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ラグビー コラム 2023年8月3日

【RWC2023出場国紹介:イタリア】2019年大会は台風で無念の試合中止 初の決勝トーナメント進出目指す

ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
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イタリア代表が変わった。多くの海外ラグビーファンが実感していることだろう。かつてはスクラム、ラインアウトを軸にした手堅いスタイルに終始していたが、現在は、スピーディーにボールを動かし、ハイレベルのパス、ステップなどを駆使してトライを奪う魅力的なプレースタイルになっている。

チームを変えたのは、2021年7月に就任したキアラン・クローリーヘッドコーチだ。ニュージーランド代表FBとして1987、1991年のラグビーワールドカップ(RWC)に出場。2008年からはカナダ代表のヘッドコーチを務め、2011年、2015年のRWCで指揮をとった。イタリアのベネトンクラブのヘッドコーチとして、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、イタリア、南アフリカの14クラブが競うプロ14(現・ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ)でシーズン最優秀コーチ賞を受賞するなど、その手腕は高く評価されている。今回のRWC後は三重ホンダヒートのヘッドコーチ就任が決まっており、来季のリーグワンでも注目のコーチだ。

アンジェ・カプオッツォ

クローリーヘッドコーチに率いられたイタリア代表は、2022年3月、シックスネーションズ(欧州6カ国対抗)で前年優勝のウェールズを22-21で破り、7年ぶりに同大会で勝利し連敗を「36」で止めた。試合終盤、FBアンジェ・カプオッツォがディフェンダーを翻弄したステップワークは長く語り継がれることだろう。イタリアは同年秋にオーストラリア代表からも初勝利をあげている。この試合でもトライをあげたカプオッツォは、2022年のワールドラグビー世界最優秀選手に輝いた。現在24歳の天才FBは身長177cm、体重68kgという小さなサイズだが、自在なステップワークでタックラーに的を絞らせない。フランスの最強クラブ、トゥールーズに在籍し、RWCフランス大会でも世界が注目する選手の一人だ。

イタリアのラグビー協会創立は1928年。初めてのテストマッチ(国代表同士の試合)は、1929年でスペインとの間で行われている。その後の強化は進まなかったが、1987年に始まったRWCには全大会出場している。2000年からは、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランスで行われていたファイブネーションズ(→シックスネーションズ)に加わって名実ともに強豪国の仲間入り。徐々に力をつけてきた。RWCではプール戦敗退が続いているが、通算13勝をあげ、2019年大会のプール戦でもナミビア、カナダに勝ち、あと1勝で決勝トーナメント進出だったが、台風のためニュージーランド戦が中止となり、戦わずしてプール戦敗退が決まった。

2023年大会はプールAに入り、ニュージーランド、フランス、ウルグアイ、ナミビアと戦う。現在、世界ランキングは14位で、実力的に3番手に位置づけられるが、今年のシックスネーションズでは、フランスと24-29という接戦を繰り広げており、波乱を起こす力はある。カプオッツォ以外で注目はSOトマゾ・アラン(30歳)。身長 184cm、体重 91kg。U20スコットランド代表に選ばれたことがあり、2013年からイタリア代表でプレーする。正確なプレースキッカーであり、状況判断のいいパスで味方を走らせる。FLミケーレ・ラマロ(25歳)は先頭に立って身体を張り続けるリーダーだ。粘り強いFWの軸になる。

開催中のサマーネーションズシリーズでは、7月29日、スコットランドに13-25で敗れたが、後半35分まで13-15と接戦だった。SHマルティン・パジェレロ(24歳)、7人制のイタリア代表だったFBロレンツォ・パニ(21歳)らがテストマッチデビューを飾っており、選手層を厚くしながらRWCの準備を進めている。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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