクラムハーフ)細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)が、素早いテンポでボールを捌く。PR(プロップ)杉本安伊朗(スポ2=東京・国学院久我山)がラインブレイクし、10m近くゲインすると早大アタックはさらに加速した。
ラインブレイクするFL田中勇
FL(フランカー)城央祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)からFL田中勇成(教3=東京・早実)にショートパスを繋ぎ、一気にゴール前に侵入。筑波大ディフェンスが整う前にライン際までボールを回し、WTB(ウィング)池本晴人(社2=東京・早実)がインゴール左隅にダイブした。キックオフから90秒のことだった。
強烈な先制パンチに成功した早大だったが続く4分、筑波大のラインアウトからのサインプレーで守備のミスマッチを正確に突かれ、7-7と同点に追いつかれた。今節を「難しい試合」と大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)も位置付けていたように、一筋縄ではいかない筑波大戦を象徴するような立ち上がりだった。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 筑波大学|早稲田が堅守で筑波を圧倒
12分、敵陣22mライン付近のマイボールラインアウトからのアタックで、WTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)がハイタックルのアドバンテージを得ると、HO(フッカー)佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がアグレッシブにラック際に仕掛けて前進。早いテンポでボールを持ち出した細矢からオフロードパスを受け取ったNO8(ナンバーエイト)鈴木風詩(社4=国学院栃木)がグラウンディングした。
続く22分、相手ボールスクラムでコラプシングを獲得した早大はショットを選択。CTB(センター)野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)の正確なキックで3点を追加し、スコアは17-7とリードを広げた。さらに28分にもPG(ペナルティゴール)で3点を加えた。
31分、服部と筑波大SO楢本幹志朗の見ごたえのある蹴り合いから、両チームのコンタクトは熱を帯びる。
ディフェンスに仕掛けるCTB福島
筑波大のアタックをハーフライン付近で止め続けた早大ディフェンス。26フェーズの強烈な肉弾戦は、WTB池本とCTB野中がタッチライン際でのラックを越えきり、早大に軍配が上がる。前半終了間際のラストプレーではCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)がスクラムからの攻撃でトライ。25-7で前半の40分を終えた。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
続く後半も、序盤から激しい身体のぶつけ合いが繰り広げられた。ひと際存在感を放ったのはFL田中勇。高いワークレートで何度もタックルに入り、早大ディフェンスの要となった。
4分、矢崎が自陣から積極的にアタックを仕掛け守備を引き裂くと、持ち前の快足とステップで一気にゴール前まで侵入。早いテンポでアタックを継続し、筑波大のオフサイドを誘発した。
反則の位置からタッチに蹴り出すと思われたが、SO服部が意表を突き、右サイドに待ち受けていたWTB田中健にピンポイントでキックパス。難なくグラウンディングに成功し、早大は後半も先制した。
続く10分、早大は筑波大ラインアウトを2連続でターンオーバーし、勢いを強める。ハイパントキックからペナルティを得た早大は、敵陣ゴール前でラインアウトモールを形成し、最後はHO佐藤が今季対抗戦初トライ。37-7とさらにリードを広げた。
22分、早大はゲートオフサイドの反則から自陣ゴール前まで押し込まれるが、またしても鉄壁のディフェンスでインゴールを割らせない。早い出足でプレッシャーをかけつつも、反則を犯さない規律の良さで筑波大アタックを自由にさせなかった。
CTB福島のタックルでターンオーバーに成功すると、その勢いのまま敵陣に入り込み、CTB野中がインゴールに飛び込んだ。自らゴールも決め、スコアは44-7に。その後はセットプレーの時間が長く、両チーム得点を作り出せないままノーサイドとなった。
運動量の多さでディフェンスを牽引したFL田中勇は「ゼロに抑えたかったが、自分たちのやりたいディフェンスはできた」と試合を振り返った。
鋭い出足と低いタックルで前進を許さないことに加え、全員が立ち上がって組織ディフェンスを作り出し、数的優位を与えることがなかった早大ディフェンス。筑波大の強力なBK陣のアタックも見事に封じ切り、危なげない勝利を決めた。
次戦はついに早慶戦。「その年の成績に関係なく厳しい試合になる」(大田尾監督)ことが予想される伝統の一戦を前に、さらに勢いを加速した。このまま突き進む先は対抗戦全勝優勝、そして『荒ぶる』だ。もう早大は誰にも止められない。
文:村上結太/写真:権藤彩乃(早稲田スポーツ新聞会)
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