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ラグビー コラム 2023年8月16日

【RWC2023出場国紹介:日本】2大会連続プール戦突破から頂点を伺う。 世界を驚かせ、日本の存在感を示せるか

ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
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ラグビー日本代表

8月15日、ラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会に臨む日本代表登録メンバーの発表が行われた。メンバー枠は33名だが、この日発表されたのは30名だった。ワーナー・ディアンズ、ヘル ウヴェ、アマト・ファカタヴァらLO陣の負傷の状況をもう少し確認したいこと、フィジー戦でレッドカードを受けたFLピーター・ラブスカフニの出場停止期間が3試合から軽減される可能性があるなどの理由だ。30名の内訳は、FW15名、BK15名。FW第2列(LO)、第3列(FL、NO8)で3名が追加される可能性が高い(登録期限は8月21日)。キャプテンは、FL姫野和樹、バイスキャプテンをSH流大が務める。

メンバー発表に先立って、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは言った。「ワイダートレーニンググループとしてハードワークしてくれた選手達に感謝しています。RWC2023は我々にとって大きなチャレンジです。この夏の5試合は難しい状況になりました。シリアスな怪我を負ってしまった選手もいますし、レッドカードも出ました。しかし、現代ラグビーではそうしたことはいつでも起こる可能性があります。そういう意味ではいい準備ができました。RWCでは絶対に勝ちたいと思っています」

メンバー発表後に行われた4選手(姫野和樹、流大、リーチ マイケル坂手淳史)の会見では、チームの目標として「優勝」という言葉が出た。最後にマイクをとった流が補足した。「皆さんは現実的ではないと思っているでしょう。でも、僕らはできると信じています。2019年のときも、プール戦で全勝して1位通過するとは誰も思わなかったでしょう」。その言葉通り、日本代表は、大方の予想を覆し、2015年で優勝候補の南アフリカを破り、2019年で初の決勝トーナメント進出を決めて見せた。果たして3大会連続で世界を驚かせることができるのか。

ラグビー日本代表BRAVE壮行会2023

4大会目の出場になるリーチは「これまでのRWCメンバーの中で、一番可能性があるメンバーです。優勝の目標は正しい」と話した。ジョセフヘッドコーチがこの夏の日本代表集合時に話していたのは「フロントローに経験豊富な選手が揃っているのは心強い」ということ。稲垣啓太具智元ヴァルアサエリ愛堀江翔太、坂手淳史と2019年大会の経験者が多く、セットプレーはある程度計算できる。LO陣で最長身のワーナー・ディアンズ、好調のアマト・ファカタヴァが怪我をしてしまったのが痛いが、2019年メンバーのジェームス・ムーアの復調と、2019年以降に実績を積んできたジャック・コーネルセンの存在は心強い。FW第三列もリーチ、姫野に加えて攻守にスピーディーに動き回る福井翔太の成長が層を分厚くしている。

BKはSH流、CTB中村亮土、WTB松島幸太朗の2019年の主力組が残ったが、15人中10人がRWC初選出というフレッシュが顔ぶれになった。BKラインの軸になるCTBディラン・ライリーは安定感があり、進境著しいCTB長田智希、決定力あるセミシ・マシレワジョネ・ナイカブラの加入で多彩な攻撃が実現できそうだ。山中亮平が外れたことで、FBのファーストチョイスは松島になり、松島に怪我があった場合は、マシレワがカバーする。すべてのポジションをカバーできるレメキ ロマノ ラヴァは負傷者が出たときには心強い存在だ。本大会までに組織ディフェンスの精度をどこまで高められるかが課題になる。

ラグビーワールドカップ2019 日本vs南アフリカ

RWCの日本代表は1987年の第1回大会から連続出場をしているが、2015年大会で南アフリカ代表に勝つまでは、1991年大会のジンバブエ戦であげた1勝のみにとどまっていた。以降の躍進は記憶に新しいところ。過去2大会は国内シーズンを前倒しするなど、日本ラグビー界をあげて日本代表強化に時間を割いたが、今回はリーグワンを5月まで行い、いわば通常の国内シーズンの中でのRWCだ。日本代表としての強化時間は過去2大会に比してはるかに少ない。日本ラグビーの地力が問われる戦いでもある。

ジョセフヘッドコーチはこの大会後に退くことが決まっており、選手では流が「日本代表としてのプレーはこれが最後」と明言している。2016年から始まったジェイミー・ジャパンの集大成の戦いになるわけだ。姫野キャプテンは報道陣からRWCでの戦い方を問われ、「テストマッチは簡単な試合はひとつもない。3点を積み重ね、スコアで相手にプレッシャーを掛けること、思い切って仕掛けることも必要です。バランスが大事で、大胆かつ繊細に試合を運びたい」と話した。ジェイミー・ジャパンの特徴は、毎試合ゲームプランを変えてディフェンスを崩すところにある。

プール戦での対戦順は、チリ(22)、イングランド(6)、サモア(12)、アルゼンチン(7)。現在の日本代表の世界ランキングは14位で、カッコ内の数字通り、チリ以外はすべて上位国となる。その相手に知恵と工夫でどう戦うのか、準備試合の戦いぶりでは不安は多いが、残り時間を有効に使って史上最高の結果を勝ち取ってもらいたい。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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