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ナミビア代表はアフリカ大陸では南アフリカに次いで2番手の実力を持つ。しかし、その差は大きく、世界ランキングは南アフリカの2位に対して現在21位。2019年のラグビーワールドカップ(RWC)日本大会まで7大会連続出場も、いまだ白星がなくプール戦敗退が続いている。2019年大会では10月13日に釜石鵜住居復興スタジアムで開催予定だったナミビア対カナダ戦が台風の影響で中止になった。このとき、カナダは釜石に残ってボランティア活動をし、ナミビアは合宿地の宮古市でファン交流会を開き、いち早く被災者を励ます行動をとり、清々しい話題となった。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
ナミビアでは1916年にラグビーが行われていた。南アフリカ共和国の兵士が持ち込んだと言われる。だが、ナミビア共和国のラグビーの歴史は新しくラグビー協会設立は1990年。ナミビアの植民地時代の名称は南西アフリカ。南アフリカに統治されていた時代があり、ラグビーも南アフリカの一地区としてリーグ戦などに参加していた。ナミビア共和国として独立したのが1990年なのだ。RWC1991、1995は予選で敗退し、初出場は1999年のウェールズ大会。不名誉な記録ながら、2003年大会でオーストラリア に0-142で敗れたのがRWCでの最大得点差となっている。エンブレムは鷲、チームの愛称はウェルウィッチアス(Welwitschias)。長期の繁栄と不屈の精神を意味する植物にちなんでいる。
ヨハン・デイゼル(ラグビーワールドカップ2019 ウェールズvsジョージア)
チームを率いるのは、元南アフリカ代表ヘッドコーチで、日本のコベルコ神戸スティーラーズ、横浜キヤノンイーグルスを率いたこともあるアリスター・クッツィエ(60歳)。チームのキャプテンは、フランスのコロミエクラブに所属するCTBヨハン・デイゼル(184cm、93kg、31歳)。2013年11月16日のケニア戦で代表デビューし、RWCは3大会連続の出場となる。2015年大会のニュージーランド戦では、後半11分、ディフェンスを切り裂きトライを挙げた。デイゼルほか6選手は今回3度目のRWCとなる。最多大会経験者はFW第2列、第3列のPJファンリルで4度目の大会に臨む。
また、元オーストラリア代表FLのリチャード・ハードウィック(183cm、102kg、29歳)が今大会のメンバーに入った。オーストラリア代表2キャップを持つハードウィックは、スーパーラグビーではメルボルンのレベルズでプレーしている。ナミビアで生まれており、オーストラリア代表は2017年以来選出されていないため、変更された国代表規定を利用して2022年にナミビア代表入りした。このほかFWは、イングランドのバースに所属するPRアラノス・クッツツェー(187cm、122kg、35歳)、フランスのモウトーバンでプレーするLOチュウェ・ウア二ビ(201cm、110kg、32歳)、LOエドリアン・ルディック(200cm、130kg、25歳)など屈強な選手が揃っている。
今大会のアフリカ予選では、ブルキナファソを71-5、W杯出場経験のあるジンバブエを34‐19、ケニアを36‐0で降し出場を決めた。本大会ではホスト国のフランス、4度目の優勝を狙うニュージーランド、イタリア、ウルグアイと同じプールAに入った。上位陣とは実力差があり、世界ランキング17位のウルグアイから初勝利を狙うのが現実的な目標になるが、強力なタックルを武器に上位陣にどこまで迫ることができるか。まずは、9月9日、イタリア代表との初戦を注目したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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