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東ヨーロッパの強豪ルーマニアは身長202cm、体重120kgのマリウス・イフティミチュクを筆頭に大きなFWで相手に圧力をかける。日本代表とは過去6戦して1勝5敗の戦績。前回は6年前、2017年6月10日に熊本で対戦して、21-31のスコアで敗れた。ヨーロッパ最高峰のシックスネイションズの下部リーグにあたるラグビーヨーロッパチャンピオンシップで、ジョージアやポルトガルとしのぎを削る。2022年は2位、2023年の3位決定戦では31-25でスペインに競り勝ち3位。優勝は6年連続でジョージアだった。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
ルーマニア・ラグビー協会の設立は1931年。エンブレムは樫の葉。チームの愛称は「オークス」(樫の木)だ。ラグビーワールドカップ(RWC)には第1回大会から出場しており、第1回はジンバブエ、第2回はアメリカに勝ち、1995年、2011年大会以外は毎大会1勝している。しかし、2019年の日本大会はヨーロッパ予選で1位になりながら代表資格のない選手を出場させたことで資格をはく奪された。フランス大会は予選3位もスペインが代表資格のない選手を出場させたことで、逆にルーマニアが2位に繰り上がって出場権を獲得。連続出場は途切れたが、9度目の世界一決定戦だ。
今大会は「死のプール」と呼ばれるプールBに入った。世界ランキング1位アイルランド、2位南アフリカ、5位スコットランドと世界トップ5のうち3チームが並ぶ。15位トンガも、元オーストラリア代表、元ニュージーランド代表が加入して力を上げている。ルーマニアの世界ランキングは19位(8月28日現在)。9月9日の初戦でアイルランドに思い切りよくチャレンジし、プール最終戦のトンガから1勝をもぎとりたい。
指揮を執るヘッドコーチは、昨年就任したユーゲン・アプジェコ(51歳)。現役時代はSOとしてルーマニア代表キャップ3を獲得した。伝統の強いスクラムをベースに、ボールをつなぐラグビーを作り上げている。ルーマニア国内でプレーする選手が多いが、FW陣の軸になっているのが、FW第3列のミハイ・マコベイ(193cm、109kg、36歳)だ。2011年、2015年大会に出場しており、同国4人目の100キャップ選手となっている。代表デビューは19歳。2006年6月3日のウクライナ戦だった。フランス2部リーグのバッシン・ダーカションに在籍。運動量豊富でスピードがあり、日本のリーチ マイケルや、アルゼンチンのパブロ・マテーラのような大黒柱だ。
100キャップ超えといえば、SHフルリン・スルジュ(170cm、80kg、38歳)がいる。マコベイト同じく3度目のRWC。2008年から代表でプレーし、正確なパスで攻撃のテンポを作る。ルーマニアのSHには21歳のアリナ・コナキ(170cm、72kg)もおり、8月19日のイタリア戦では57-7で敗れたものの80分フル出場した。フランス生まれのWTBニコラス・オヌトゥ(185cm、88kg、27歳)は2016年の代表デビューで初めてのRWCになるがその決定力に期待がかかる。強豪ひしめくプールでどんな戦いを挑むのか、9月9日のアイルランド戦から注目したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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