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【RWC2023出場国紹介:フィジー】トンガ、サモア、日本を破って世界10位に浮上 ジャイアントキラーがプールCをかき回す?
ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
8月5日、秩父宮ラグビー場で日本代表を破った試合は記憶に新しい。フィジーはその前にトンガ、サモアにも勝っており、パシフィックネーションズシリーズ2023で優勝。世界ランキングも10位に浮上した。7人制ラグビーは世界最強で、リオ、東京のオリンピックで金メダルを獲得している。その金メダリストは15人制代表にも多数選出されており、驚異的なスピードで攻撃に厚みを加えている。卓越したハンドリングスキル、重量感あるスクラム、力強いタックルは、強豪国に引けを取らない。2023年ラグビーワールドカップ(RWC)の注目チームの一つだ。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
チームの愛称は「フライング・フィジアンズ」。このフライングは、空を飛ぶということではなく、飛ぶように速いという意味がある。胸のエンブレムは椰子の木だ。華麗なステップワークとパススキルは「フィジアン・マジック」と呼ばれる。1970年代に始まった香港7人制ラグビー大会で魅惑のプレースタイルが世界に知られるようになった。変幻自在のプレースタイルは15人制でも生かされ、1987年の第1回RWCではプール戦でアルゼンチンを破って決勝トーナメントに進出し、準々決勝ではフランスと好勝負を繰り広げた。このときの中心選手だったSHパウロ・ナワルはのちに7人制日本代表のヘッドコーチになっている。
RWCでは1995年の第3回以外の大会には出場し、2007年のフランス大会では17日間で4試合という不利な日程にもかかわらず、格上のウェールズ代表を破って決勝トーナメントに進出。準々決勝で南アフリカに肉迫した。その後はプール戦敗退が続いているが、強豪国にとって怖い存在なのは変わっていない。2019年の日本大会でも、オーストラリア、ウェールズを苦しめたが、初戦で世界ランキングでは下位のウルグアイに27-30で敗れてしまう。粘り強く戦ったウルグアイが称賛された試合だが、この試合ではその後の強豪国との対戦のために主力メンバーが温存されていた。試合に出られなかったCTBワイセア・ナヤザレヴはスタンドで一人涙していたという。
2023年2月、バーン・コッターヘッドコーチが個人的な理由で辞任したことにともない、元フィジー代表キャプテンのサイモン・ライワルイがヘッドコーチに就任した。ライワルイヘッドコーチは48歳で、フランスの強豪クラブ、スタッド・フランセの共同マネージャーをつとめていた。現役時代は身長2mの大型LOとしてフィジー代表で39キャップを得ている。ニュージーランド生まれでオーストラリア育ち、イングランド、ウェールズでのプレー経験があり、世界のラグビーを知り尽くしている。
ワイセア・ナヤザレヴ
8月9日、RWCフランス大会に臨む33名のメンバーが発表された。キャプテンはCTBワイセア・ナヤザレヴ、このほか、セミ・ランドランドラ、FLレヴァニ・ボティアらフランス、イングランドの強豪クラブでプレーする選手が多いが、33名中24名がRWC初出場となるフレッシュなメンバーだ。ニュージーランド、オーストラリアの強豪クラブと戦うスーパーラグビーに参戦するフィジアン・ドゥルアの選手も多い。高いレベルで経験を積む選手たちは以前のような簡単なミスが少なくなり、規律正しくプレーする。フランス大会では、世界ランキング8位オーストラリア、9位ウェールズと同じプールCに入る。10位のフィジーがこの両チームを破る可能性は十分にある。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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